ロシアが「海底ケーブル切断」を画策か? 英国沖で“スパイ船”が不審な動き…
ここ数週間、プーチン大統領はウクライナへの軍事侵攻を進め、西側諸国に対しても核兵器による威嚇と思われる発言をするなど強硬的な姿勢をとっている。先日は「もし、我が国の領土保全が脅かされるなら、国民を守るためにあらゆる手段を用いる。ハッタリではない」と発言し、注目を集めた。
欧州ではロシアの動向に対する警戒が高まっており、最近では西側諸国に対してインターネットに不可欠なインフラへの攻撃が行われる懸念が出てきている。そんな懸念を高めているのがイギリス沖に現れたスパイ船と思われるロシアの「調査船」の存在だ。Akademik Boris Petrovというロシア政府所有の船は10月17日に母港のカリーニングラードを出発し、イギリス海峡を経て南大西洋の科学探査の現場に向かう予定だったと英紙「The Sun」は報じている。しかし21日、北海のノルウェーの油田を通過する際に急激に減速して進路を変更し、数日の間にスコットランドの島々を通過する見込みであるという報道がなされた。英国海軍は、この船の急な進路変更は海底ケーブルへの攻撃計画に関与している可能性があるとして、船の監視を続けているという。
航行データによると、同船は英国の核抑止力であるトライデント潜水艦があるファスレーン海軍基地沖を通過する位置にもいたことが判明している。その後、大西洋横断ケーブルの重要なインフラがあるアイルランド北西部の海上を通過する進路をとる予定だ。
「The Week」誌によると、米国と欧州を結ぶ光ファイバーケーブルは、我々が毎日利用するようになったWorld Wide Webの「バックボーン」であり、世界の通信の少なくとも95%はこのケーブルを通じて行われている。もし何らかの要因でケーブルが切断されようものなら、世界的な混乱を生むことになる。事実、ロシアはウクライナ侵攻でウクライナ側の通信施設を攻撃しており、インターネットや各種メディアを使用できないようにしていた。
また、ロシアが重要な海底インフラを攻撃した疑惑が出てきたのは今回が初めてではない。先月の26日にはバルト海のガスパイプライン「ノルドストリーム」が爆破され、ロシアのガスがヨーロッパの他の地域に供給されていないことが明らかになったばかりだ。クレムリンはこの件への関与を強く否定しているが、この攻撃の背後にはロシアが存在すると考えられている。大西洋を横断する光ファイバーケーブルが次の標的になるのではという憶測が流れたのはこの後のことだ。
この時、アイルランド共和党の欧州議会議員、ビリー・ケレハー氏は、「The Irish Sun」紙に次のように語っていた。
「米国と欧州の間の通信はすべて、アイルランド沿岸のすぐ近くを走る一連のケーブルを通っている。今年初め、ロシアの軍艦がその海域で何をしていたと思いますか? おそらく、本格的な偵察を行ったのでしょう。ガスパイプライン・ノルドストリームを爆破した後、我々はプーチンが何でもできることを認識しなければなりません」
果たして、この懸念は取り越し苦労で終わるのか、それとも……。今後もロシアの動向から目が離せない。
参考:「Daily Star」、ほか
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