統一教会「新生事件」の捜査を妨害した政治家は誰だったのか？ 日本社会とカルトの深い闇を有名弁護士が糾弾（インタビュー）

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　安倍晋三元首相銃撃事件によってクローズアップされることになった宗教団体「世界平和統一家庭連合（旧統一教会）」。山上徹也容疑者（41）によると、同団体に入信した母親が破産するほどの“お布施”を納め、怒り狂った祖父が包丁を向けるなど家庭が崩壊し、容疑者は自分自身に生命保険をかけて自殺を考えるほどの苦悩を味わったという。 山上容疑者のツイッターにも、統一教会に対する恨みが何度も呟かれていた（現在はアカウント凍結）。

　そして同団体に復讐するため、代々つながりが深い安倍氏を狙ったとされる。「聖本」が3000万円で売られるなど、世界平和統一家庭連合の集金活動は常軌を逸しているが、教義によれば資金調達は「サタンから神への金銭移動」とされ、全財産を寄付する信者もいるという。

　今回筆者は、統一教会の霊感商法や政治家とのつながりを探るため、霊感商法対策弁護士連絡会事務局長の渡辺博弁護士（田村町総合法律事務所）に取材した。

■霊感商法、政治家との蜜月…

――統一教会の信者獲得方法・マインドコントロールについて教えてください。

渡辺博弁護士（以下、渡辺）　　最初は宗教団体だと明かさず、正体を隠して勧誘するんですね。山上容疑者の母親への勧誘も同様だったと思います。

――具体的にどのような霊感商法をしているのですか？

渡辺　　「先祖供養のために、一番大切なものを捧げてください」と。命は捧げられませんから、次に大切なものはお金。すると「財は因縁がつきやすいものだ」「通帳ごと持って来て」と言われ、いくら取れるか財産を把握します。「聖本」は3,000万、「天国の家を早めに買わないと埋まってしまう」と言われて「天国の家」が200万、来年5月に「天園宮」なるものを造るために120万…… など、あらゆる名目で献金を求められます。その用途は公開されませんが、現地の統一教会幹部の豪遊やリゾート開発などに使われているようです。私が調査した中で、もっとも高い献金額は100億円でした。破産する方、借金してまで献金する信者もいますが、統一教会は、法の穴をついて、債務が免責されるように「親族が病気になり生活費の為に借金した」等の文書を書かせる事もあります。

――なぜ、そんなムチャを言われても騙されるのでしょうか？

渡辺　　うまく段階を踏んでいって、疑問を持たないようにするんですよ。そして、「一旦、この道を進んで途中で辞めたら、地獄に落ちます」という恐怖を何度も植え付けられます。

――政治家が絡んだと思われる事件はありますか？

渡辺　　新生事件（※）ですね。このような大きな事件は、検察と警察とがタッグを組んで捜査します。私たちも担当の検察官に聞き込みに行きましたが、統一教会の松濤本部（渋谷）の捜査が急になくなったんですよ。警視庁の警視総監からストップがかかったようです。そこには、確証がある訳ではありませんが、大物政治家X氏の圧力があったと考えています。

※ 統一教会側は11日に行われた記者会見で、「2009年以降はトラブルはない」と主張したが、その2009年に起きたのが「新世事件」である。2009年2月10日、霊感商法の会社「新世」（東京・渋谷区）事務所に強制捜査が入り、同年6月2日に統一教会渋谷教会など、同11日には豪徳寺教会などに強制捜査が入り、「新世」の社長や営業部長のほか、実行犯の5人が逮捕された。同年11月10日、東京地裁は事件を統一教会の「霊感商法」と認定したものの、判決は「新世」に罰金800万円、同社社長には懲役2年（執行猶予4年）で罰金300万円、営業部長には懲役1年6月（執行猶予4年）で罰金200万円が下されたにとどまった。そして、統一教会の機関誌では「政治家との繋がりが弱かったから警察の摘発を受けた」などの反省が述べられていたという。

――あの人ですか！ 安倍さんを含め、統一教会とつながりがある政治家は霊感商法について把握しているのでしょうか？

 
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