【タイホラー通信】教室に取り憑く女生徒の霊…「学校の怪談inタイ」+実体験!

――タイ在住歴20年の私バンナー星人が、タイ社会では馴染みの深い、妖怪、幽霊、怪談、呪術、占い、迷信といったものに光をあて、日本人の目には触れることが少なかったタイの怪奇世界に皆様をお連れします。


 日本と同じくタイでも「学校の怪談」というのは数限りなく存在する。そして、霊が現れる場所も、トイレ、教室、音楽室、保健室、と日本と似たり寄ったりだ。また目撃される霊の多くが女性だというのも共通点として挙げられる。今回はその中でも「教室に取り憑く女生徒の霊」というテーマに絞リ、短めの体験談を3つお伝えしようと思う。ちなみに最後の話は筆者の体験談となっている。

■「消えた女の子」(シンブリー県の小学校)

 それは現在30歳の会社員ソムさんがまだ小学4年生だった時のことだ。ソムさんが通っていたのは、父も教師として勤めていたとある田舎の小学校だった。その日、父の仕事が終わるのを待っていたソムさんは、放課後暗くなるまで校内でかくれんぼをして遊んでいた。鬼になったソムさんは、友達を見つけようと誰もいなくなった教室をひとつずつのぞいて回っていた。どの教室も前と後にドアがあり、生徒はどちらからも出入りできるようになっている。4年生の教室、3年生の教室、と順番に見ていったが友達は見つからない。

 次は2年生の教室だ。今までと同じく後ろのドアをそっと開けて、中をのぞくと、暗い教室の真ん中の席にひとりの女の子が両腕をだらんとたらし、前にうなだれるように座っているのが見えた。

「私を怖がらせようとしてるんだな」と気づいたソムさんは、逆に友達を驚かせる方法を思いついた。音を立てないようにそっと前のドアまで移動し、いちにのさんで、思いっきりドアを開け、「見つけた」と叫んだのだ。しかし驚いたのはソムさんのほうだった。そこには誰もいなかったのである。ソムさんは、教室の中に入って、まだ隠れているかもしれない友達を探したが、見つからない。「さっき私が前のドアに移動している間に後ろのドアから出ていったのかな?」などと不思議に思い、教室を出ようとした時、異様な光景が目に入った。さっきまで友達が座っていた椅子がびしょびしょに濡れ、周りの床も水で濡れたような跡が残っていたのである。

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 結局その友達はトイレに隠れていたとかで、全然探しに来ないソムさんにしびれを切らして「出てきた」と言った。しかしソムさんは「またまたぁ。私を怖がらせようとしてるのわかってるからねー」と言って、その日はそのまま友達と別れたのだった。

 そんな前日のことも忘れ、次の日ソムさんはいつものように退屈な朝礼に出席していた。校長先生が壇上にあがるのが見え、「今日も話が長かったらやだな」なんてぼんやり考えていたのを覚えている。しかし、校長先生が静かに語り始めた話が、退屈な時間を打ち破っていった。

「今朝はみんなに悲しいお知らせがあります。昨日の夕方2年生の◯◯ちゃんが、家の近くの池で溺れて亡くなったそうです」

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