『イエス・キリストの正体は幻覚キノコだった』と主張してキャリアを台無しにした学者がいた

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画像は「canva」より

 かつて、高名なイギリス人学者が、そのキャリアを台無しにしたことはあまり知られていない。

 ジョン・マルコ・アレグロは1923年にイギリスに生まれ、第二次世界大戦でイギリス海軍に勤務した後、マンチェスター大学で東洋学の優等学位を取得し、オックスフォードでヘブライ語方言の研究を行ってきた人物だ。1953年にはエルサレムの死海文書の研究チームに参加し、その後マンチェスター大学で比較セム語言語学の講師となっている。

 そんな有望な言語学者・考古学者であり、死海文書の学者でもあったアレグロが、突如イエス・キリストは人間ではなく、キノコだったと主張したのだ。この荒唐無稽な話は彼に大きな悪名を残すこととなった。

 ある人にとって聖書は文字どおり真実であり、ある人にとっては、聖書は寓話の集合体である。歴史的事実とは遠いかもしれないが、解読を必要とする神のメッセージが含まれていると考えるのも無理はない。

 この古代の物語の中で、イエスが実在したのかという点は頻繁に議論されてきた事実だ。その名前の人物は実際に存在したのか? 彼は本当にベツレヘムで生まれたのか? 多くの人にとってこの議論に割って入る余地はないが、アレグロがそこから何かを見出したことは確かである。

 1947年、ベドウィン(アラブの遊牧民族)の羊飼いたちが、ユダ砂漠の人里離れた場所に隠されていた古代文書の入った壺を偶然発見した。死海文書として知られるこれらの文書は、ユダヤ教とキリスト教の歴史を理解する上で大きな影響を与えることになった。しかし、発見された当時は誰も翻訳することができず、その意義は不明だった。

 そこにアレグロが登場する。

 アレグロは、この貴重な古文書の解読を許された最初の学者の一人だった。1955年、アレグロは発見された中でも最大の巻物である「銅の巻物」と呼ばれる文書を自身の勤めるイギリスのマンチェスター大学に送り、そこで解読に没頭した。

 アレグロと彼の仲間たちは何年にもわたる苦労の末に、そして多くの意見の相違があった中で、ついにその結果は本という形となり出版されることとなった。1958年、アレグロはこのテーマで2冊の本、『死海文書』と『死海文書の人々』を書き上げた。

 しかし、時を経て奇妙なことが起こる。

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 1970年、アレグロは『聖なるキノコと十字架』、そして1979年には『死海文書とキリスト教神話』という本を出版した。これらの本では、キリスト教の起源に関する驚くべき仮説が提唱されている。

 アレグロの考えでは、キリスト教はアマニタ・マスカリアというキノコの幻覚作用に影響を受けた人々の秘密のカルトであり、イエスはそのキノコとその効果を象徴する存在だったとされているのだ。

 アマニタ・マスカリアは日本ではベニテングタケの名で知られる鮮やかな赤い傘と白い斑点を持つ、有毒のキノコの一種で、主に北半球の森林地帯に自生している。一部の文化や宗教的儀式では、その向精神性の効果を求めて利用されることもあるが、摂取には危険が伴い、中毒死することもあるため注意が必要なキノコだ。 

 アレグロは自身の研究を元に、初期キリスト教の教義やそれにまつわる物語は、エッセネ派というカルト集団がキノコの幻覚体験を元に記述したものであり、その内容が死海文書に現れていると主張している。

 そして、新約聖書を作成した著者たちは、その真の意味を誤解して伝えたと彼は信じていたのだ。つまり、アレグロの解釈によれば、イエスという人物は存在しなかったということになるのだ。

 この独特すぎる見解は、1970年代のカウンターカルチャー運動の中ではある程度の注目を集めたが、多くのキリスト教の信者や学術界からは当然のごとく批判された。

 アレグロがこのような議論を展開したのは、才能ある言語学者が間違った考えに走っただけだと考える者もいる。

 いずれにせよアレグロの解釈は突飛なものである。この議論の背後には、キリスト教の批評家への反発があったとも言われており、彼の解釈は様々な角度から学問、そしてキリスト教の世界に名を残すこととなった。

参考:「IFLScience

(文:青山蒼)

TOCANA編集部

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