人皮装丁本、人骨ラッパ、原爆ダーツ、死後写真… 怪しい古書店「書肆ゲンシシャ」店主が明かす超絶コレクションの秘密とは?

藤井  え? いや、だから普通に人間の肉が、瓶の中で液に漬けられているんですよ。皮付きで。

――焼き鳥みたいな言い方をしますね。そんなゲンシシャが直近で輸入した骨董品には、どういうものがあるのでしょう?

藤井  最近入手したのは「トレパネーションのドリル」ですね。頭蓋骨に穴を開ける器具です。

――なぜ、古本屋がそれを購入されたのかは、わかりませんが、お客さんから評判がいいのはどういったものでしょうか?

藤井  一番人気は、やはり「人骨ラッパ」と「人間の皮で装丁された本」ですかね。「人骨ラッパを実際に吹いてみたい」といって来店される方は、結構いらっしゃいます。

――実際に吹けるんですね?

藤井  衛生状態については保証できませんが、一応吹けます。ただ、これまで30人ぐらいチャレンジしましたが、3人ぐらいしか音を鳴らせていないんですよ。そして、その3人ともトランペット経験者でした。演奏経験がないとダメなんですかね。


■ゲンシシャ定番人気の死後写真集『Sleeping Beauty』

――骨董コレクションの話も尽きませんが、この連載は藤井さんに奇妙な本を紹介してもらうというのがテーマなので、まずは第1回目の本をお願いします。

藤井  うちで昔から定番人気の『Sleeping Beauty: Memorial Photography in America』を紹介しましょう。

人皮装丁本、人骨ラッパ、原爆ダーツ、死後写真… 怪しい古書店「書肆ゲンシシャ」店主が明かす超絶コレクションの秘密とは?の画像3
『SLEEPING BEAUTY』(TWELVETREES PRESS)

――これまでの話とは打って変わって、なかなか美しいタイトルですね。

藤井  「死後写真」の写真集では一番の定番です。中身は、ダゲレオタイプの死後写真満載です。

――あぁ……。「Sleeping」とは、そういうことですか。

藤井  死後写真というのは、19世紀のアメリカやヨーロッパの風習です。昔は亡くなった後、遺体が生きているように、キレイに化粧を施して記念撮影していたんですよ。当時はまだ病院もあまりないし、伝染病がはやると、免疫力の低い子どもは死亡しやすかった。そして、今より写真がずっと高価だったため、生前の写真を写せなかった子どもも多く、せめて顔を忘れないようにと、死後に記念写真を撮っていたんですね。デスマスクの延長みたいな感じです。

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――19世紀というと、日本は江戸時代末期、明治時代ですから、写真技術も誕生したばかりの黎明期ですよね。

藤井  その通りですが、1920年頃には死後写真という風習も途絶えてしまいます。というのも、第一次世界大戦で大勢の人が亡くなり、死生観が変化したことと、自宅ではなく、病院内で亡くなる人が増えたことで、死後写真が撮られづらくなったといわれています。

――確かに写真集を見る限りでは、家で撮られた写真が多く収められていますね。

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藤井  一家惨殺事件の写真なんかも載っています。

――これは現場写真ではなく、親族などが業者に依頼して撮らせた写真なんですか?

藤井  どうでしょうね。これはもしかしたら、警察が撮った写真なのかもしれません。ちゃんと服も着せられて、ベッドに横たわった状態で撮影されています。ほかにも、遺体を立てたお棺に入れた状態で撮ったり、両親が死んだ子どもと一緒に撮ったりした写真が多いですね。ちなみに、本書は好評を博したため、『Sleeping Beauty III』まで出版されているんですよ。

――シリーズ3作目まで出すほど、需要があるんですか?

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