『ケネディ家の呪い』25年前の悲劇と絶えない“陰謀論”の影

 1963年に暗殺されたジョン・F・ケネディ米大統領の息子、ジョン・F・ケネディJrが1999年7月16日の飛行機墜落事故で命を落としてから25年が経つ。まさに呪われているとしか思えないケネディ家の悲劇は今後も繰り返されてしまうのか――。

■今も続く“ケネディ家の呪い”

 1999年7月16日午後9時過ぎ、当時38歳のジョン・F・ケネディJr(JFKジュニア)が小型飛行機「パイパー・サラトガ」を操縦し、ロングアイランド沖上空を飛行中、突然機体が急降下。機首から大西洋の水面に墜落し、当人をはじめ同乗していた妻のキャロリン(33歳)と義姉のローレン・ベセット(34歳)の3人が死亡した。

 墜落事故以来、JFKジュニアの身に何が起こったのかについて、さまざまな説が浮上している。

 キャロリンとの結婚生活が破綻しつつあり、経営していた出版社の雑誌が売れなくなっていたことから、道連れの自殺(拡大自殺)であると示唆する者もいるが、遺族はこの説を否定している。

 JFKジュニアは殺害されたとされたとの“陰謀論”も囁かれている。当時、彼は父親(JFK)の暗殺に疑惑を募らせており、捜査の再開を望んでいたと言われている。

ジョン・F・ケネディJr 画像は「 Wikimedia Commons」より

 作家のジョン・コーナーは、飛行機墜落時に爆発があったのを見たという目撃者がいると主張している。事故ではなく機体の破壊工作が仕組まれていたというのだろうか。

 墜落事故の直後、ペンタゴン(アメリカ国防総省)が奇妙なことに墜落事故の報道を引き継いだと指摘している者もいる。なぜペンタゴンがこの事故に介入したのか。

 最も奇妙なのは「Qアノン」の信者たちがJFKジュニアは死んでいないと信じていることだ。彼らはJFKジュニアは死を偽装し、いつか復活し、ドナルド・トランプの副大統領に立候補する可能性があると主張していのだが、ご存知のように現在、トランプは副大統領候補にジェームズ・デービッド・バンス上院議員を選出していることから、この“陰謀論”は成立しそうもない。

 各々の説はともあれ、“ケネディ家の呪い”は本当にあるのではないかと多くが思っているのは事実のようだ。以下が、“ケネディ家の呪い”のタイムラインである。

●1944年:米海軍士官ジョー・ケネディ・Jr. (JFK 大統領の兄) が第二次世界大戦中に29歳で飛行機事故で死亡。
●1948年:JFK の妹キャサリンがフランスでの休暇中に飛行機事故で28歳で死亡。
●1963年:JFKと妻ジャクリーンの末っ子、パトリックが生後2日目で死亡。
●1963年:JFKが車列で移動中にテキサス州ダラスで銃撃犯に暗殺される(JFK暗殺事件)。
●1968年:KFKの弟のロバート・ケネディ上院議員がロサンゼルスでサーハン・ベシャラ・サーハンに射殺される。
●1969年:エドワード・ケネディ(テッド・ケネディ)上院議員がチャパキディックで自動車事故を起こし、同乗していた28歳の女性が死亡。
●1973年:エドワード・ケネディ・ジュニアが癌と診断され右足を切断。
●1984年:ロバート・ケネディの息子、デイビッドが28歳で薬物の過剰摂取により死亡。
●1997年:ロバート・ケネディの息子、マイケルが39歳でスキー事故により死亡。
●1999年:38歳のJFKジュニアが操縦していた飛行機が海に墜落し死亡。
●2011年:エドワード・ケネディの娘、カラがジムで心臓発作を起こして51歳で死亡。
●2019年:ロバート・ケネディの孫娘、シアーシャが22歳で薬物の過剰摂取で死亡。
●2020年:ロバート・ケネディの孫娘、メイヴ(40歳)と息子、ギデオン(8歳)がカヌー事故で死亡。

 はたしてこの先も“ケネディ家の呪い”は続いていくのだろうか。2020年が最後の悲劇であってほしいものだ。

参考:「Daily Star」ほか

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文=仲田しんじ

場末の酒場の片隅を好む都会の孤独な思索者でフリーライター。
興味本位で考察と執筆の範囲を拡大中。
ツイッター @nakata66shinji

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