「トランプ支持の陰謀論者のヤバさ」を上祐史浩が解説! ナルシストで堕落した未来が待っている… その理由とは?(インタビュー)
上祐 まず、心理学的には、この世界の出来事を受け止める時に、人は「誰かの何らかの意図で起きた」と理解したがる傾向があるそうです。人間社会では昔から無数の陰謀があったでしょうから、それを警戒して身を守ることが必要だったのは間違いありませんが、一般に自然現象といわれるものでさえ、誰かの何らかの意図で起こったと考えたがる傾向がある。その最大のものが、「神(及び悪魔)の意志」という考え方でしょう。
次に、陰謀説を信じる人の傾向として警戒心が強く、さらに問題を「他人のせいにする」傾向があるそうです。言い換えれば、「自分は良い人だと思いたい」というナルシシズムです。悪い状況を自分の努力不足と認めるのはプライドが傷つくし、改善の労苦が必要ですが、他人のせいにすれば楽です。しかし、この目先の楽の後には、堕落による大きな苦しみが待っている場合が多いのですが。
――なるほど、反証不可な陰謀論でプライドを保つというわけですね。
上祐 私は、陰謀論において“悪魔的な存在”が生み出されることの背後には、このような心理がはたらいているのではないかと思います。「善人である自分たちが、社会に巣食う悪魔的な存在のせいで今、不幸に陥っている」と考えるということです。そして今後についても、自分達は救世主と共に悪魔的な存在と戦って勝ち、幸福になると考える。
また、陰謀論を信じやすい人の中には、社会的に恵まれず自尊感情が傷づいている人や、自分が特別な存在でありたいと強く思っている人がいるとされます。陰謀説を信じることで、自尊心の充足が得られるのです。多くの人が知らない世界の秘密を知って、巨悪と戦う救世主側の人間になるのですから。一瞬にして世界のほとんどの人を見下ろし、人類社会の頂点に立つ立場に至ることができるのです。
――格差社会における貧困層の間で特に広まりやすいということですか?
上祐 最近の米国社会には、自尊感情が傷ついた人々が増えていたのだと思います。グローバル化で貧富の格差が増大し、白人中間層は外国と移民に仕事が奪われ、不満を抱いた。巨大IT企業などの繁栄からは遠く置き去りにされた上、増える移民によって白人が少数派になる恐怖もある。そして、彼らの傷ついた自尊心を救ったのが、既存の政界とは無縁のトランプ氏だったという構造でしょう。
しかし、一気に自尊感情が満たされる陰謀説から生じる熱狂は、まったく現実に立脚しておらず、躁うつ病のそう状態のようなものです。波の頂点が高いほど、底辺が低く、木に高く昇るほど、落ちた時は痛い。熱狂から覚めた後に待っているのは、悲惨な現実と大きな失望だと思うのです。
~つづく~
※ 「トランプ支持者はオウム信者に似ている」上祐氏がぶった斬る前編はコチラ!
※ 記事後編(12月1日14時に配信予定)では、今後の世界情勢について、上祐氏が自身の見通しを徹底解説する!
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