人気で行列ができる水族館「沼津港深海水族館」が面白すぎる! シーラカンス、フナムシ、ダイオウグソクムシ…村田らむが取材

――B級スポット、樹海や禁断の土地、ホームレス取材を得意とするルポライター村田らむが寄稿!


 実家よりも良く足を運ぶ青木ヶ原樹海に行った後、静岡に寄ることにした。139号線を通って南下していく。山梨県と静岡県なんか近いような気がするが、実は自動車で1時間以上かかる。ダラダラとドライブして静岡県沼津市に到着した。

 いい天気で富士山がきれいに見えた。富士山は山梨側とは見え方が違うので新鮮だった。

 違うのはそれだけじゃない。沼津と言えば、海だ。沼津港にはたくさんの船が停泊していた。開放感がある。町中には意外と観光客は多かった。

 目的地『沼津港深海水族館』に足を運んだ。大人1600円とまずまずの値段なのに、人気で行列ができていた。

 館内に入るとやはり深海というテーマ通り暗い。並んでいる水槽を一つ一つ眺めていく感じだ。

 オープニングアクトにはアブラボウズという大きな魚がデーンと鎮座していた。食用だけど、食べ過ぎると下痢になることでおなじみの魚だ。ジッと見るが、標本かと思うくらい動かなかった。そう、深海にいる動物は基本的に動かないのだ。みんなジッとしている。

 動かないかわりに、ギョッとするような見た目の動物が多い。わさわさと羽のような触手を生やしたトリノアシという動物や、真っ赤なウメボシイソギンチャクなどなど。


 そんな中でも人気なのがメンダコだ。パックマンのモンスターのようなゆるい形をしたタコだ。深海生物の中でも人気が高い。沼津港深海水族館では、飼育下でメンダコの孵化に成功している。これは世界で2例目だという。だが一週間で死んでしまったので、標本が展示してあった。もとより幽霊っぽい形なのに、死んでいたらまさしく幽霊だなあ……なんて思っていたら、

「キャー!!」

 という叫び声が聞こえてきた。見ると、水槽の前で、若い女子が震えている。

 フナムシのコーナーだった。水中に立てられた丸い樹に大小様々なフナムシがへばりついていた。海岸で見かけた時の、サササササ!! っと早く進んでいくような俊敏性は見られずジッとしている。動きは地上にいる時のほうが気持ちが悪いが、ジッとしているのもそれはそれでなかなかくるものがある。


 フナムシはゴキブリと動きが似ている。英語では“wharf roach(埠頭のゴキブリ)”と呼ばれる。ただ、足はゴキブリより多く14本あり、前には触覚、後ろにはビヨンと伸びた一対の尾脚がある。大きな複眼もあって、よく見るとゴキブリよりグロい気がする。

 なんて思いながら見ていたら、

「かわいい!!」

 という声が聞こえてきた。見ると、ダイオウグソクムシのコーナーだった。いやいや、キモさの度合いあんまし変わんないだろ。


『ダイオウグソクムシ=かわいい』

 とテレビなどのメディアで報道されるから、脳に刷り込まれてやがんな。

「ゴキブリもよく見たらかわいい!!」

 って情報をキャンペーンで流したら、みんなゴキブリをカワイイって飼い出すんじゃないだろうか?

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