フィリピンでコウモリ型UMAが撮影される!? Twitterで大騒動、怪物の正体に迫る！

2023.04.25 12:00 文＝加藤史紀（ミステリーニュースステーションATLAS編集部）

Xでポスト

　4月21日、奇妙な生物の姿を捉えた動画がTwitterで注目を集めた。

　海外で撮影されたものらしく、路肩に屋台が並び、狭い道を車が行き交う様子が捉えられている。撮影者も車に乗っていたようだが、前方の道路の上まで伸びてきている太い枝に奇妙な生物がとまっているのに気がついた。車が枝に近づいたのでズームしてみると、枝には大きなコウモリ……ではなく、コウモリのような翼を持った奇妙な生物がとまっていたのだ。その生物は細い手足に長い首、小さな頭を持っている。どうも手足は合計で6本あるようにも見えるが、逆光のため顔や体の細部はわからない。

フィリピンでコウモリ型UMAが撮影される!? Twitterで大騒動、怪物の正体に迫る！の画像1 — 画像は「TikTok」より

　その生物は首を伸ばして周囲を見渡したのち、少し横に移動すると翼を広げて飛び去ってしまった。果たしてその生物が何だったのか、どこへ行ってしまったのか。撮影者の車もちょうど謎の生物が飛び立ったタイミングですれ違ったため、それ以上は追えなかったようだ。

　この生物の動画がネットで注目されると、様々な説が飛び交った。日本のツイッターでは発端のツイートで「フィリピンでよく目撃される」と紹介されたこともあり、海外の妖怪に詳しい人達からマナナンガルやアスワングといったフィリピンに出現する妖怪ないしはUMA※の名前が上がっていた。ちなみにマナナンガルはフィリピンに伝わる魔女で、夜になると背中にコウモリの羽根が生え、上半身だけで飛び回るとされている。アスワングはお産で亡くなった女性が吸血鬼として蘇ったものとされており、「猿のような上半身とコウモリの翼を持つ怪物」とされている。近年でもフィリピンで巨大なコウモリのような生物の目撃証言が報告されていたことから、UMAとみなされる事も多い。

※ UMA（ユーマ、Unindentified Mysterious Animal）とは未確認生物を意味する和製英語。未確認生物とは何世紀にもわたって語り継がれてきた物語や伝説に登場したり、また、今日でも目撃例があるが実在が確認されていない生物のことだとされている。物語、伝説、噂話などで語られる生物であるため、科学的な対象ではなく、“オカルト”に分類される。英語圏で、未確認生物はCryptid （クリプティッド）と呼ばれ、これを研究する学問はCryptozoology（クリプトズーロジー、暗号生物学）と呼ばれるのが一般的。

　では、今回の動画に捉えられた怪物もこれらの妖怪だったのだろうか？

　実は、この動画と全く同じ動画が2021年2月15日にTikTokに登場していた。TikTokに投稿したのは海外の奇妙な映像を紹介しているユーザーで、動画のキャプションには妖怪の名前こそ書いていなかったものの「お産で死んだ女が魔女になったもの」ととれる単語がハッシュタグと共に付けられていた。この時はベネズエラで撮影された動画、とされていたのだが、コメント欄に「2019年に既に出回っており、ベネズエラではなくニカラグアのマナグア通りで撮影されたものだ」という指摘が多数寄せられていた。どうやら海外では数年前に既に話題になっていたもののようだ。

　気になるのは「魔女」というキーワードだが、中南米では若くして亡くなった女性は幽霊や妖怪になると言われている。中でも動物に化け、人間を襲うタイプの女性の妖怪は「魔女」とされるようだ。たとえば日本でも注目を集めたフライング・ヒューマノイドは本来は中南米で目撃され始めたUMAなのだが、フライング・ヒューマノイドも当初は「伝説に出てくる、変身して空を飛び、人を襲う魔女」だと現地で騒がれていたのだ。

　では、この動画は本当に中南米の伝説に出てくる「魔女」を捉えたものかというと……怪物がいる枝の下には車が行き交い、人の姿が確認できるにもかかわらず、撮影者以外は誰一人気づいている様子がないので、CGで怪物を合成したフェイク映像と見るのがよさそうだ。