足を“前後逆に付け替えた”少年、いったいなぜ!? 人の視線や言葉に臆さず… 苦難の末にたどり着いた境地「本当の姿だから隠さない」
先日TOCANAでは、骨肉腫の治療のために「回転形成術」を行った少女が、再び走れるようになったというニュースを取り上げた。 回転形成術とは、一度脚を切断して腫瘍を取り除いた後、下肢を180度回転させて再接続する手術のことで、少女はこの手術によって病気を克服し、大好きなダンスとランニングに打ち込む日々を取り戻すことができたという。
・脚を逆向きにつけた少女が再び走れるように! 骨肉腫を克服した驚異の“がんサバイバー”
ところで、TOCANAでは数年前にも、回転形成術を受けた少年について紹介している。当初は手術に対して否定的な反応を示したというジェイコブ君だが、最終的には手術を受けることを自身で決断し、周囲の心ない反応にも毅然とした態度で応じるなど、強く前向きに生きる姿が話題を呼んだ。2019年3月の記事を再掲する。
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※ こちらの記事は2019年3月14日の記事を再掲しています。
カナダのブリティッシュコロンビア州南西部にある都市アボッツフォードに住むジェイコブ・ブレデンホッフ(14歳)君は、どこにでもいそうなスポーツ好きのティーンエイジャーだった。しかし、悲劇が彼を襲った。彼の脚に、悪性度の高い骨肉腫が発見されたのだ。
闘病生活の始まり
昨年、ジェイコブ君が膝に痛みを感じ始めた時、医者はそれを単にスポーツでのケガに由来するものだと考えていた。しかし、彼の腿に次第に硬いしこりができ、心配した母親のトレーシーさんが病院に連れて行った。血液検査とX線検査を受け、後に連絡が入り、トレーシーさんはジェイコブ君にがんがあることを知らされた。さらに医者は、そのがんが悪性度が極めて高い骨肉腫だと告げたのだ。
骨肉腫は、骨の中で成長したがん性腫瘍である。米国では毎年、およそ800~900件の新たな骨肉腫の症例が診断されているが、半分は小児および10代の若者だ。
ジェイコブ君の場合、MRIを撮ったところ、その骨肉腫は彼の大腿骨を覆いつくしており、大腿骨の内部は非常にもろい状態で、ちょっとした圧力でも折れてしまう危険性があった。
がんに侵された骨を摘出する前に、ジェイコブ君は抗がん剤治療を受けることになったが、それによって彼の体力は奪われ、150日間以上の入院を要した。
手術――「回転形成術」
医者はジェイコブ君に「回転形成術」と呼ばれる、風変わりな手術をすすめた。それはがんのある骨を取り除いた後で、下肢を180度回転させて、もともと膝があった部分に足首を接合するというものだ。外見的には、膝部分に前後逆に足首がくっつく様子となる。
医師は彼に、すねから下の足を膝に前後180度逆さに付けることによって、くっつけた足首が膝の働きをするので、機能的には大腿で切断して、義足を付けるよりはるかに優れていると説明した。そして、その手術を受ければ、将来的には再び走れるようになり、スポーツも可能になるというものであった。
当初、ジェイコブ君は「回転形成術」のあまり異常な外観に、否定的な反応を示したという。しかし最終的に彼は、熟慮を重ねた結果、回転形成術の手術を受ける決断をした。
トレーシーさんはジェイコブ君と話し合った。そして、この手術を受ければ風変わりな外見になり、今後、人から好奇の目で見られるようになり、傷つくような失礼なことを言われるかもしれないとまで率直に告げた。しかし、ジェイコブ君は母親に「僕はスポーツをしたい。それに活動的な生活をしたいから、そんなことは気にしないよ」と前向きな自分の気持ちを伝えた。
10月にジェイコブ君が9時間にわたる手術を受けた。その後3週間、彼はベッドから出られず、その間、痛みに耐えた。幸いにも手術は成功し、その後、ジェイコブ君は残っているがん性細胞を破壊するために、再び抗がん剤治療を受けた。
手術は無事成功したが、家族の生活は喜びだけではなかった。家族がジェイコブ君と外出する時には、人々からの凝視や無遠慮な言葉と向き合わなければならなかった。しかし、ジェイコブ君は「自分の本当の姿だから隠さない」と言って、人々が彼を見つめても堂々とした態度でいる。そして、トレーシーさんは、自己憐憫がない彼の強さを尊敬すると話す。
トレーシーさんによると、現在ジェイコブ君は、松葉杖を使って家の中を歩き回り、外に出る時は車椅子を使っている。彼は外出時には、新しい足に誇りを持ちスーパーマンやピンクのフラミンゴ柄といった目立つ靴下をはいて外出する。ジェイコブ君は間もなく、義足を装着し、外見的には「普通」に戻る予定だ。
トレーシーさんはこう語る――「私は彼が再び、バスケットボールや他のスポーツをすることに疑いを持っていません」と。
並大抵でない痛みと苦しみを乗り越え、かつ毅然としているジェイコブ君。同じ苦しみを持つ子どもたちにとって、彼の姿は希望であり目標となることだろう。
参考:「Daily Mail」、ほか
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