“無呼吸でも死なない”ヤバすぎる生物が爆誕! 血が緑色の「無呼吸人間」実現へ(最新研究)
呼吸が止まると当然、我々は死を迎えることになるのだが、もしも植物のように“光合成”ができるとすれば息が止まっても死なずに済むかもしれない。驚くべきことに最新の研究では、オタマジャクシの脳を光合成で生き永らえさせることに成功している。
■光合成で生み出された酸素で脳活動が再開
たとえ競泳の金メダリストであっても、我々人間は水中では息継ぎをしなければならない。一方で水陸で二重の生活を送る両生類のカエルは羨ましいことに(!?)魚のようにエラ呼吸もできれば、我々と同じように肺でも呼吸ができ、しかも皮膚呼吸まで可能というなかなかエクセレントな能力を持っている。
そこで研究者は、これほど多彩な酸素の摂取手段を持つ両生類ならば、他にも酸素の獲得方法が得られるのではないかと考えた。そのもう1つの方法とは、「光合成」である。
独ルートヴィヒマクシミリアン大学ミュンヘン校(LMU)のハンス・ストラカ氏をはじめとする研究チームが先日、学術誌「iScience」で発表した研究報告では、オタマジャクシの血流に藻類を導入することで、光合成によって酸素が供給できるようになったという。酸欠で活動を休止したオタマジャクシの脳が、血中の藻類が光合成で生み出した酸素によって活動を再開させたのである。
酸素発生型光合成を行う生物のうち、主に地上に生息するコケ植物、シダ植物、種子植物を除いたものの総称が藻類(そうるい、algae)だが、研究チームはこの藻類をオタマジャクシの心臓に注入し、光合成で産出された酸素を運ばせることで、外界の酸素が欠乏した状態でも脳活動を継続させることに成功した。
「藻類は実際に非常に多くの酸素を生成したので、神経細胞を生き返らせることができました」
「多くの人にとって、それは空想科学小説のように聞こえますが、結局のところ、それは生物学的スキームと生物学的原理の適切な組み合わせなのです」(ハンス・ストラカ氏)
ストラカ氏はアフリカツメガエル(Xenopus laevis)のオタマジャクシの脳における酸素消費量を研究していたのだが、植物学者との昼食時の何気ない会話から、植物生理学と神経科学を組み合わせるというアイデアを思いついたのだ。自然界において、藻類は海綿やサンゴ、イソギンチャクと共生し、彼らに酸素や栄養素を提供している。それをカエルのような脊椎動物の体内で実現する――つまり、光合成の力を利用して神経細胞に酸素を供給することができないかと考えたのだ。
可能性を探るため、研究チームは緑藻(Chlamydomonas renhardtii)またはシアノバクテリア(Synechocystis)をオタマジャクシの心臓に注入した。心拍ごとに藻は血管を介してゆっくり身体中に回り、最終的に脳に到達し、半透明のオタマジャクシの血液を明るい緑色に変えた。そして藻類が全身に回ったオタマジャクシに光を当てると、藻類が光合成によって生み出した酸素が近くの細胞に供給されるようになったのだ。
■人間を含む脊椎動物の光合成が可能になる日
藻類を脳に行き渡らせた後、研究者たちはオタマジャクシの頭を隔離し、周囲の環境を酸欠状態にした。酸欠でいったんは活動を止めた脳であったが、脳を光で照らすと15~20分以内に神経活動が再開されたのである。活動再開までに要した時間は、藻を使わずに外部から酸素を補給した場合の約半分になったという。復活した神経はまた、酸素欠乏前と同等またはそれ以上に機能したということだ。
「この方法で原理実証実験を行うことに成功しました。それは驚くほど信頼性が高く、確実であり、私の目には美しいアプローチでした。原則として機能するということは、それをそのまま適用できるという意味ではありませんが、他の研究を開始するための最初のステップとなります」(ハンス・ストラカ氏)
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2024.10.02 20:00心霊“無呼吸でも死なない”ヤバすぎる生物が爆誕! 血が緑色の「無呼吸人間」実現へ(最新研究)のページです。脳、酸素、光合成、オタマジャクシ、藻類、脊椎動物、エラ呼吸などの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで