現代人を救う「ストレスワクチン」開発へ! マウス実験成功、微生物注射で衝撃の変化

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イメージ画像:「Getty Images」

※ こちらの記事は2019年6月21日の記事を再掲しています。

 何かとストレスが多い現代人を救う「ストレスワクチン」が生まれるかもしれない。米国の研究者らが土の中から見つけた微生物に、動物のストレスへの耐性を高める力があると判明したのである。

Healthy, stress-busting fat found hidden in dirt (CU Coulder Today)

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画像は「Big Think」より引用

 土壌の中にはたくさんの微生物が生息しており、抗生物質をはじめとして様々な薬剤の発見・開発につながってきた。米国コロラド大学ボルダー校統合生理学科のクリストファー・ローリー氏らは、土壌から見つかった非病原性微生物Mycobacterium vaccaeにマウスのストレス反応を低下させる作用があることを発見、その原因を解明したとして5月22日付の専門誌「Psychopharmacology」に論文を発表した。

 ローリー氏らはマウスにM.vaccaeを注射し、それからストレスを与えた。するとマウスのストレス反応が減少し、ストレスで誘発される大腸炎も予防できることが示された。さらに、マウスをもう一度同じストレスにさらした時もストレス反応が小さくなっていたという。

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画像は「Getty Images」より引用

 なぜこの微生物がマウスのストレス反応を軽減させたのか? ローリー氏らはその原因として、M.vaccaeが生成する10(Z)-ヘキサデセン酸という脂肪酸を特定した。この物質はマウスの免疫細胞でペルオキシソーム増殖剤応答性受容体(PPAR)と結合し、炎症反応を抑える働きを持っていることがわかったのだ。つまり、M.vaccaeを注射されたマウスでは、ストレス性の炎症が抑えられていたのである。

 この研究は1989年に発表され物議を醸してきた「衛生仮説」に基づいている。衛生環境が改善したことで、幼少期における微生物との接触が減り、そのことが免疫疾患やアレルギーなどが増加した原因ではないかというものである。現在、この仮説はさらに発展しており、長い間ずっと人間と共存してきた有益な微生物の影響も議論されている。M.vaccaeにストレス性の炎症を抑える効果があったという今回の研究も、この考え方を裏付けるような内容だ。

「人間が農業や狩猟をやめて都市に移動して以来、免疫システムを調節したり不適切な炎症を抑制したりするのに役立っていた生物との接触を失ってしまいました。それが炎症性疾患とストレス関連性の精神疾患の危険性を高めているのです」(ローリー氏)

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