今も謎を残す「コティングリー妖精写真」とは? 5枚中1枚は本物!?
コティングリー妖精事件は、20世紀初頭に「本物の妖精が写真で撮影された」としてイギリス中を騒然とさせた事件である。かのシャーロック・ホームズの生みの親である作家コナン・ドイルをも巻き込んだことで知られ、事件からおよそ50年後に捏造写真だとカミングアウトされた。
ブラッドフォード近郊のコティングリー村に住むいとこ同士の2人の少女エルシーとフランシスは、父親のカメラを借りて森の中へ入り、そこでフランシスと妖精が一緒に写っている写真を撮影した。彼女たちは、「森の中で妖精と遊んだ」ことを証明するためのものだと主張し、1917~1920年のあいだに計5枚の妖精写真が撮られた。この妖精写真は、写真に加工の跡が見られないといった検証から本物ではないかと言われ、コナン・ドイルもこの写真を信用できると発表したことで大々的に話題が広まった。
しかし、この写真に写る妖精は雑誌の挿絵を模写し切り抜いて作ったフェイクだったことが、晩年の彼女たちの口から語られたのだった。その妖精のトレース元の絵が掲載されている雑誌も特定されており、これによって写真自体は加工していないが写真に写る妖精は創り物であったということが確定したのだ。
ただ、この妖精写真については今も謎が残っている。彼女たちのうち一方は、5枚中最後に撮影した1枚の写真は本物であると最後まで主張していたのだ。4枚の写真に写る妖精は、被写体の少女たちに比べてかなり輪郭が鮮明であり、違和感があるという意見は当時から見られていた。だが唯一本物と彼女が主張した1枚は、彼女たちがどちらも被写体に入らず、しかも妖精の姿が半透明に写し出されているため他の4枚とはかなり異なっている。そもそも彼女たちによれば、「妖精は実際にいたが、誰も信じてくれなかったので捏造した」と主張しているという。
近年は、カラー修正を施した写真が改めて検証されており、最後の5枚目は実は心霊写真でもあったのではないかという話も囁かれているようだ。また5枚目に写る妖精についても、仮に絵であったとしても少女の手でここまで高いスキルの描写ができたのか、ここまでする必要があったのかという疑問もある。妖精写真は、今でも多くの謎を秘めているのだ。
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