アマゾンに“老化が70%遅い”謎の部族「チマネ族」がいた! 脳スキャンで「アンチエイジング」の衝撃の事実が判明!
ボリビアのアマゾン川流域に住むチマネ族は、先進国の人々より、身体も脳もはるかに健康だという――。
■きわめてスローエイジングな「チマネ族」
WHOの2020年版世界保健統計によると、平均寿命が最も長い国は日本で84.2歳、2位はスイスで83.3歳である。
しかしこれは、必ずしも良いニュースとは言えない。日本では全人口におけるアルツハイマー型認知症の有病率が2.33%で、OECD(経済協力開発機構)加盟国のうちで最多なのだ。
そんな日本人にとって、聞き逃せない研究が先頃発表された。
それは、遠くボリビアに住む先住民族「チマネ族」についての研究だ。
チマネ族は、アマゾンの熱帯雨林に住む部族で、人口は1万5000人ほどと言われている。チマネ族はここ数十年間、「老化が非常に遅い部族」として、欧米の抗老化医学の研究者たちから注目されている。
米国チャップマン大学で医療経済学と人類学の教授を務めるヒラード・カプラン博士は、20年近くチマネ族を研究してきた。
カプラン教授が、医学雑誌「ランセット」に発表した論文によると、「チマネ族の75歳以上の人は、ほとんど心臓病のリスクがない」という。そしてチマネ族の血管老化レベルは、これまでに記録された世界中の民族の中で、最も低いことも明らかになった。
カプラン博士率いる研究チームは、今回、40歳から94歳までのチマネ族成人746人の脳をスキャンした。
これはなかなか困難を伴う調査で、参加者たちは、遠隔地にあるチマネの村から、ボリビアの都市トリニダードまで、川と道路を使い丸2日かけて移動しなければならなかったという。トリニダードは、調査に必要なCTスキャン装置がある最寄りの町だ。
研究チームは、スキャンを使用してチマネ族の脳の体積を算出し、年齢との関連性を調べた。次に、研究者たちはこれらの結果を、米国とヨーロッパの3つの先進国の人々の結果と比較した。
その結果、チマネ族の中年期から老年期にかけての脳の容積の減少度は、欧米人よりもはるかにゆっくりで、約70%遅いことがわかった。研究者によると、これはチマネ族の脳は年をとっても、西洋人よりも脳の萎縮がはるかに少ないこということだ。
現代医学では一般に、人間の脳の重さは90歳の時には60歳の時よりも、5~7%程度軽くなる、と考えられている。脳の萎縮は、認知障害、機能低下、認知症のリスクと相関している。
カプラン博士は、チマネ族には現代医学へのアクセスがないため、食事とライフスタイルが最も可能性の高い説明となる、と述べた。
博士は、「砂糖と脂肪が豊富な私たちの座りがちな生活と食事は、加齢とともに脳組織の損失を加速させ、アルツハイマー病などの病気にかかりやすくしている可能性があります」と述べる。
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