クレーン吊り・石打ちによる死刑……今も行われている世界の残忍な処刑方法

 決して野蛮な古代文明の残忍な風習などではない――。現代でもきわめて残酷な処刑方法が実際に行われているのだ。

■窒素低酸素法

 2022年11日、米アラバマ州で死刑囚、ケネス・スミスの死刑が行われたのだが、定められた時間内に薬物注射を完了することができずに死刑は先送りされることになった。

 どうすれば確実に死に追いやることができるのか。2024年1月26日、地元当局が選んだ処刑方法は窒素ガスを吸入させる方法だった。つまり窒素を吸わせることで酸欠にして死に至らしめたのだ。

 こうしてスミスは窒素低酸素法により処刑された最初の人物となった。

 酸素欠乏による死亡は当然だが当人は非常に苦しむことになり、問題視する声があがっている。

「Daily Star」の記事より

■クレーン吊り

 足場を外して落とす絞首刑とは逆に、首に巻かれたロープをクレーンで吊りあげるのがクレーン吊りである。

 バングラデシュ、イラン、イラク、エジプト、ケニア、ジンバブエ、シンガポール、韓国、パキスタン、インドで今でも行われているクレーン吊りは、公開処刑を前提としており、見物にきた人々は吊り上げられた死刑囚がいつ絶命したのかを確認することができる。

 このようにゆっくり絞め殺されるクレーン吊りもまた当人はきわめて苦しむことになるので、人道面から批判する声も少なくない。

「Daily Star」の記事より

■石打ち

 石打ち刑は古代の野蛮な風習のようにも思えるが、実は現代でも行われている。

 英紙「The Sun」によれば、イランの刑法には「石打ちに使用される石の大きさは、囚人を一、二投で殺せるほど大きすぎてはならず、同時に石と呼ぶには小さすぎてもいけない」と定められているという。

 死刑囚は何らかの方法で拘束されており、時には地面の穴に頭だけを突き出した状態で埋められることもあるという。死刑囚はまったく抵抗できない状態で投げつけられる石によるダメージを受け続けるのである。

 石打ち刑は主にイスラム教の法制度であるシャリア法の下で生活するコミュニティで行われていると考えられているが、中央アメリカでも石打ち刑は報告されている。

「Daily Star」の記事より

■銃殺刑

 銃殺刑は主に軍隊と関係した長い歴史を持つよく知られた処刑方法だが、アメリカの5つの州ではこれが処刑の手段としてまだ残されている。報道によれば北朝鮮はこの手法を頻繁に使用している可能性があるという。

 一般的には頭巾をかぶって縛られた一人の死刑囚に5人がかりで発砲して確実に命を奪う。

 ある脱北者は、ポルノを作成した疑いで11人のミュージシャンたちに対して、対空砲としても用いられる大口径の機関砲で死刑が行われたのを目撃したと主張している。

「ミュージシャンたちの命は銃が撃ち込まれるたびに奪われていった。彼らの体は粉々に吹き飛ばされ、完全に破壊され、血と肉片があちこちに飛び散った」(脱北者)

 ちなみに2022年には国内で196件の死刑が執行されたサウジアラビアでは斬首刑が今も行われており、現在、斬首を行う唯一の国となっている。

画像は「Pixabay」より

 かつての日本では斬首もあれば“切腹”もあり、今でも絞首刑がメインであることから決して他人ごとではないともいえるのだが、死刑廃止の機運も高まる中、まずは非人道的な処刑方法の根絶を図らねばならないだろう。

参考:「Daily Star」ほか

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文=仲田しんじ

場末の酒場の片隅を好む都会の孤独な思索者でフリーライター。
興味本位で考察と執筆の範囲を拡大中。
ツイッター @nakata66shinji

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