「交通事故で絶対に死なない人間」の衝撃的ビジュアル! 複乳、首なし、巨大な頭… 人体の脆さに愕然
自家用車、バス、タクシーといった乗り物は重要な移動手段として、われわれの生活に欠かすことができない。一方で、人体は衝突事故などの強い衝撃を想定して作られたわけではないので、初の自動車誕生から100年以上が経つ現在も死亡事故が後を絶たない。では、事故に遭っても絶対に死なない身体とは?
2016年、そんな想像を実体化したスーパーヒューマン「グレアム」が、豪ヴィクトリア州の交通安全キャンペーンの一環として作成された。 大きな頭蓋骨、平面な顔、複乳、あらゆる方向に曲がるヒザ……生き延びるためのさまざまな知恵を詰め込んだ結果、あまりにも醜い姿が世間に衝撃を与えた。
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※ こちらの記事は2016年7月25日の記事を再掲しています。
自動車は人間の手には負えない乗り物なのではないだろうか? 自動車の衝突テストでみられるように、法定速度時速60キロで壁に衝突した場合でも、その衝撃は驚くべきものだ。一般に時速60キロでの衝突ダメージは、ビルの5階(地上14メートル)から落ちるのと同じ衝撃だと言われている。このスピードでシートベルトをしていなければ、運転手の体は激しく前方に飛び出しフロントガラスやハンドルに頭部を激しく打ちつけ、車外に放り出される危険性もある。たとえシートベルトをしていてエアバッグが作動したとしても、速度に応じて頭部から胸部にかけてのダメージは避けられず、場合によっては死亡することさえある。衝突事故の場面に限って言えば、自動車は人体に最適化されているとは言えなさそうだ。では逆に、どのような身体ならば、自動車の衝突ダメージに耐えられるのだろうか?
絶対に死なない「スーパーヒューマン」
7月21日付の「Daily Mail」が、交通事故を生き延びることができる人間の身体とは、どのような特徴を持っているのか探ったオーストラリア・ヴィクトリア州の交通安全キャンペーンでの試みを報じている。
まずは自動車の衝突事故について、今回のプロジェクトに携わった2人の専門家、外傷外科医クリスチャン・ケンフィールド医師と、モナシュ大学の交通安全専門家デイヴィッド・ローガン教授の話を聞いてみよう。
「並外れた筋力がある人でも、自動車事故においては、自分の身体を固定しておくことはできません。衝突の威力はそれほど強大なのです」(ケンフィールド医師)
「衝突によって自動車が急に止まると、それまで自動車が持っていたエネルギーは、その自動車と運転手によって吸収されることになります」(ローガン教授)
「現代では、人間は恐ろしいほどのスピードに晒されています。そして、人間の身体は自動車事故の衝撃を吸収するような生理的機構を備えていません」(ローガン教授)
このように、人間の身体は自動車の衝突事故に耐えられるようにはできていない。当然、人間は自動車に乗るために進化してきたわけではないからだ。だがもし、自動車事故に耐えられるように進化したとしたら、どのような姿になるのだろうか?
そんな想像の実体化が、彫刻家パトリシア・ペッシニーニが作成したスーパーヒューマン「グレアム」である。では、その異様な姿をご覧いただこう。
率直に「気持ち悪い」と思わずにはいらない、SF映画に異星人として登場してもおかしくない姿形だ。しかし、この身体には自動車事故を生き延びるためのさまざまな知恵が詰まっているということなので、その特徴を1つずつみていこう。
合理的だがキモすぎる!
・頭
脳は通常の人間サイズであるが、頭蓋骨はずっと大きく、ヘルメットの役割を果たしている。さらに、大量の髄液に満たされた頭蓋骨内部では、多くの靭帯が脳を支えることによって、致命的なダメージが脳に伝わらないようになっている。
・首
首をなくすことにより頚椎の骨折やむち打ちを防ぐ。肋骨が頭蓋骨を支える構造になっているため、衝撃が頭部に伝わりにくくなっている。
・顔
凹凸がなく平面であるため、衝撃により鼻や耳が損傷することがない。また大量の皮下脂肪はエアバッグの役割を果たし、顔面への衝撃を緩和する作用がある。
・胸
胸骨と肋骨は人体で最も衝撃に強い部分とされているため、シートベルトは胸部で衝撃を受けるようにデザインされている。だが、グレアムにシートベルトは必要ない。ややグロテスクな複乳と大きく分厚い胸板により心臓を保護することができる。
・皮膚
分厚く硬い皮膚により擦り傷を防ぐ。擦り傷は致命傷になることは少ないが、傷跡が事故の記憶を蘇らせ、心的外傷を患う可能性があるので可能な限り避けたい。
・ヒザ
人間のヒザは一方向にしか曲がらないため、交通事故において最も損傷を受けやすい箇所の1つと言われている。グレアムのヒザは、あらゆる方向に曲がるため骨折しない。
・脚
人間にはないスネの関節と、分厚いヒラメ筋(ふくらはぎの筋肉)により驚異的なジャンプ力を発揮する。グレアムが歩行者だった場合、自分に向かってくる自動車から瞬時に飛び退くことができる。
このように醜い姿には合理的な理由があることがわかったが、すぐに人間が「グレアム」になることは不可能だ。今のところ、全てのドライバーが安全運転を徹底して交通事故を未然に防ぐことが唯一の予防策だろう。
しかし、遠い将来、人間が思いもよらない姿に進化する可能性も否定できない。たとえば、スマートフォンでテキストを打つときの脳波は、他のどのような行為とも違うリズムを刻むことがわかっている。つまり、人間が作り出した技術により人間が影響を受けるということだ。そのような影響を受け続けた結果、「グレアム」のように、人間が技術に合わせて進化することも十分ありうるのではないだろうか。
参考:「Daily Mail」「Meet Graham」ほか
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