ロシアのプロパガンダに意外な変化? 「ユダヤ陰謀論」で論理が破綻し… ウクライナ識者が解説!
ロシアがウクライナへの侵略を開始してから4カ月近くが過ぎた。ロシア国内でもプーチン政権を支えてきた新興財閥「オリガルヒ」をはじめ戦争反対の声が高まってきているが、今だにプーチンが諦めない理由として、一定数の国民がこの戦争を支持していることもあるだろう。
ロシアの政治評論家ドミトリー・オレキシン氏がロシア国内の選挙結果を分析したところ、25%の国民は「プーチンによるソ連復活」を支持する民族主義者だという。(もっとも想定されるプーチンの支持率は西側・露側の報道により異なるが)
ロシア国内ではさまざまなプロパガンダが報道されているが、多くの場合、実はその源流にはユダヤ人が世界の政治・経済を不当に操っているという「ユダヤ陰謀論」がある。「ゼレンスキーは(ユダヤ系だが)実はネオナチだ。ヒトラーにもユダヤ人の血が流れていた」というロシアのセルゲイ・ラブロフ外相の発言はその最たる例だろう。
■ユダヤ陰謀論の原点はロシアの『シオンの議定書』
実はロシアによる「ユダヤ陰謀論」プロパガンダは今に始まったことではなく、19世紀の帝政時代から、ロシアの政府は「ポグロム(ロシア語で「破壊」の意)」というユダヤ人迫害を行っていた。帝政に対する社会の不満が高まるにつれて、それを沈めて政権を安定させるためのスケープゴートとして利用したのだ。結果、19世紀には反ユダヤ暴動が相次いだ。
そして1903年、ロシア帝国は後に「ユダヤ陰謀論」の元となる偽書『シオンの議定書』を発行し、ヨーロッパ中に普及させた。
同書の内容は「シオンの賢人と呼ばれるユダヤ支配層が、世界の政治・経済・報道を支配し、世界征服を企んでいる」「全人類をユダヤ教の前にひれ伏させるつもりだ」「フランス革命もユダヤ人の専制君主を誕生させるための王政打倒だった」などの内容である。
『シオンの議定書』によって人々は次第にマインドコントロールされ、ユダヤ人の迫害が正当化されていった。ポグロムでは、殺人・強盗・強姦・略奪など残虐卑劣な行為が横行していたが、1917年以降のロシア革命中には何千人ものユダヤ人が殺害されたといわれる。やがて、その考え方はナチス・ドイツにも大きな影響を与えた。
ネオナチ殲滅を掲げてウクライナを攻撃するロシアの主張は、このような経緯を考えればまったく筋の通らない話ではあるが、いずれにしてもロシアは今も『シオンの議定書』で広まった「ユダヤ陰謀論」を、自分たちに都合よく利用しているのだ。
■国際政治学者が語るプロパガンダの現状
筆者は今回、ウクライナの国際政治学者アンドリー・グレンコ氏にロシアが広めた「ユダヤ陰謀論」やプロパガンダについてインタビューした。
「プーチンを擁護する人々には、(あらゆる悪事の背後にユダヤ人がいるという)ユダヤ陰謀論を信じている人々が多いようです。かつて、『シオンの議定書』を世界中に広めたように、今回もロシアはユダヤ陰謀論を利用して自らを正当化しようと試みているのでしょう」(グレンコ氏)
しかし、グレンコ氏によると、昨今のロシアのプロパガンダには変化があるという。
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2024.10.02 20:00心霊ロシアのプロパガンダに意外な変化? 「ユダヤ陰謀論」で論理が破綻し… ウクライナ識者が解説!のページです。ロシア、ユダヤ人、プロパガンダ、ウクライナ侵攻、アンドリー・グレンコ、シオンの議定書などの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで