【実録】タイの観光ホテルで起きた超ヤバい「金縛り」事件とは!? 耳元で声、不審な従業員、カップルの幽霊に挟まれ…!

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第二次世界大戦中に日本軍によって建設されたカンチャナブリーのクウェー川鉄橋

 2018年10月のある日曜日、マーイさんは恋人ターさんと一緒にカンチャナブリーへと向かっていた。ターさんに翌日早朝カンチャナブリーで用事があるので、彼女も有給休暇を取って同行していた。久しぶりの旅行は楽しく、2人は夕方までカンチャナブリーの街を散策した。宿泊先を決めていなかったため、グーグルマップで手頃なホテルを探して向かった。

 ホテルは少々古めかしく見えたものの、改装工事を行なったばかりなのか、外壁も綺麗に塗り変えられていた。ホテル探しを続けるのも面倒だった彼らにとって、十分満足できる雰囲気だった。車を停め、ホテル内に入ると、スタッフが声をかけてきた。

従業員A「こんにちは、御予約のお客様ですか」
ターさん「いえ、泊まりたいのですが、予約はまだなんです」
従業員A「そうですか、ではこちらへどうぞ」

 そう言って2人をチェックインカウンターへ案内する従業員の愛想もサービスもよい。マーイさんは自分たちのホテル選びが間違っていなかったと満足していた。

従業員B「ただいま1階と2階の部屋が空いておりますが、どちらがよろしいでしょうか」
ターさん「では、1階でダブルの部屋をお願いします」

 従業員Bの顔から笑顔がすっと失せる。隣にいた、もう1人の従業員に助けを求めるように目配せをしたのがわかった。

従業員B「1階だとツインの部屋はご用意できるのですが……どうされますか」

 カップルでツインというのも味気ない。せっかく来た久しぶりの旅行なのだ。それにスタッフの様子だと、もう一押しすれば何とかなる気がした。そんな恋人マーイさんの考えはお見通しとばかりに、ターさんはこう続けた。

ターさん「どうしても一階のダブルがいいのですが、どうにかならないですか」
従業員B「では、少々お待ちください」

 従業員Bはカウンターを離れ、誰かに電話をかけはじめた。話し終えるとカウンターに戻り、あらためて2人にこう告げた。

従業員B「すみませんでした。ちょうどひと部屋空いているようですので、ご案内いたします」

 通された部屋は、思っていたよりも広く、隅々まで掃除が行き届いていた。「どうして最初ツインの部屋を勧められたのだろう」と気にはなった。しかし、最後の一部屋を獲得できた幸運を喜ぶまーいさんにとっては些細なことだった。もちろん、“この部屋の住人”がひっそり身を潜めていることなど、このときマーイさんとターさんは思ってもみなかった。

■なんだ、ただの金縛り……ではない!!

 その夜、昼間の疲れもあり、マーイさんはベッドに横たわると同時に眠りに落ちた。朝方、深い眠りから一気に引き上げられるように目が覚めた。瞬間、彼女は異変に気がついた。何かに押さえつけられている…?身体が重い…?? 起き上がれない…⁉

 助けを求めて叫ぼうとしたが、声の出し方もわからない。辛うじて動くのは目線だけ。そして絶望的な状態を理解した。横に寝ているはずのターさんはすでに出かけてしまっていた。焦りながらも動こうと藻掻くうちに、フッと身体が軽くなる。いつもの感覚が戻ってきた。

「なんだ、これがよく言われる金縛りか。変な目覚め方をしたものだから、身体より先に頭が起きてしまっていたのね」

 恐怖にかられていた先ほどまでの自分が滑稽に感じられ、落ち着きも戻ってきた。安心したこともあり、マーイさんは眠気に誘われるまま、再び目を閉じた。

 再度、目が覚めた。既視感――先ほどと同じ状況に彼女は陥っていた。何かに押さえつけられていかのように身体が重く、起き上がりたくても、それが出来ない。声も出ない。再び動く目線で隣に目を移す。ターさんはまだいないのだろう。

 しかし、そこには彼氏の代わりに彼女を見つめる瞳があった。瞬きもせず、じっと彼女を見つめる白人の頭が横たわっていたのだ。戦慄しても声は出てこない。反射的に目を閉じて、錯覚を見たと自分に言い聞かせた。しかし、そんな彼女を嘲笑うようにイサーン方言の女の声が耳元で聞こえた。

「お前、このぐらいでそんなに怖いのかよ」

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