30分間隔で「スイッチオンとオフを繰り返す」天体が発見される! 奇妙すぎる点滅の謎とは!?
部屋の照明のスイッチを入れるように点いたり消えたりするする天体が存在する? この度、天文学者はまるで「オンとオフ」を繰り返しているような短い間隔で点滅する白色矮星を発見した。
■30分間隔で「オンとオフ」を繰り返す白色矮星
地球が属する太陽系の“主役”である太陽のような恒星がその水素をすべて燃やし尽くしてしまった時、通常は惑星のサイズに縮小した白色矮星に姿を変える。輝きを失った恒星の“燃えかす”ともいえる。
しかし、そうはいっても元は恒星であることから]、その質量は凄まじく高密度であり、白色矮星を取り巻く宇宙空間には引き寄せられた惑星や岩石などが周回しながら滞留する「降着円盤」と呼ばれる円盤状の構造が形成される。この降着円盤内のガスの密度がある一定の閾値を超えると、一度に大量のガスが主星に向かって流れ込む現象が起こる。この時、降着円盤の温度が急激に上昇して明るく輝くのだ。つまり“燃えかす”である白色矮星が輝きを取り戻す瞬間だ。
もちろんその輝きは徐々に失われ、ついには「消灯」時間を迎え、再び一定量のガスが溜まってきたところで「点灯」となる。つまり一定の間隔で「オンとオフ」を繰り返しているのだ。
この「オンとオフ」を繰り返す周期は短くても数日、長ければ数カ月を費やすことがこれまでの観測で報告されているのだが、今回、英・ダラム大学をはじめとする研究チームが先日「Nature Astronomy」に発表した研究では、なんと30分間隔で「オンとオフ」を繰り返している白色矮星の存在を特定しているのである。
研究チームはNASAの「トランジット系外惑星探査衛星(TESS)」を使用して観測を行い、地球から約1400光年離れた場所にある「TWピクトリス(TW Pictoris)」と呼ばれる白色矮星に着目したところ、このTWピクトリスの輝きが30分で急減することを発見したのである。これはこれまでに観測された白色矮星の中で群を抜いて最速の「オンとオフ」の切り替え間隔であり、まるで照明のスイッチのように頻繁に「オンとオフ」を繰り返していたのだ。
■表面磁場が再構成されているのか
英国ダラム大学の銀河系外天文学センターのシモーネ・スカリンジ博士は、この現象を下記のように説明している。
「白色矮星の降着円盤で見られる明るさの変化は一般的には比較的遅く、数日から数カ月のタイムスケールで発生します。TWピクトリスの明るさが30分で急降下するのを見るのは、他の降着円盤を持つ白色矮星では見られなかったので、それ自体が異常であり、これらのシステムが降着円盤をどのように通過するかについて、私たちの理解からはまったく予想外の現象です。まるでスイッチのオンとオフが切り替わっているようです」(シモーネ・スカリンジ博士)
研究チームにとっても予想だにもしていなかった現象が観測されたことになる。
「これは実際に以前には認識されていなかった現象であり、はるかに小さな中性子星での同様の振る舞いを比較できるため、他の降着物体がどのように利用されているのか、それらを取り巻く材料と、このプロセスにおける磁場の重要な役割をよりよく理解するのに役立つ重要なステップになる可能性があります」(シモーネ・スカリンジ博士)
白色矮星が短時間で「オンとオフ」を繰り返す背後にある理由は、その表面磁場が再構成されていることに関係していると考えられるという。
「スイッチ」が「オン」になると明るく輝く一方で、磁場が非常に速く回転するため、遠心力バリアによって降着円盤の“燃料”が白色矮星に到達することができなくなり、“燃料”を断たれた白色矮星は輝きを失うが、その後にプロセスは突然「オン」に戻り、再び明るくなることを繰り返しているということだ。
ある意味で前代未聞の発見であった今回の研究だが、この広い宇宙には我々の予想超えた現象がまだまだ残されていることは間違いない。
参考:「Mysterious Universe」、ほか
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2024.10.02 20:00心霊30分間隔で「スイッチオンとオフを繰り返す」天体が発見される! 奇妙すぎる点滅の謎とは!?のページです。白色矮星、恒星、点滅、宇宙、降着円盤、トランジット系外惑星探査衛星などの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで