中国の河童が強すぎる…体長6mで青い炎を噴射! 知られざる「河童とキリシタン」の関係とは?
日本を代表する妖怪・河童。現代ではツチノコのように未確認生物としての地位も獲得し、岩手県遠野市では「カッパ捕獲許可証」まで発行されている。河童の起源については諸説あるが、あまり知られていないものの1つに、スペイン人宣教師が関わっているものがあるという。江戸時代の発禁書などを参考に宗教・オカルトの専門家である神ノ國ヲが考察する。
――河童は日本を代表する妖怪ですが?
神ノ國ヲ:「河童」伝説については、以前、本誌でも紹介しました。たとえば九州の一部地域では、河童は秋に山に入り山童(やまわろ)となり、春には川に戻ると伝えられています。河童伝説の核を、河原に住む人々、つまり世間一般の秩序からは排除した者たちにみる研究もあります。最近では2019年に中村禎里「河童の日本史」が上梓されました。また2006年には、国レベルの機関である総合地球環境学研究所において「カッパとは何者か?」と題した研究資金願いが提出されています。インターネットでは河童懲罰士なる謎ミームが誕生するなど、河童研究は夏の日照りのように熱いのかもしれません。
――そもそも河童とは何者ですか?
神ノ國ヲ:第二次世界大戦中にキリシタン伝承をまとめた三田元鐘は、江戸幕府の発禁本『海外新話』を引用して河童を説明しています。『海外新話』は、アヘン戦争などを記した当時最新の情報誌です。同書いわく「あちこちを走り回り、樹上にのぼり、岩穴に隠れ、雨に啼き、風に叫び、夜間城中に現れて、門戸を叩いて眠りを妨げた」「身の丈およそ6メートル以上、両手足には四本指、その爪はキリのようであった」「全体に緑色の鱗甲で覆われており、その剛堅さは鉄よりも固い」「刀で切りかかると青い炎を口から吐いて逃げた」「銃で撃っても傷を与えることはできず嘲笑して飛び跳ねる」「康熙49年(1710年)この獣が海辺に出て海中へと消えたが、その声は雷鳴のように轟き、百里先(390km先)でも振動を感知した」。とんでもない河童の描写です。
かなりイカれた河童の存在を広く知らしめた同署は発禁処分となったにもかかわらず、重版され、売れに売れたようです。事実、作者は一度逮捕されたのち、京都・大坂・江戸の三大都市への居住を禁止されています。つまり、それほど幕府にとって「河童」の存在は隠蔽したい情報だったのかもしれません。公然の事実ながら、やはり秘匿すべき事柄だったのでしょう。
――まさか生物兵器ですか?
神ノ國ヲ:この描写ですと、当時生きた謎の海棲の獣人の可能性があります。しかし三田元鐘いわく「河童は色が黒く、目がくぼみ、鼻が高く、異様な形相をして、声は鳩のそれのごとく、たいていは海辺に遊ぶ子供を誘うて戯れる。そのとき河童をとらえて虐めると、持薬の金創妙薬をくれて詫びて放免されるという筋におわる。児童が水泳中に溺死するのは河童のせいにしているが、そこで子供を誘い込むこと、頭髪の真ん中を剃り、周りを残して頭上に茶台のごときものを載せてあること、海辺に遊ぶ子供は河童に似るということ――この伝説的怪物はまったく架空の存在ではなく、伝道の吸引性を有する宣教師すなわち時のフランシスカンを指したのである」。
つまり三田によれば、河童の正体は、戯画化された当時のキリスト教宣教師です。三田は続けます。「顔色の浅黒いスペイン人が合羽を着て、どこからともなく海辺に現れては人を集めて、その頭上に洗礼の水を注ぎ、病人を不思議に直しては、また海を渡っていく奇異な人種から、中国人の受けた印象がカッパすなわち河童だったのである」。
――たしかに宣教師たちは頭を剃っていますね。
神ノ國ヲ:何より河童の皿が、宣教師たちが持つ洗礼盆(薄い水皿)と考えられているところは興味深いですね。三田によれば、河童とは、西洋から伝来した雨合羽を被った宣教師たちであり、それは中国経由の半人半獣の寓話と南蛮人への印象が融合したものだった。たとえば、韓国における「オランカイ」は天狗を意味します。ところが、実際オランダの表記は阿蘭界だった。すなわちオランカイは、天狗にたとえられた欧州人全般を意味する「オランダ人」だったという話があります。日本においては、合羽を着た宣教師たちが河童と呼ばれたわけです。
――嘘みたいな話ですね
神ノ國ヲ:嘘みたいな本当の話はたくさんありますね。たとえば千年以上前に臓器移植の話をしたら、悪魔の仕業だといわれることは間違いありません。しかし現在では技術が確立しているので、誰もそんなことは思わないのです。同じように、人類は新しいものに直面するとき、そこに古来より伝わる神話や伝承の想像力を当てはめて理解しようと努力するんです。その理解の記憶が「河童」伝説であり、韓国のオランカイ伝承なのかもしれません。しかし宣教師たちの身長は6メートルもありませんし、キリのような爪のある4本指でもないです。刀でも銃でも倒せない獣人と宣教師は、あまりにもかけ離れています。となると、もしかすると『海外新話』の記述は、別の事実を示しているのかもしれません。
※ 本記事の内容を無断で転載・動画化し、YouTubeやブログなどにアップロードすることを固く禁じます。
関連記事
人気連載
“包帯だらけで笑いながら走り回るピエロ”を目撃した結果…【うえまつそうの連載:島流し奇譚】
現役の体育教師にしてありがながら、ベーシスト、そして怪談師の一面もあわせもつ、う...
2024.10.02 20:00心霊中国の河童が強すぎる…体長6mで青い炎を噴射! 知られざる「河童とキリシタン」の関係とは?のページです。河童、江戸時代、宣教師、キリシタンなどの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで