【タイホラー通信】教室に取り憑く女生徒の霊…「学校の怪談inタイ」+実体験!
■【筆者体験談】誕生日のサプライズ(バンコクの高校)
「先生、手伝ってほしいことがあるんだけど」と昼休みに職員室に現れたA君とB子ちゃん。
その日は2人の親友C子ちゃんの誕生日で、なんでも日本語教師である私にサプライズの手伝いをしてほしいとのことだった。そのかわいいお願いに私も二つ返事で応じ、3人でサプライズのプランを練ることにした。
まず私が、手伝ってほしい仕事があると3人を日本語教室に呼び出し、日本のアニメが好きな3人に掲示板に貼るポスター作りをしてもらう、と説明する。A君とB子ちゃんには「紙を忘れたから職員室から取って来て」と適当な嘘をついて教室から出てもらい、 C子ちゃんと2人きりになる。私がC子ちゃんとポスターに描くアニメについて適当に話を繋いでいる間に、外に出た2人がろうそくを灯したバースデーケーキを用意。2人がサプライズで教室のドアを開けて入ってきたタイミングで僕が教室の明かりを消し、ハッピーバースデーを合唱。そしてC子ちゃんは驚きと嬉しさで感涙……というプランである。
教師である私もこの計画を考えている間に楽しくなり、年甲斐もなくワクワクしながら放課後を迎えた。
そして迎えた本番。全てが計画どおりに進行し、残すはクライマックスのバースデーケーキの登場となった。2人が教室に入ってきたタイミングで、私は計画どおり電気のスイッチをオフにした。暗くなった教室に照らし出されるケーキのあかりとハッピーバースデーの合唱。そしてC子ちゃんの驚いたような笑顔…と進行していくはずだったのだが、C子ちゃんにケーキを手渡した直後、サプライズを仕掛ける側のB子ちゃんが感極まって先に泣き出してしまったのだ。
「おいおい、君が先に泣いたらC子ちゃん泣けなくなるよー」
と笑ってツッコもうとした私だったが、A君はB子ちゃんに向かって「怖がらなくていいから、大丈夫」と肩に手を置きながら優しく言葉をかけているではないか。「怖がらなくていいってどういうことだ?」と不思議そうな顔をしている私に向かってA君は神妙な面持ちでこう言った。
「先生、とりあえず教室出ようか」
その後みんなで職員室に戻って一緒にケーキを食べていると、A君が私に向かって「さっき先生も何か感じた?」とおそるおそる聞いてきた。「何? 何? なんかあった?」と聞き返す私にA君はさきほどの状況を話してくれた。
教室が暗くなり、B子ちゃんがC子ちゃんにケーキを手渡したそのとき、C子ちゃんのうしろからケーキを覗きこむようにして立っている女をB子ちゃんは見てしまったというのだ。ろうそくの灯りに不気味に照らし出されたその顔を見て、B子ちゃんはショックのあまり泣き出してしまった、というのが真相だった。B子ちゃんの親友であるA君は、瞬時にB子ちゃんの異変とその理由を理解し、声をかけて落ち着かせたという。
実は、この日本語教室の女の霊に遭遇したのはB子ちゃんだけではなく、霊感がある生徒や教師もその存在に気づいているようだ。そして「寂しくて自分の存在に気づいてほしいだけなので、怖がる必要はない」と口を揃えたように言う。だとすると、あの時もみんなに混じって、C子ちゃんの誕生日を祝ってあげたかっただけだったのだろうか……。
幽霊に誕生日を祝われる、というビッグサプライズが待っていた18歳の誕生日を、C子ちゃんは一生忘れることはないだろう。
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