ウクライナ侵攻直前にロシアが流した“謎の映像”の意味とは!? 本当に怖いプーチンの実像をジェームズ斉藤が解説
ジェームズ 当然です。「併合」という意味になってしまいます。「独立承認」と「併合」は全く意味合いが違います。前者はウクライナの市民の総意をクレムリンが認めることで国際法上問題ないのですが、後者はロシア連邦の中に「吸収」するロシアの領土拡大の意味合いになり、明らかな侵略行為になります。
──つまり、テレビカメラの前で「最悪の場合、侵略の決断を下すこともある」と言ってしまったということですか!?
ジェームズ そうです。当然、プーチンは「教えてくれ、最悪の場合とはどういう意味なのか」と怒りを抑えながら質問するんですが、その時の映像がこれです。
──おぉ、確かに、プーチンは呆れた顔して「最悪のケースとはどういう意味だ」と言っていますね。
ジェームズ 最初は呆れ顔ですが、そのあとどんどん険しい顔になっていきます。なぜなら、SVR長官セルゲイ・ナルイシキンは自分の失言に気づいてろれつが回らなくなり、「ええと……いや、私は……ええと……」しか答えられなくなってしまうからです。プーチンはその様子を見て、だんだん怒りが増して、「教えてくれ、セルゲイ。最悪の場合とはどういう意味なのか」「はっきり言え! イエスか、ノーかで答えてくれ、セルゲイ」とか、メチャクチャ詰めていくんです。ちなみにロシア語で政府関係者が他人をファーストネームで呼ぶことは、旧来の友人の証で、やはりプーチンとナルイシキンも元KGB同僚で、今回の説教は友人として行っています。
──(動画を見ながら)うわぁ、本当ですね! プーチンは感情を抑えようとしていますが、目に怒りが出てますね。
ジェームズ プーチンのボディーランゲージを見る限り芝居ではなく、本物の感情に見えます。これが本当であれば、ナルイシキンは間違いなく粛清されるでしょう。
──え? 本当じゃない可能性もあるんですか?
ジェームズ そうなんです。実はこの映像にはカラクリがあって生中継ではなく、収録された映像の配信を生中継という形をとっている可能性があるのです。なぜ、収録された映像なのかというと、プーチンの腕時計の時間が10:45AMなのに、ラヴロフ外務大臣とショイグ国防大臣の腕時計は11:45AMになっているからです。プーチンと閣僚の腕時計の時間が違っているなどということはロシアでは絶対にありえません。
──ということは、さっきの一連のやりとりも芝居の可能性があると。
ジェームズ あります。しかし、そうなると腕時計の時間をあわせていないのがお粗末です。一方で生中継でなければナルイシキンの失言をカットできたのにしなかった理由もよくわかりません。欧米では「プーチン激怒」といったタイトルで流れていますが、なんとも不可解な映像なんです。
──それが全面侵攻の前々日に公開されたということに、なにか意味があるんじゃないということですか?
ジェームズ 可能性の1つとして外せません。まず、この映像からわかることは、どんな形であれ、SVR長官の失態が世界に流れたということです。フェイクだろうとなんだろうと、SVR長官の信用はこれで落ちました。セリフも覚えられない無能な長官だと言ってるようなものなのですから。また、それから見えてくることは、ウクライナ侵攻の主導権を握っているのはSVRではなく、ロシア軍、特にGRU(ロシア連邦軍参謀本部情報総局)だということです。
──GURが暗躍している可能があるんですね。だけど、確か昔はGRUよりもSVRのほうが諜報活動では主導権を握っていませんでしたか?
ジェームズ 場合によります。ウクライナ侵攻はもともと諜報機関ではなく、ロシア軍の案件なんです。2014年のクリミア併合作戦にしてもロシア軍がずっと以前から温存していた作戦で、それをプーチンに飲ませて現在に至っています。それ以来、軍が政治的に台頭しています。プーチンは元々SVRの前進機関のKGB対外諜報部出身でセルゲイ・ナルイシキン長官とは同僚です。
──軍閥のGRUと、プーチン派閥のSVRの抗争みたいなものもあるんですか?
ジェームズ それは昔からあったんですが、ここに来てという感じなんですね。そんな中で、まさかの電撃侵攻が起こったわけです。もちろん、命令したのはプーチンですが、実際に動いているのはロシア軍ですから軍閥の思惑も捨てきれないわけです。
関連記事
人気連載
“包帯だらけで笑いながら走り回るピエロ”を目撃した結果…【うえまつそうの連載:島流し奇譚】
現役の体育教師にしてありがながら、ベーシスト、そして怪談師の一面もあわせもつ、う...
2024.10.02 20:00心霊ウクライナ侵攻直前にロシアが流した“謎の映像”の意味とは!? 本当に怖いプーチンの実像をジェームズ斉藤が解説のページです。プーチン、ウクライナ、KGB、チェチェン、バイデン、第三次世界大戦などの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで