麻薬カルテルも支配した殺人カルト「マタモロス教団」の恐怖
麻薬カルテルまで支配した殺人カルト「マタモロス教団」とは? 死体の茹で汁を飲み… 隆盛から破滅までの道程

1980年代、メキシコ・タマウリパス州マタモロスでは、「マタモロス教団」もしくは「パロ・マヨムベ」として知られるカルト組織が暗躍していた。
マタモロス教団は、カリスマ的な男性指導者アドルフォ・デ・ヘスス・コンスタンツォと、彼に従う「魔女」、サラ・マリア・アルドレテ・ビジャレアルを頂点に運営されていた。同教団は麻薬カルテルに超自然的な力を授けるため、15件以上の儀式殺人を実行したとされる。
コンスタンツォは1962年11月1日、米フロリダ州マイアミで誕生した。母親はキューバ人の移民で、彼女とその母親(コンスタンツォの祖母)はキューバの民間宗教「サンテリア」の巫女だったという。
サンテリアは、カトリック教会とスピリティズムなどを混合させて成立した混淆宗教である。信者はさまざまな神を信仰し、食べ物などの供物を捧げる。儀式ではニワトリを屠殺するのが一般的である。
マイアミに住んでいた頃から、コンスタンツォの母親には異常な行動が目立った。母親は隣人たちと諍いが生じた際、彼らの部屋のドアに動物の死骸を置いた。さらに、ロサンゼルスタイムズ紙によると、小さなアパートで27匹の動物を飼い、床を血と糞尿で汚したために逮捕されたこともあった。
幼少期に父が他界したことで、コンスタンツォの一家はプエルトリコの首都サン・フアンに引っ越し、そこで母親は再婚。コンスタンツォは継父の希望に応じて、カトリック教徒として洗礼を受け、ミサの侍者も務めた。
後に母親とともにハイチへ旅行したコンスタンツォは、現地でブードゥー教とパロ・マヨムベ(キューバで発展したアフリカ由来の宗教)を研究したとされる。パロ・マヨムベでは、「ンガンガ」と呼ばれる儀式用の大釜で神々への供物が作られる。供物のほとんどは動物に由来する。しかし2018年には、パロマヨムベ信者がフロリダ州南部にある3か所の墓地で骨や遺体の一部を盗み、これらから供物を作ろうとした事件も発生している。

色白でハンサムなコンスタンツォは男性モデルとして働いていた。このとき、有名人や政治家を含むメキシコシティのエリートたちに対して、精神的な浄化を行ったり、魔法の呪文をかけたりするようになった。
1984年、メキシコシティへ引っ越したコンスタンツォは、仲間を集めてカルト組織を結成した。組織の最盛期には、30人以上の優良顧客を抱え、メキシコシティで6万ドル(約825万円)のコンドミニアムと複数台の高級車を所有し、警備のために連邦司法警察の警官を少なくとも4人雇っていた。当初は動物を生贄にした儀式を行っていたが、1985年には人間の骨を使用するため、地元の墓地を盗掘したとされる。
そして1986年、コンスタンツォは麻薬カルテル「カルザダ一家」に占い師としてサービスを提供し、莫大な利益を得るようになった。翌年にはカルザダ一家に完全なパートナーシップを要求したが断られた。そのため、コンスタンツォの組織はカルザダ一家のメンバー7人を誘拐し、拷問して殺害した。遺体は、指、つま先、脳、脊椎を含むいくつかの部位が欠損した状態で発見された。
バイセクシュアルであることを公表していたコンスタンツォには、自らの組織のメンバーである複数の男女を恋人としていた。メンバーらはコンスタンツォを「エル・パドリーノ(ゴッドファーザー)と呼んだ。その中には、背の高くかわいらしい女子大学生、サラ・アルドレテがいた。アルドレテは「ラ・マドリナ(名付け親)」と呼ばれ、カルト組織の大祭司に任命されたことでコンスタンツォに次ぐ権力を手にした。
アルドレテは1964年にマタモロスで生まれ、中産階級の家庭で育てられた。米テキサス州ブラウンズビルにある高校と大学に通い、大学時代は成績優秀でサッカーチームのチアリーダーも務めた。後に、デートした男性のエリオ・ヘルナンデス・リベラらを通じてコンスタンツォと知り合ったとされる。

このエリオは、米国とメキシコにまたがってマリファナを密輸して荒稼ぎしている麻薬カルテルのメンバーだった。このカルテルのリーダーは、エリオの兄であるサウル・ヘルナンデス・リベラだった。1987年にサウルが暗殺された後、カルテルはメンバーの逮捕と内紛に悩まされたが、最終的にエリオが指導者の地位を引き継ぎ、超自然的な支援と指導を求めてコンスタンツォを頼った。
結果、エリオのカルテルはコンスタンツォの支配下に置かれた。コンスタンツォの組織はヘルナンデス家の所有地で活動を開始。コンスタンツォは当初、動物を使って儀式を行っていたが、後に犠牲が大きければ大きいほど超自然的な力が大きくなると主張し、人間を神々に捧げるようになった。犠牲者は儀式のために拷問されて殺害された。遺体の一部をンガンガで沸騰したものは、防弾効果がある飲み物としてカルテルのメンバーに支給された。犠牲者の椎骨から作られたネックレスを身に着けるメンバーもいた。
コンスタンツォはエリオを「死刑執行人の司祭」に任命し、胸と腕に神聖な印を刻んだ。エリオは儀式に必要な“生贄”たちの命を多数奪ったが、誤って自分の甥の1人まで殺してしまったという。
関連記事
人気連載
爆弾魔「ユナボマー」と交流した日本人学者の考察 IQ167の天才が送った「異常な手紙」とは?
19時から放送される「世界の何だコレ⁉︎ミステリー」(フジテレビ系)では、FBI...
2023.03.15 10:45事件妊娠するラブドールに死体絵画… 芸術家が集まる別府の特異性とは? 驚異の陳列室「書肆ゲンシシャ」が所蔵する奇妙な本
――【連載】驚異の陳列室「書肆ゲンシシャ」が所蔵する想像を超えたコレクションを徹...
2023.02.12 14:00ARTの連載『クレイジージャーニー』出演ケロッピー前田、世界のカウンターカルチャーを追い続ける男の謎に迫る!
今夜21時からの「クレイジージャーニー」(TBS系列)は放送200回突破記念!少...
2023.01.30 17:00海外の連載夜泣きにアヘン、溺れた者には「タバコ浣腸」……今では考えられない昔の医療! 驚異の陳列室「書肆ゲンシシャ」が所蔵する奇妙な本
――【連載】驚異の陳列室「書肆ゲンシシャ」が所蔵する想像を超えたコレクションを徹...
2023.01.15 14:00歴史・民俗学花粉に速攻する波動シール、電気代10%削減テラヘルツ節電器、心身が整う波動調整ピラミッド… インフレを乗り越える波動グッズ3選!
広瀬学氏は、波動・スピリチュアルグッズの通信販売会社オプティマルライフ株式...
2023.03.20 11:00スピリチュアル麻薬カルテルまで支配した殺人カルト「マタモロス教団」とは? 死体の茹で汁を飲み… 隆盛から破滅までの道程のページです。ブードゥー教、カルト、連続殺人鬼、メキシコ、麻薬カルテルなどの最新ニュースは知的好奇心を刺激するニュースを配信するTOCANAで
海外最新記事
人気記事ランキング11:35更新
- ・脚を逆向きにつけた少女が再び走れるように!
- ・鼻・耳を削ぎ落とし、眼球タトゥーで「ドクロ顔」に…
- ・股下132cm身長205cmの「世界で最も背が高いモデル」の苦悩とは!?
- ・天井に死体が吊るされ、女性を性奴隷化しレイプ部屋送り…「世界最悪の刑務所」の内部を元受刑者が暴露!
- ・世界で最もホットな「お天気お姉さん」が大量のタトゥーで別人化
- ・信じられない理由で“神”になった最近の人5選
- ・コロンビア沖で拿捕された「ナルコサブ」が恐い!
- ・痛すぎるサルマ族の身体装飾!
- ・世界最恐の「生贄」文化10選! 人類の黒歴史
- ・7歳の娘を強姦・殺害されたシングルマザーの復讐劇!
- ・脚を逆向きにつけた少女が再び走れるように!
- ・鼻・耳を削ぎ落とし、眼球タトゥーで「ドクロ顔」に…
- ・股下132cm身長205cmの「世界で最も背が高いモデル」の苦悩とは!?
- ・天井に死体が吊るされ、女性を性奴隷化しレイプ部屋送り…「世界最悪の刑務所」の内部を元受刑者が暴露!
- ・世界で最もホットな「お天気お姉さん」が大量のタトゥーで別人化
- ・「日本に喪が訪れる」巨大地震と世界恐慌の発生を警告!
- ・ウクライナ魔の三角地帯「バフムート・トライアングル」とは?
- ・「緑の女」が微笑む心霊写真が撮影される!
- ・瞑想で50歳の脳がマジで25歳に若返ると判明!
- ・花粉に速攻する波動シール、電気代10%削減テラヘルツ節電器、心身が整う波動調整ピラミッド…
カテゴリ最新記事
- 異次元
- 米海軍元パイロットがUFO調査を政府に要求! 「透明な球の中に黒い立方体」2年間毎日目撃
- 科学
- 女性が性的に絶頂し続ける奇病「イクイク病」の正体とは?
- 海外
- 天井に死体が吊るされ、女性を性奴隷化しレイプ部屋送り…「世界最悪の刑務所」の内部を元受刑者が暴露!
- 日本
- JRA高松宮記念はノーマークの穴馬激走で100万馬券か!?
- インタビュー
- 霊能少女に体を透視されて… チャンス大城の衝撃体験
- ART
- 死ぬまでに行きたい「世界の廃墟」10選!
- イベント
- 「TOCANAロゴ刺繍入りロングスリーブTシャツ」完全予約販売開始!(2/20~3/6)
- 芸能
- 霊能少女に体を透視されて… チャンス大城の衝撃体験
- TV
- 『真・事故物件パート2』窪田彩乃・海老野心Wインタビュー!
- STORE
- 「TOCANAロゴ刺繍入りロングスリーブTシャツ」完全予約販売開始!(2/20~3/6)