「トランプ支持の陰謀論者のヤバさ」を上祐史浩が解説! ナルシストで堕落した未来が待っている… その理由とは?(インタビュー)
上祐 私は、日本人が欧米人と比較して陰謀論を信じやすいとは思いません。歴史的には欧米の方が多いかもしれません。オウムの陰謀説も皆、元ネタは欧米製だったと思います。Qアノン系の陰謀説も、今のところ米国ほど日本では広まっていないと思います。
これに関係することですが、皆さんも何となく気づいていらっしゃるかもしれませんが、オウムに限らず、陰謀論と宗教はセットになることが多いのです。だだし、宗教の中でも、神と悪魔の闘いと、それを投影した「救世主」と「悪魔の支配下の者」との闘いを説くキリスト教のような宗教です。
――そうなると、特定の宗教を強く信仰している人々が少ない日本より、善と悪を区別したがる宗教が信じられている国の方が、陰謀論は広まりやすいのですね。
上祐 実際オウム自体が、ヨーガ・仏教でスタートしたのに、陰謀説を説く時から麻原を「善」と「悪」の最終戦争に現れるキリストと位置づけ、言わば「麻原キリスト教」のようになりました。Qアノンの陰謀説を信じる共和党支持者にも、キリスト教を厳格に信じる保守系の人が多い。そして、その陰謀説は、民主党・大手メディア・悪魔崇拝の秘密結社と、救世主であるトランプ氏の戦いという構図です。
一方、日本の伝統文化では、神と悪魔の対決(善悪二元論)のような考え方はそぐわない面があるように思います。神道の「八百万の神」や、仏教の「全ては仏の現れ(仏性の顕現)」といった思想がありますが、これは万物を神や仏の現われとする考え方です。人間に災厄を与える雷や疫病なども、天神様・疫病神のように神様にしてしまう。災厄に対しては、人間側にその責任を認める「天罰」の思想に加えて、悪神の祟りとする考えはありますが、それさえも神として祀れば、自分達を守る神(善神)に変わる。
そして聖徳太子が制定した十七条憲法の第十条には「人は皆賢くもあれば愚かでもあり、自分だけが聖人で他が愚者ということはない」という言葉があり、人間社会を善悪で2分化しない平等主義的な人間観が説かれていまして、これを根拠として、有名な第一条の「和をもって貴しとなす、諍いのなきことを旨とせよ」という理念があるのです。これは、善悪の二分化による戦争を否定し、万人の尊重による調和を重視する思想ですね。そして、最後の十七条は「重要なことは皆で話し合って決めなさい」として、まさに民主主義的な政治思想が説かれている。1400年も前に制定されたのに、現在の社会に極めて重要なメッセージです。まさに日本の精神的な財産だと思います。
――なるほど。陰謀論は文化的な背景からも日本人にそぐわないものかもしれませんね。
■陰謀論を信じる深層心理とは!?
上祐 なぜ陰謀論を信じてしまうのか、心理学的な観点からも興味深い考察が可能です。
――心理学と陰謀論ですか?
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