米国で拡大する謎のカルト「オデッセイ・スタディ・グループ」とは? 元女優が作り上げた搾取・洗脳・虐待の帝国
安倍晋三元総理大臣が銃撃され死亡した事件をきっかけに、「世界平和統一家庭連合」に厳しい目が注がれている。同連合は、信者への高額の献金要求や、壺や印鑑などを売りつける霊感商法で有名な新興宗教で、かつては「統一教会」と名乗っていた。世界各国でカルト認定される団体でありながら、日本では政治家たちと密接な関係を築いており、このことが日本国民の間でようやく問題視されるようになった。
だが、世界平和統一家庭連合のような団体は世界各地に存在する。その中でも、米ニューヨーク州マンハッタンを拠点とする「オデッセイ・スタディ・グループ(OSG)」は、創設者が死去した後も富裕層を取り込みつつ規模を拡大中だ。
1970年代、女優のシャロン・ガンズ(昨年死去)とその夫で劇作家のアレックス・ホーン(2007年死去)は、サンフランシスコで「Theatre of All Possibilities」という劇団を共同設立した。この劇団がOSGの前身とされるが、当初はホーンが制作した演劇を上演する集団にすぎなかったという。
ガンズは、1966年に舞台『Soon Jack November』に出演し、オビー賞(ニューヨークで上演された優れた劇に与えられる賞)の最優秀女優賞を受賞。1972年には、映画『スローターハウス5』にも出演するなど役者として名声を得たが、その一方で自らが設立した劇団は1978年12月に解散となってしまう。というのも、性的虐待と暴行の申し立てを受け、警察と社会福祉捜査官が元劇団員に事情聴取したことが発覚したからである。
元劇団員によると、ロシアの精神指導者であるゲオルギイ・グルジエフと神秘思想家のピョートル・ウスペンスキーの技術を学ぶために数千ドルを支払うなど搾取され続けたという。また、劇団主催のディナーショーのチケットを路上で売ることを強制され、ノルマを達成できないと殴打されていた。メンバーが雑用やリハーサル、公演で時間を取られている間、彼らの子供たちは舞台裏に放置され、ネグレクト状態だったという証言もある。
1980年代、夫妻はニューヨークに移ると、支持者から集めた資金でマンハッタンに850万ドル(約11億円)のアパートを購入して人々を住まわせた。これがやがてOSGという組織へと発展していくのだ。2001年、OSGは営利企業として登録しているが、その活動については長らく不明な点が多かった。
昨年ガンズが死去したが、それから6カ月後となる2021年6月29日、OSGと密な関係にある民間企業がニューヨークの郊外に広大な敷地を購入した。「ニューヨーク・ポスト」紙によると、OSGがマンハッタンで開催している週2回の“勉強セッション”の参加者15人が、その土地に駆り出されて建設工事に従事させられているという。情報筋は「OSGはパビリオンを建設し、農業も行おうとしている」と語り、「このパビリオンが将来的にはOSGの隠れ家として使用される可能性が高い」と付け加えた。また、OSGが長時間にわたって無給でメンバーを働かせていると指摘する。
そして今年7月、23年にわたりOSGのメンバーだったニューヨーク在住の弁護士、スペンサー・シュナイダー氏が自らの経験を記述した回想録『マンハッタン・カルト・ストーリー:セックス、犯罪、混沌、そして生存に関する信じがたい真実の物語』を出版するとともに、OSGの指導者らが用いる洗脳手法を暴露。全米に衝撃が走った。
ガンズはメンバー同士を無理やり結婚させようとし、シュナイダー氏には19歳の義理の娘を妊娠させるよう命じたが、彼は拒否したという。「それは非常に厳しいマインドコントロールでした」と語るシュナイダー氏。リーダーに歯向かったメンバーは罰せられたり殴られたりしたと明かす。
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2024.10.02 20:00心霊米国で拡大する謎のカルト「オデッセイ・スタディ・グループ」とは? 元女優が作り上げた搾取・洗脳・虐待の帝国のページです。女優、カルト、統一教会、虐待、搾取、OSGなどの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで