【東大怪談】高熱で突然掛け算の九九ができるように「あれがなかったら東大合格はなかった」
「死ぬ夢と九九」
綿谷翔の体験談(2003年文科Ⅲ類入学 30代男性)
 父は単身赴任が長かったし、母はあまり熱心に面倒を見てくれる人ではなかったせいもあって、僕は小学校の時から全然勉強ができませんでした。学校自体が多少荒れていたというのもあって、「勉強をする」という概念自体がないという感じでした。
 低学年で、掛け算九九をやりますよね。あれで最初につまずいたんです。先生の前でスラスラ暗唱できたらご褒美シールをもらえるのですが、僕は何度トライしてもダメだったんです。途中で自分が何をやっているのかわからなくなってしまって。30人のクラスでできないのは僕ともう一人だけでした。ようするに、クラスでビリってことですよね。
 ある日、熱を出して学校を休んだんです。39度以上の高熱でした。インフルエンザだったのか、とにかく節々は痛むは、呼吸は苦しいはで、ヒーヒー言って、二階の畳の部屋の布団でのたうち回っていました。眠りに落ちては苦しくて目を覚ます、そんな繰り返しが続きました。
 何度目かに眠りに落ちた時、夢を見たんです。
 暗闇に、寝間着のままの僕が放り出されていました。「どこなんだろう、ここは?」と考えていたら、はるか遠くに光の点がいくつも見え始めたんです。「きれいだな、星か。あ、ここは宇宙空間なんだ」と理解しました。体がフワフワと浮かんで、たしかに宇宙飛行士みたいな感覚です。
 すると、遠くにあった惑星が次第に大きくなってきました。ぐんぐんと近づいてくるのです。その小惑星のクレーターが見えるほど僕に急接近してきました。「危ない!」と思った瞬間、僕はよけ切れずその惑星の直撃を食らったんです。
 グシャ!
 ものすごい苦痛でした。体がバラバラに砕け散って、僕は消滅しました。
 気がつくと、僕はまた宇宙空間に浮かんでいました。そして、遠くに光っていた星が再びものすごい速度で僕に向かって飛んできます。
 グシャ!! 
 あまりの苦痛。僕は大声で叫びながら消滅しました。誰も助けてはくれません。
 宇宙空間で、星が次々に飛んできては僕に直撃する。その繰り返し。
 その痛みはあまりに生々しくリアルで、体が引き裂かれる苦しみは尋常ではありません。「どうして僕がこんな目に…」と思っているうちにまた次の星が飛んできます。その拷問は永遠に続くかと思われましたが──。
 ハッと目を覚ましたら、僕は寝床にいました。汗びしょびしょでうめいていた僕を、祖母が看病してくれていたんです。
 翌朝、熱は嘘のように引き、僕は普通に登校しました。
 苦手な算数の授業がありました。まだ、クリアしていない僕ともう一人が、九九の暗唱をさせられることになりました。
「またみんなの前で恥をかくのは嫌だなあ」と思いながら、先生と生徒たちの前に立ち、九九の暗唱を始めたんです。
「ん? 変だな」と思いました。
 いつもなら、頭にモヤがかかってつまずくところも引っかかりません。最後まで九九を暗唱できてしまったのです。あれほど練習してもできなかったのに、なぜか突然それは訪れました。先生は「やっとできたか」というような顔をして褒めてはくれませんでした。でもとっても嬉しかったことを覚えています。
 その日から何かが変わりました。算数でつまずくことがなくなりました。授業を聞いていてもわからないことがない、という感覚です。
 それから、中学、高校、さらに大学と進むにつれ次第に成績が上がっていきました。入ったら勉強しなくなると言われる大学時代が圧倒的に良かったりして。よく「昔からできたんでしょ?」と言われたりしますが、今言った通りそれはちょっと違うんです。
 根拠はありませんが確信を持って言えます。あの高熱と夢がなかったら間違いなく東大には入っていなかったでしょうね。
 そういう意味でこれは、「東大怪談」って言っていいんじゃないですかね(笑)
綿谷翔
2003年 文科Ⅲ類 入学 2007年 文学部行動文化学科 社会心理学専修課程 卒業
現在:株式会社こはく社代表取締役(フリー編集者)
・書籍編集、著者プロデュース、原稿執筆、出版セミナー等
・「片親の子」支援、離婚後の夫婦相談
・片親サバイバーとしての講演・動画配信
・綿谷翔のブログはコチラ
この記事は『東大怪談 東大生が体験した本当に怖い話』の抜粋です

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