【タブーすぎる食レポ・人肉レシピ】人肉食研究家が現代も人気の“人肉メニュー”公開!アステカ伝統料理「ポソレ」スープ

 世の食通たちですら手を出さない禁断の食材、それが人肉。文化人類学を学び、人肉食の軌跡を求めて世界中を回った筆者が、その禁忌を歴史や文化面から紐解く。

 現代や当時のヨーロッパの価値観に照らし合わせると衝撃的ではあるが、メキシコで栄えたアステカ帝国ではかつて、人間を殺してその肉を食べる、ということが合法的に行われていた。人肉食が人々の生活の中にあった理由は大きく2つある。1つは、神様への捧げ物として人間を生贄に捧げる、という宗教的なもの。資料によると、現代のタブーとされる人肉食も、大体1ヶ月に1回くらいのペースで神様へ捧げ物が必要と考えられており、そのたびに複数人が生贄として捧げられたという。宗教的生贄まではギリギリ我々の頭で理解できる範疇だといえるのだが、どうして実際人が人を美味しく料理して食べる必要があったのかは、かなり理解に苦しむ。

 2つ目の大胆な仮説として、当時のアメリカ大陸には現代のような牛や豚といった家畜に適した動物がおらず、慢性的にタンパク質が不足していたため、栄養を補うために人を食べていたんじゃないか、というもの。神様云々というより、純粋に「ガッツリ肉が食いたい」という欲望となって現れたのではなかろうか。この文脈で考えると、宗教というのは同胞を食べることを合法にするための大義名分であるように思われる。単に儀式で食べていたのなら、美味しく食べるための料理など発達するわけもない。しかし、現代の南米には、人肉食はれっきとした食文化として、形を変え現代まで受け継がれることとなる。実際人肉を食する伝統は、スペインによるアステカ帝国征服後、人肉食を禁じるまで続いたという。(詳しくは前回のお話へ)

アステカ人の人肉食の風景(画像はWikipediaより)

気になる禁断の人肉料理

 では、どのようにして美味しく食べていたのか。文献にも残っているのは「ポソレ」という料理である。ポソレは、ピリ辛唐辛子お出汁にとうもろこしと人肉、モツなんかもたくさん入った栄養満点のスープである。薬味にラディッシュや千切りキャベツ、パクチー、レモンを添えるとあり、お野菜も効率よく摂取できて大変バランスよく、いかにも美味しそうな凝った一品である。

現代映画『フリーダ』にも登場する人肉料理

 かの有名なメキシコ人の女流画家・フリーダ・カーロの生涯を描いた映画『フリーダ』という映画がある。実はこの映画のワンシーンに、この人肉料理が出てくるのはご存じだろうか。フリーダが夫に「ポソレが冷めないうちに食べてね (Eat your posole while it’s still hot)」と言うシーンがあり、これが上述の人肉料理ズバリなのだ。現代のご家庭でもよく作られるおふくろ料理であることが伺い知れるのである。さて、映画の中のお肉は何肉か?観てのお楽しみである。

映画『フリーダ』(2002年)

 筆者が旅したメキシコの街中には、ポソレを専門に提供するお店(しかもチェーン店)もたくさんあり、地元民で賑わっている。もちろん現代では(残念ながら)人肉ではなく豚肉を使っている。驚くべきことにポソレは現代のメキシコでも人気フードの一つであるのだ。
この豚肉を使う理由というのも「人肉に味がよく似ているから」ということであった。

ポソレ(3〜4人分)
材料
メキシコの唐辛子 1個
人肉(豚肉で代用) 150グラム
メキシコのジャイアントコーン(乾燥) 半カップ
玉ねぎ 4分の1
ニンニク 2かけ
クミン 小さじ4分の1
オレガノ 小さじ1
薬味 各適量
 千切りキャベツ
 薄切りラディッシュ
 みじん切りパクチー
 レモン
※メキシコ特有の食材は五反田のキョウダイマーケットにて購入。

作り方

 前日からジャイアントコーンを水に浸して戻しておく。


 人肉(豚肉)を一口サイズに刻み、粗みじん切りの玉ねぎ、皮を剥いたにんにく、水で戻したジャイアントコーン(水は捨てる)、クミンを一緒に1時間ほど火にかけ、適宜灰汁を取る。


 その間に唐辛子の種を取り、油を引かないフライパンで軽く黒っぽくなる程度に焼く(焼く時は目がやられるので、換気扇を忘れずつけること)。焼けたら、キッチンバサミとかで唐辛子を刻み、熱湯(分量外)をひたひたくらいに注ぎ、30分ほどつけ、出汁をとる。



 唐辛子水をザルで濾す(水は捨てない、唐辛子は捨てて良い)。

人肉(豚肉)の入った鍋に唐辛子水を入れ、5-10分煮込む。
最後に塩で味をととのえ、オレガノを入れる。
付け合わせの野菜を盛り付け、完成!
ピリ辛スパイシーで、これから寒くなる季節にあったまることができる、とても美味しいスープである。

筆者作のポソレ


 現地で食べたポソレはこちら、La Casa de Toñoのものである。メキシコシティの中心部、繁華街のZona Rosaエリアにあり、駅から近くて行きやすいし夜歩くのも安全な場所である。

ポソレ店、La Casa de Toñoの店内にはポソレの盛り付け完成図が貼られている。(筆者撮影)


 一杯あたり58ペソ、約313円と、現地の物価からしても庶民に手が届くお手頃価格。私が作ったものとは使う唐辛子の種類が違うため、スープの色が違っている。スープは赤いがモツ煮や豚骨スープに似たクリーミーさもある。具材にはモツも余さず使われており、豚の旨味がしっかり効いている。ピリ辛だが見た目の赤さほど辛くないため、キムチが食べられれば大丈夫な程度だと思われる。薬味にはお野菜がたくさん出てくるので、1品でバランスよく栄養が取れるのは野菜が不足しがちな旅人には大変ありがたい。

 このお店以外にもポソレ屋はそこらじゅうにあり、使用しているお肉もチキンだったり、使う唐辛子の種類が違う緑ポソレや、唐辛子を使わない白ポソレだったり、バリエーションも大変豊かである。

現地のポソレは人肉改め豚肉がたっぷり入っている(筆者撮影)

ポソレ以外の人肉レシピはあったのか

 アステカ帝国では大体1ヶ月に1回ぐらいの頻度で人間の生贄が捧げられ、そのお下がりの肉を人々は食らった。1回の儀式で捧げられる生贄も1人ではなく複数人であったことから「きっと料理のレシピはポソレだけではなくもっと色々あったのではないか」と筆者は考察する。人肉で作ったと伝えられる料理はこのポソレだけだが、現代のメキシコには他にも豚肉を使った料理がたくさんあるのである。テキーラの原料となるアロエのような多肉植物アガベの葉っぱで豚肉をじっくり蒸しあげたメキシコ伝統のバーベキュー・バルバッコアや、豚の皮を油で揚げてパリパリせんべいにしたチチャロン、トロトロに煮込んだ豚肉をタコスに挟んでみたり、と非常にバリエーション豊かである。きっと、生贄祭りは月イチのお肉を食べられる貴重な機会であり、それを余すことなく美味しくいただくため、人々は趣向を凝らしたに違いない、と筆者は考える。
(文=人肉研究所)

文=人肉研究所

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