69人の子供を持つ「連続精子提供者」が帰ってきた! 世界中を巡りながら“趣味”で種まき…

 69人の“遺伝的子供”を持つ連続精子提供者が「活動を再開」したという――。

連続精子提供者が世界規模で活動再開

 SNSの発達と浸透は思いもよらぬ側面で個人と個人が繋がる事態を迎えているが、それはドナーの分野でも起きている。

 不妊のカップルなどが安全に第三者からの精子の提供を受ける場合、これまでは「精子バンク」がその間を仲介していたが、SNSの発達もあり精子提供者と受け手が個人的に繋がるケースも珍しくなくなってきた。

 アメリカやイギリス、EUでは精子バンクは各種の規制と法律の下に運営されているのだが、精子バンクを利用しない“個人間取引”では当然ながら法律では保護されなくなる。そうした理由から精子の個人間取引のリスクを危ぶみ批判する声も多いのだが、そんな批判はどこ吹く風とばかりに趣味の一環で世界中で精子の提供を行っているのが米カリフォルニア州出身のカイル・ゴーディ氏(32歳)だ。

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カイル・ゴーディ氏 「Daily Star」の記事より

 世界中からSNSで希望者を募り現地へ赴き精子を無料で提供し、これまでに世界中で69人の子供たちの生物学的父親となっている。

 数年前から話題になっていたゴーディ氏であったが、どういうわけなのか今回のコロナ禍でその“需要”は急増し、彼のインスタグラムには希望者からのメッセージが殺到する事態になったという。

 もはや“趣味”の領分を越えてしまったと理解したゴーディ氏はいったん提供を中止し、この“趣味”から足を洗うことも仄めかしていた。

 しかし先日の英紙「Daily Star」の記事ではどうやらゴーディ氏が「活動を再開」したことが報告されている。

 記事によれば現在「活動に戻り」8人の子供たちに会いに、ヨーロッパ、アジア、北米、オーストラリアの4大陸を横断中であるという。

 活動休止中、ゴーディ氏は世界中で純粋に旅を楽しんでいたということだが「人々が次々と連絡をくれて、彼ら彼女らは良い親になってくれると心から感じた」として提供の再開を決めたということである。

 四大陸すべてでドナーとなって女性を妊娠させているゴーディ氏は「子供たちが異なる文化の中で成長し、他の言語を話すのを見るのは興味深いことなので、素晴らしいことです」とこの“趣味”の意義深さを語っている。

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同氏の精子で赤ちゃんを授かったアリーナさん 「Daily Star」の記事より

過去には恋愛関係に発展したことも

 ゴーディ氏はこれまでの活動の中で、提供先の女性とプライベートな関係に発展したこともあったという。

 提供した1人の女性と恋に落ちたことがあったというが、はかなくもそのその関係は2カ月で終わったということだ。そこには見解の違いがあったのだ。

 女性は恋愛関係に発展したことで、ゴーディ氏が精子提供を止めるはずだと考えたというが、彼には止めるつもりはまったくなかったのだ。この見解の相違は埋めがたく、別れることになったという。

「私が過去にやってきたことを受け入れてくれる人を見つける必要がありますが、それが障害になってほしくないのです。もしいい人が見つかったら、自分の“趣味”を完全に再評価するつもりです」(ゴーディ氏)

 69人の遺伝的な子供を持つゴーディ氏だが、今も結婚願望は旺盛であるようだ。

「私は一定のルールに同意し、妻にふさわしい女性のために犠牲を払います」(ゴーディ氏)

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「Daily Star」の記事より

 彼は当面のところ世界中を巡るツアーを続けながら、赤ちゃんを切実に必要としている人たちだけを助けたいと望んでいる。そして「私は定期的に子供たちの写真を受け取っているので、子供たちが元気に過ごしていると知ることができてとてもうれしいです」と道中での楽しみを語る。

「まだ提供をやめるつもりはないと思いますが、将来的にはまた考えが変わるかもしれません。でも今のところそれはありません」(ゴーディ氏)

 はたしてゴーディ氏はこの先何人まで遺伝的な子供を授かるのだろうか。いずれにしてもゴーディ氏とその精子の旅はいろんな意味でまだまだ続きそうだ。

【トカナのコメント】

 世界には550人の子をもうけた“連続精子提供者“も存在するが、このことには深刻な問題もある。離れ離れになっていた血縁者を、外見や性格など類似点の多さから魅力的に感じてしまう「ジェネティック・セクシュアル・アトラクション」という現象があり、知らず知らずのうちに同じ生物学的に同じ父親を持つ子供同士が近親相姦に至る恐れがあるのだ。ゴーディ氏の趣味もほどほどにしてもらいたいものだ。

参考:「Daily Star」ほか

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文=仲田しんじ

場末の酒場の片隅を好む都会の孤独な思索者でフリーライター。
興味本位で考察と執筆の範囲を拡大中。
ツイッター @nakata66shinji

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