“放射能でゴジラ化”の懸念はない!? 福島の避難区域で“ハイブリッド種”が続々出現、DNA分析で衝撃の事実発覚!
福島原発事故の避難区域で、野生のイノシシに異変が起きているという。この地の野生のイノシシが家畜のブタと交配し、新種の“ハイブリッド”を生み出しているというのだ。
■避難区域のイノシシの16%が“ハイブリッド”
福島県の避難区域に指定されたエリアで人間に代わってメジャーな“住民”となったのは、野生生物たちである。その中でもサバイバル能力に優れた野生のイノシシは、生息地域を拡大させて我が物顔で町を闊歩している。
科学者たちは避難区域に生息する野生生物の放射能被爆の実態を注意深くモニターしているのだが、今のところ避難区域の野生生物には遺伝子レベルの悪影響は及んでいないことが報告されている。
ともあれ2011年3月の地震と津波、そして原発事故の影響は人間だけでなく動物たちにも大きな影響を与えた。相当数の飼い犬や飼い猫が路頭に迷い、家畜のブタや鶏なども逃げ出し、野へと放たれたのだ。そして現在、逃げ出したブタと野生のイノシシが交配し、世代を重ねて新たな“ハイブリッド”種を生み出しているという。
福島大学の研究者であるドノバン・アンダーソン氏が主導した研究では、地元の食肉処理場から採取された243頭のイノシシ、ブタの筋肉から採取されたDNAサンプルが分析された。その結果、31頭のイノシシ、つまり避難区域に生息する野生のイノシシの16%が雑種であることが確認されたのだ。
「将来の研究では、これら雑種の適応度を評価し、生態学的ニッチをよりよく特徴付けることを推奨しています」(研究チーム)
研究チームは、飼育ブタの遺伝的遺産は繁殖のため時間とともに“希釈”されてきたと付け加えている。飼育ブタの遺伝的特徴は、ハイブリッド種にはそれほど伝わっていないことになる。
また、安心材料としてはこのハイブリッド種は被爆とは何の関係もないことも確認されている。
「ブタとイノシシが交配したという事実は、放射線とは何の関係もありません。イノシシや雑種は被爆していますが、放射線は遺伝的変化とはまったく関係ありませんでした」とアンダーソン氏は英紙「Daily Mail」に返答している。
“ゴジラ”のように、放射能による突然変異の生物が生まれているわけではない点は安心してよいということか。
■夜行性のイノシシが日中に活動するようになった
だが、ハイブリッド種に飼育ブタの特性がまったく伝わっていないというわけでもなさそうだ。なんと避難区域のハイブリッド種は日中の明るい時間に活動的であるというのだ。
野生のイノシシは基本的に夜行性であるのだが、避難区域のイノシシは日中に活動する習性にシフトしている形跡があるという。そしてこれには、人間がいなくなったことも影響しているということだ。
「ここのイノシシはより日中の活動へとシフトしました。言い換えれば、避難区域内のイノシシは、一般的に夜行性が強い傾向にある他の地域のイノシシよりも、日中の活動が活発です。これは、人間の妨害や脅威が少ないためである可能性が高いといえます」(アンダーソン氏)
野生のイノシシの“勢力拡大”は避難区域だけにとどまらない。日本政府は2014~18年にかけてイノシシの個体数が4万9000頭から6万2000頭に増加したと推定しているが、研究チームではそれよりも増えていると予想している。
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