「人食いライオンの国」タンザニアのライオン事情を亜留間次郎が徹底解説! ライオンから見た人間は食べやすい餌だった!?

 マサイ族がライオンを狩るために大量のマンパワーを投入して戦士団を編制していたのは、自分達と財産である家畜がライオンの標的であり積極的に狩らなければならない理由があったからです。

 本来、ライオンは世界中に広く分布していた生物だったのですが12万年前から1万年前までの期間で急激に分布域が減少しています。この原因はマンモスが絶滅したのと同じく、人間によるライオン狩りだと推測されています。人間側には「餌にされる」というライオンを殺さなければならない積極的な理由があるため、人間と生息域が競合したライオンは急激に絶滅に向かいました。

ライオンの分布域、赤い部分が過去に生息していた場所、青い部分が現在の生息場所で人類が石器時代に入ると急速に縮小した。画像は「Wikipedia」より引用

 ライオンに対する狩猟圧が急激に高くなった時期は、尖頭器と呼ばれる先端を鋭く尖らせた打製石器の槍が登場した時期と一致しており、マンモスやライオンは石器の槍によって急激に狩られていったと推測されています。

 長いヤリはライオンの爪や牙の間合いよりも遠くからライオンの体に突き刺さります。ライオンは反撃に対して意外と臆病で、石器が刺さると後退してしまう性質があるために、大人数で襲い掛かればライオンを殺すことが出来ます。

 人間は旧石器時代にはライオンに勝てるだけの武器を手に入れ、ライオンを殺していました。その子孫がマサイ族というわけです。

 皮肉にも人間が野生動物保護に力を入れるほど野生のライオンの数が増えて、人間がライオンに食べられるリスクが上昇して犠牲者が増えていますが、悲しいことに、環境保護活動家にはアフリカ人の命よりもライオンの方が大切なようで、安全で奇麗な場所から野生保護を大声で叫んでいます。

 日本人がニホンオオカミを絶滅させたように、野生のライオンには人間の安全のために絶滅してもらい、動物園の檻の中だけで生きてもらうべきなのかもしれません。

参考:「Nature」「All Africa」「Front. Ecol. Evol」「BBC」ほか

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文=亜留間次郎

薬理凶室の怪人アルマジロ男。人間の皮を被った血統書付きアルマジロ。守備範囲は医学から工学、ノーマルからアブノーマルまで幅広く、アリエナイ理科ノ大事典など、くられ氏と共に薬理凶室関連の共著多数。単著に『アリエナイ理科式世界征服マニュアル』(三才ブックス)がある。よくわからないケダモノなのでよくわからないネタで攻めていきます。

公式サイト http://asai-laboratory.sakura.ne.jp/
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