【怪談】洗ってもアノ匂いが消えない「スニーカーの怨念」! 遺体から盗まれた靴が勝手に…

――タイ在住歴20年の私バンナー星人が、タイ社会では馴染みの深い、妖怪、幽霊、怪談、呪術、占い、迷信といったものに光をあて、日本人の目には触れることが少なかったタイの怪奇世界に皆様をお連れします。

■破格の中古スニーカーに友人が言ったひと言「その靴はもしかすると…」

 タイに来てまもないころ、タイ人の友人に「チャトチャック市場」に連れて行ってもらったことがある。週末だけオープンするこの市場は「ウィークエンドマーケット」とも呼ばれ、海外からの観光客にも人気の場所である。メインの客層は地元のタイ人、特に若者たちで、出店も彼らにウケそうな服、カバン、靴などを扱う店が多い。

バンコクで人気のウィークエンドマーケット(画像:Shutterstock

 多種多様な出店をチェックしながら歩いていると、デザインのよいスニーカーが売られていた。値段を聞くと思ったよりも随分安い。試しに履きしようとしたその瞬間、友人が近寄ってきて「やめといたほうがいい」と耳元で囁いた。

 「え?」と不思議に思ったが素直にその場を離れた。「安いと思ったけど高かった?」と友達に聞いてみる。「値段じゃない、中古の靴は、どこから来たかわからないから、むやみに手を出さないほうがいいと思って」と言う。説明を聞いても、まだ不思議そうな顔をしている私に、友人は続けた。

「交通事故現場の遺体から盗んできたものも出回っていたりするって聞くし。霊に取り憑かれるの、怖いでしょ?」

 灼熱の日差しに照りつけられながらも、思いもよらぬ理由を聞いて背筋が凍った覚えがある。後日、調べてみると、実際、タイでは古着や中古靴にまつわる怪談は多いようだ。一例として、バンクと名乗る人物が怪談サイトに投稿していた話を紹介しよう。

■洗っても洗っても饐えた匂いが消えない?!

 大学を卒業したはいいが、仕事に恵まれなかったバンクさんが思いついたのが、市場で中古靴を売る商売だった。仕入れ値をいかに抑えるかがポイントである。しかし問題はなかった。なぜなら、カンボジア国境に隣接する町、アランヤプラテートにあるローンクルア市場には、衣料品が破格の値段で売られているからだ。キロ単位いくらで量り売りされる袋の中は、まさに玉石混淆で、ビンテージなお宝が紛れ込んでいることもある。昔から靴には目がないし、目利きには自信あるバンクさんにとって、中古靴の仕入れと販売はもってこいの商売に思えた。バンコクの市場の一角を月借りした彼は、兄所有のピックアップ・トラックで、早速仕入れに向かった。

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