竜巻発生に「明らかな傾向」ついに発見!! 日本の“要注意期間”を発表… 米国の被害もその期間内だった!
■海洋現象と竜巻発生(日本)
次に筆者は、日本で発生する竜巻の傾向を、やはり海洋現象の観点から調べてみた。気象庁サイトで公開されている1961~2016年3月までのデータ(全1277件)を用い、各発生日にエルニーニョ・ラニーニャ・黒潮大蛇行が発生していたか照会すると、下記のような結果となった。
エルニーニョ発生中:407件(32%)
ラニーニャ発生中 :322件(25%)
黒潮大蛇行発生中 :269件(21%)
結果を補足すると、まずエルニーニョ現象は全期間中の約35%の期間で起きていたが、竜巻発生件の数は32%と、期待値よりやや少ない。また、ラニーニャ現象は全期間中の約20%で発生しているが、竜巻の発生件数は25%と、こちらは期待値よりも多い。
さらに、気象庁のデータは発生場所について海上・陸上の別を示しているが、全体の中では陸上が約70%と多い。しかし、エルニーニョ発生中の海上・陸上の違いをみると、海上では全393件中8%と非常に少なく、陸上では35%となる。つまり、エルニーニョ発生中は日本付近の海面水温が低くなる傾向があり、それが竜巻の発生を抑止しているのではないか。また、ラニーニャ発生中では海上で28%、陸上で24%と、海上の方が多く発生している。これも、現在のようにラニーニャ現象の発生中に日本付近の海面水温が高くなる影響ではないかと考えられる。
次に、黒潮が南へと大きく蛇行する黒潮大蛇行の発生中に起きた竜巻は全件中21%で、大蛇行は全期間の約30%で発生していることを考えると、竜巻の発生は少なくなる。また、海上・陸上に分けてみると、陸上では全件中20%、海上ではわずか1.5%となり、黒潮大蛇行の発生中は海上では竜巻がほとんど発生しない。
■日本の注意期間は?
調査の結果わかってきたのは、竜巻の発生は(特に海上では)海水温の上昇によって発生しやすいということ。そして、日米で起きる竜巻は、海水温に影響を与えるエルニーニョ・ラニーニャ・黒潮の状態によって発生の危険性をある程度予測できるということだ。現在はラニーニャ現象が発生中で、日本と米国の南東部ともに竜巻のリスクが高い期間に該当する。一方、現在の日本は黒潮の大蛇行期にも該当しており、期間中は竜巻のリスクが低い。つまり、高低のリスクが混ざった状態ということになる。
これからの課題を挙げるならば、今回のように海上で発生する竜巻の傾向がわかっても、過去には物的・人的被害が発生していないケースがほとんどであり、むしろ陸上で起きる竜巻に注目して発生傾向をさらに詳しく分析することの方が、減災の観点では重要かもしれない。また、地球温暖化の進展によって竜巻発生の傾向に変化が見られるのか、今後も注視していく必要がありそうだ。なお、ここで示した筆者の研究は、米国での惨事を受けて急遽調査を行なったものであり、さらに内容を詰めていく必要があることも付記しておきたい。
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2024.10.02 20:00心霊竜巻発生に「明らかな傾向」ついに発見!! 日本の“要注意期間”を発表… 米国の被害もその期間内だった!のページです。竜巻、気象庁、エルニーニョ現象、ラニーニャ現象、2021年などの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで