未だ解決しない1876年に起きた「肉の雨」の謎 ― 食べた者も…決して説明のつかない奇妙な現象

地元のハンターは、肉は熊の味がすることを主張した 「Daily Star」の記事より

 地元のハンター、ベン・エリントンは、農場に落ちた肉片を見て、もしこれが肉なら、熊肉に違いないと断言した。エリントンは、その肉から染み出たべたべたとした脂を触り、これは熊肉が古くなった時に出る液体だと説明した。

 一方、地元の肉屋は、その肉を一口食べてみて「肉、魚、家畜の鳥のいずれの味もしなかった」と感想を述べた。

肉を医学的分析した結果は、おそらく「馬か乳児の肺組織」というものであった 「Daily Star」の記事より

 その後、この「肉」は採取され、分析のために「ニューアーク科学協会」の実験室に送られた。当時、サンプルをテストしたアラン・マクレーン博士の分析では、この肉状の物質は「馬または人間の乳児の肺組織」であるというものであった。

 ほかにも諸説があり、その1つに、これは肉ではないというものがあった。その物質は、しばしば湿った土壌に存在する「ノストック」と呼ばれる細菌で、暴風雨の後に、肉によく似たゼリー状の塊を形成することがあるという。そしてその細菌の塊は、しばしば雨と共に落ちてくると言われている。

 またある人はその肉は宇宙から来たと信じ、ある人々は神から遣わされた「恵みの食物」のような超自然的な物質である、と信じたという。

 

■ハゲワシの仕業なのか

 そして、より説得力のある合理的な説明に「ハゲワシ」がいる。ハゲワシは何かに驚いた時、身体を軽くして、素早く飛び立つために、最後に食べた物を吐くことが多いという。つまり、この肉はハゲワシが上空で吐いた物だというのだ。

「Daily Star」の記事より

 L・D・カステンビン博士は「ルイビルメディカルニュース」の1876年版に次のように書いている。

「この異常な落下物は、その場所を飛んでいたハゲワシが吐いたものであるということが、唯一の合理的な説明だ。非常に高い上空から落とされたので、肉は風によってばらばらになり、散乱したのだ」(カステンビン博士)

 そして見つかった物質には、筋肉、結合組織、脂肪組織などがあり、それはこの理論のみによって説明できると述べた。

 しかし、小さな限られた場所に、肉の雨が数分間も降り続いたという証言は、この説明とは相いれないものがある。

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