ALS嘱託殺人事件は政府が招いた人災だ! 犯人が「医師免許を不正取得」できたのは無能な役所のせい…亜留間次郎が解説
■偽造コピーでまかり通る受験資格
外国医大卒で日本の医師国家試験を受験する場合に必要な書類が以下の5つです。これらの書類を見て、医師国家試験の受験資格が有るかどうかを審査します。
1.医師の診断書(普通に健康なら問題ないので誰でも手に入る)
2.外国で取得した医師免許証の写し
3.卒業した外国医学校の卒業証書の写し又は卒業証明書
4.卒業した外国医学校で履修した教科課程及び時間数を明らかにした書類
5.書類が本物であることを証明する公的な機関(当該国の大使館、領事館、外務省等)による提出書類及びその日本語訳両方の記載が真実である旨の証明書
さて、問題の事件では日本の厚生労働省が相手の国に確認していなかったとしか思えません。提出書類は写し、つまりコピーで良いので、作ろうと思えばPhotoshopでいくらでも作れます。コピー機から出力された物とレーザープリンタで出力された物は完全に同一なので識別できません。また、原本に透かしやフォログラフィシールやマイクロ文字が使われていても、コピーには写らないのでやはり識別できません。
実際に日本国内でも、医師免許の提出はコピーでOKな為、偽造免許で働いていた偽医者が何度も摘発されています。そのため、最近では原本確認を必須としている病院も多くなっています。
昔から「書類を見て人を見ず」の役所は偽造書類に弱いのです。このセキュリティホールの存在は周知の事実で、詐欺師が活用しています。
■なぜ厚労省は審査時に問い合わせなかったのか?
それにしても、事件後に警察が問い合わせたらすぐに判明したのに、どうして厚生労働省は審査の時に問い合わせなかったのか?
お役所の縦割り行政の害悪……というわけでもなく、個人情報取り扱い権限の問題です。警察からの問い合わせは犯罪捜査なので相手国も警察の捜査権限で調べることができますが、日本の厚生労働省医政局には、外国の医籍や医大の在籍卒業記録を調査できる手段が存在していません。書類が本物であることを証明する証明書を発行したところまでしか聞きに行けないのです。
そのため、犯人が日本にある相手国の大使館や領事館を騙してしまうと、いくら厚生労働省医政局が問い合わせをしても、再確認もせずに「本物です」としか答えません。
つまり、先ほどの提出物リストの5番目だけ本物なら、2〜4番目はフォトショップで作ってレーザープリンタで印刷した偽物でも通ってしまうのです。渡航履歴の調査もないから外国に行ったことすら無くても刑事事件になるまで発覚しません。
逆に言えば、日本の役所に2〜4番目が本物であることを確認できる能力が存在しないので、5番目を必須にすることでその確認を大使館や領事館に丸投げしている事を意味します。
この事件で逮捕された医師2名は、片方が元厚生労働省医政局の官僚、片方が不正に医師免許を習得したニセ医師ということで、何とも言えない組み合わせです。
こんな二人組が誕生したのは、政府の無能が招いた人災です。
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2024.10.02 20:00心霊ALS嘱託殺人事件は政府が招いた人災だ! 犯人が「医師免許を不正取得」できたのは無能な役所のせい…亜留間次郎が解説のページです。厚生労働省、ALS嘱託殺人、医師免許、医師免許不正取得などの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで