【怪談】洗ってもアノ匂いが消えない「スニーカーの怨念」! 遺体から盗まれた靴が勝手に…
■暴走を始めたスニーカーはついに……
その日、深夜1時を過ぎた頃、2階の寝室で眠る兄弟は夜の静けさを破る物音で目を覚ました。音は隣家の1階から聞こえてくる。ドタバタと床をふみ鳴らすような音、パンッ!という何かが弾ける音も聞こえてきた。外で飲んで帰ってきた隣人が友人とパーティーの続きでもやっているのだろうか。迷惑な話だが、わざわざ文句を言って事を大きくすることもない。いつの間にか、再び眠りに落ちていた。
翌朝、まだ寝ている兄を横目に1階に降りた途端、バンクさんは眉をしかめた。洗って取れたはずのあの匂いが、リビング中に漂っている。あれだけ洗ってダメなら、いよいよ捨てるしかないか…..そう思いながら、換気のために玄関のドアを開けると、ちょうど隣人と目が合った。昨晩の騒音について文句を言ってやろうか。躊躇していると隣人が先に口を開いた。
「ずいぶん遅くまで盛り上がっていたようですけど、何かお祝いごとだったんですか?」一瞬、あっけに取られた。「それ、うちじゃないですよ」、そう言うのが精一杯だった。「それなら別のお宅かしら」隣人は納得のいかない顔つきで家の中に入っていった。
一体何なんだよ……と思いながら、家の中に戻ろうと振り返る。足を一歩踏み出したまま、その場で凍りついてしまった。昨日上り口に置いていたはずの2足のスニーカーがリビングの中央に乱暴に脱ぎ散らかされている。玄関のドアから漏れる朝日がリビング床の白タイルを照らす。スニーカーの足跡がくっきりと浮かび上がっていた。
あの2足のスニーカーは、事故現場の遺体から持ち去られたものだったのか。真相はわかるはずもない。その後、バンクさんは2足のスニーカーをお寺で供養してもらい、結局、それっきり中古靴を扱う商売も止めてしまった。
カンボジアとタイの国境市場は、古くから日本人バイヤーも出入りしている。アパレル関係には有名な場所だ。ここで日本人バイヤーによって格安で仕入れられた古着は、東京や大阪で人気の古着屋で若者向けに陳列されているだろう。服や靴に憑依した死者の無念、その思い――それは海を越えてさえ、あなたの元にやって来るかもしれない。
バンナー星人
2004年よりタイ在住。バンコクの公立学校にてタイの高校生に日本語を教える傍ら、2017年に、高野山大学院通信課程密教学修士号取得。仏教とオカルトが織りなすアメイジングなタイの魅力にとりつかれている。
Twitter : @berialshunnya
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