幽霊が配車アプリでタクシーを呼び… マレーシアの墓地で姿を消した女性の謎

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画像は「Getty Images」より

 夜中、道端にいた女性を拾ったタクシー。女性に誘導されるままに夜道を進むと、最終的に墓地ないしは葬式中の家にたどり着き、そこで女性が姿を消していることに気づく。女性は既に故人で幽霊だったのだ……という話は典型的な怪談ないしは都市伝説としてよく知られたものだ。だが海外にて、全くこの怪談の筋書き通りの事件が発生して話題になっている。

 この事件は先日、マレーシアのクチン市にてタクシー運転手のAhsan Ismail氏が、深夜にサマラハン・ハートセンター近くのロータリーで女性客を乗せたところから始まったという。その日、Ismail氏がタクシーの配車アプリの連絡を受けてその場に向かったところ、濃い色のバジュ・クルン(東南アジアの伝統的な格好、長袖のブラウスと裾の長いスカートの組み合わせ)とトゥドゥン(同じく東南アジアの女性が頭に巻くスカーフ)を着た女性が一人佇んでいた、と彼は振り返る。

「深夜で暗い場所だったので、彼女が不快な思いをしないよう、あえて顔を見ないようにしていました。乗り込んできた女性に『墓地まで連れて行ってほしい』と言われたときは戸惑いましたが、快諾して依頼された目的地へ向かうことにしました」

 道中、2人は言葉を交わさなかったそうだが、彼女のつけていた香水の匂いが車内に漂っていたことを覚えているとIsmail氏は証言している。

 しばらく街を走って墓地に到着し、彼は後部座席の女性に目的地に着いたことを告げたのだが、女性の返事はなかった。奇妙に思ってミラーで座席を確認するが、そこには誰もいなかった。深夜のため女性が寝てしまったのかも、と思ったが振り返ってみても確かに誰もいない。

「ですが、座席にはRM1、RM2の旧札と5銭硬貨が数枚あり、RM13の運賃には十分な金額が遺されていました(※RM=リンギット、マレーシアの通貨単位)」

 怖くなった彼はすぐに車を出し、友人にビデオ通話で報告したそう。帰宅した時刻は午前1時頃にだったが、翌朝になるまで妻にはこの出来事を話せなかったそうだ。

 ちなみにIsmail氏は前述の通り、日本でいうタクシーアプリGOのようなライドシェアアプリに呼び出されて女性の幽霊(?)と出会っている。そこから「幽霊がアプリなんて使うはずがない」という意見が多く出てきており、Ismail氏の体験はネット上で懐疑的に受け止められているようだ。しかし最新のスマホやAlexaデバイス経由で報告される霊現象もあるなど、霊が最新のテクノロジーを使ってその存在を誇示するのは今回が初めてではない。

 Ismail氏は「誰もがこのような神秘的な状況を体験できるわけではないし、超常現象を否定するつもりはない」と述べているそう。果たして、Ismail氏は誰を乗せてしまったのか。怪談のように、この女性は幽霊だったのか。墓地を探してみたら女性を見つけることができたかもしれないが、今のところそのような調査は行われていないそうだ。

 なお、幽霊(?)が残したお金について、Ismail氏の元には多くの人から「幽霊が使ったかもしれない不気味な現金を買い取りたい」という申し出が届いているそう。Ismail氏はすぐに売り払うつもりはないと述べているが、何にでも興味を示して商売に繋げようとする生きている人間の方が余程恐ろしいと言えるかもしれない?

参考:「Coast to Coast AM」「New Straits Times」ほか

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文=田中尚(ミステリーニュースステーションATLAS編集部)

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