韓国の「圧倒的につまらないテーマパーク」アインスワールドに村田らむが潜入! 人類滅亡の終末感が味わえる閑散ぶりを堪能! 

 韓国で精巧なミニチュアと言えば、駅などに置いてある竹島(独島)の模型である。

 今回の旅行でも見たが、やはりよくできていた。大きい岩礁のような無骨な島を丁寧に作り込んでいる。島の中に建てられた、基地もキチンと再現されている。海の様子も非常にリアルだった。

 以前、竹島の模型の前で、韓国の国旗を振りながら写真を撮るサービスをしているのを見かけた。小さな子どもが、ミニチュアの前で笑顔でパタパタと手を振りながら写真を撮っている。どうせなら、撮っていこうぜ、ということになって列に並んだ。

 旗を手渡されたので

「いえーい!!」

 って感じでパタパタ旗を振っていたが、ふと受付のおじさんを見たら角膜に『殺』という字が浮き出るほど怖い目でこちらを睨んでいたので、さっさと旗を返して退散した。

 閑話休題。

 そして、遠くのほうには、エンパイアステートビルが見える。

 エンパイアステートビルには初代キングコングらしき動物が捕まっているのが見えた。

 そこらへんはニューヨークゾーンになっていて、9.11のテロで崩壊した貿易センタービルのツインタワーがそそり立っている。

 時期的にはテロの後に作られた施設っぽいが、テロ以前の様子を再現したのかもしれない。しかし、貿易センタービルは放置されて劣化したらしく、壁は剥がれ骨組みが見えていた。テロはなくても自壊してしまったようだ。よく見ると他の建物も、ちょこちょこ壊れている。

 韓国に詳しい同行者と話をする。

「これ建造するのに、ずいぶんお金かかったでしょうね」

「すごいでしょうね。一個一個すごい丁寧に作られている」

「でも、潰れちゃったみたいですよね。この感じだと」

「まあ、たぶん……つまらないからでしょうね」

 と腕を組みながら語った。そうなのである、この施設は圧倒的につまらないのである。

 建物のミニチュア以外には、歩道がだまし絵になっていたり、ピンクのハートのオブジェの中で写真を撮れたり、とその程度なのである。むしろ廃墟チックな雰囲気になっている今のほうが、まだ楽しめているのかもしれない。

 どうせなら、

『ボロボロの施設で、終末感を味わおう!!』

 とかイベントやったら受けるかもしれない。

 僕らは駆け足で見学をすませると、いそいそと外に戻ってきた。

 そのまま、バス停に戻ったが、結局誰にも会うことはなかった。

 新型コロナウィルスで滅んだ世界……を体験したい人には良い施設かもしれない。

 ただ、わざわざ『アインスワールド』に行っても入れるのか、そもそもまだ存在してるのかわかりませんけれども、だ。

文=村田らむ

ライター、漫画家、カメラマン、イラストレーター
1972年生まれ。キャリアは20年超。ホームレスやゴミ屋敷、新興宗教組織、富士の樹海などへの潜入取材を得意としている。著書に『ホームレス大博覧会』(鹿砦社)、『ホームレス大図鑑』(竹書房)、『樹海考』(晶文社)、『ホームレス消滅』(幻冬舎新書)など。

Twitter:@rumrumrumrum

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