謎すぎる「バジェカス事件」とは…17歳少女の不可解な死と続く超常現象の真相

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 1990年代初頭、スペイン・マドリードのバジェカス地区で一連の不可解な出来事が起こった。これらの現象は、ある10代の少女が奇妙な状況下で亡くなった後に始まったという。この出来事は謎に満ちており、今日に至るまで議論と関心を集め続けている。

事件の発端と少女の死

 亡くなった17歳の少女は、ルイス・マリン通り8番地に両親と5人の兄弟姉妹と暮らしていた。母親のコンセプシオン・ラサロが長年にわたり様々なメディアで語ったところによると、全ては1991年に始まったという。

 娘のエステファニアが2人のクラスメイトと共に、交通事故で亡くなった彼女のボーイフレンドと交信するためにウィジャボードを使用したのだ。セッション中、ある教師が介入してボードを真っ二つに壊した。後に少女たちが説明したところによると、プランシェット(こっくりさんでいう10円玉の役割)として使用していたグラスから煙が立ち上り、エステファニアがそれを吸い込んだという。

 その時から、エステファニアは幻覚や不眠、けいれんに悩まされるようになった。彼女は自分に付いてくる人影を見るようになったと語っていたという。両親は複数の医師の診察を受けさせ、てんかんの治療を開始したが、明確な診断は下されなかった。エステファニアの健康状態は悪化の一途をたどり、カトリック教徒で迷信深い家族は、彼女が悪霊に取り憑かれたのではないかと疑うようになった。

 1991年7月13日の夜、エステファニアは同じ部屋で寝ていた姉マリアネラを激しく攻撃した後、口から泡を吹いて倒れた。翌日、病院に昏睡状態で搬送され、その夜に死亡した。

 バジェカス事件を題材にした映画「ベロニカ」の公開に際し、亡くなった少女の兄リカルド・グティエレスはCOPEラジオに対し、エステファニアは奇妙な状況下で亡くなったのではなく、「てんかん発作だった」と述べている。

 しかし、スペインのミステリーサイトであるespaciomisterio.comが入手した検死報告書によればそうではない。法医学者は、これが「肺水腫の症状を伴う心肺停止」による突然死であり、疑わしい死亡例だと説明しているが、その原因を特定することはできなかった。エステファニアは窒息して亡くなったが、何が原因だったのか。

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死因究明の試み

 この謎を解明するため、病理学者たちは血液と臓器のサンプルを法医学研究所に送り、1991年11月22日に裁判官の前で結果を報告した。その証言には次のように記されている。

「血液と胃内容物から検出されたカルバマゼピンの量は、テグレトールという商品名で販売されている薬の治療量に相当し、被験者が示していた複雑な病理学的症状の治療に適応されていた可能性が高い」

 テグレトールは、母親がてんかん発作の治療に使用していた薬物だった。少女が診断を受けていなかったにもかかわらず、両者ともこの薬を服用していた。薬物中毒が原因でなかったとすれば、何が肺水腫を引き起こしたのか。

 法医学者によると、「複雑な病理学的症状」には「異常な肥満」と「顕著な脾腫(脾臓の肥大)」が含まれており、これは「内分泌系の異常を示唆する可能性がある」とされたが、確認することはできなかった。つまり、エステファニアがなぜ亡くなったのかは謎のままなのだ。

 エステファニアの兄弟の一人、マキシミリアノ・グティエレスが明かしたところによると、「母は、エステファニアの周りで何か悪いことが起こっていて、彼女が死後も存在を示していると思い込んでいました…」コンセプシオンは、祖父が生前関係の良くなかった娘に復讐しようとしているのだと確信していたようだ。

続発する超常現象

 エステファニアの死後、バジェカスのアパートでは超常現象が激化した。コンセプシオンは、十字架が回転する、原因不明のガラスの破損、亡くなった娘の声が聞こえるなどの現象を目撃したと主張した。ドアが勝手に開閉するのも日常的な出来事となった。

 1993年11月1日、エステファニアの死から2年後、部屋に飾られていた彼女の写真が燃え、顔の部分だけが焼け焦げた。

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画像は「Espacio Misterio」より

 別の時には、コンセプシオンは就寝中に手足に触れられる感覚を覚えた。また、娘たちの人形が夜中に壁に激しく叩きつけられるとも語った。恐怖は家族を支配し、1992年11月27日、彼らは警察に通報することを決意した。

 主任警部ホセ・ペドロ・ネグリとその部下たちは、前例のない警察の記録に残された不可解な出来事の目撃者となった。具体的には鍵のかかったドアが激しく開閉する、バルコニーからの大きな音、小さなテーブルに現れた奇妙な茶色の物質、3本の爪跡が付いた壁から引きはがされた十字架などだ。

報告書には次のように記されている。

「2時40分、家族と面談し家の内部を観察した後、鳥肌が立った。家族全員と一緒に座っていたところ、完全に閉まっていた戸棚のドアが突然、不自然な形で開くのを目撃した。その後確認したところ、ドアは確かに閉まっていた。しばらくして電話が置かれているテーブルの小さなテーブルクロスに、茶色い固形の染みが現れたことに気づいた。家の様々な部屋を回っている際、木製の十字架が裏返され、取り付けられていたキリスト像が引きはがされるのを観察した」

事件の余波と真相究明の試み

 その後も超常現象は続いたとされ、この事件は神秘主義的な番組や自称超心理学者たちの格好の題材となった。彼らは家族を精神的ストレスや本当の恐怖に陥れた。

 メディアの過剰な報道により、マキシとリカルドはいじめを受け、マリネラは同名の映画に登場する有名な幽霊にちなんで「キャスパー」というあだ名をつけられた。グティエレス・ラサロ家の末っ子は「今日なら社会福祉サービスが介入していただろう」と語る。超常現象的な事件で未成年者がテレビに出演させられていたのだから。

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 後の調査で、全てが報道されたとおりではなかったことが明らかになった。例えば、ジャーナリストのダビド・クエバスは、兄弟の一人リカルドから証言を得た。彼は警察官が聞いたバルコニーの音の正体だったという。

「母が警察官たちをもっと驚かせるために、こっそり何かをテラスに投げるよう頼んだんだ。リビングにあった小さな石を拾って、バルコニーに行って投げたら、テラスにあった鉄の食器棚に当たったんだ。『バシッ』って音がしたよ。それが警官たちの聞いた音だったんだ」

 誇張されていたにせよ、いなかったにせよ、バジェカスでグティエレス・ラサロ家を悩ませた現象は、1996年に少女の遺体を発掘し、約束を果たしたことで収まったとされる。

 家族は90年代後半にその家を出た。彼らはラテンアメリカ系の家族に家を売却したが、その後の住人は特に異常を感じていないという。

 この「バジェカス事件」は、科学的説明のつかない現象と人々の不安や恐怖が絡み合った複雑な事例として、今なお人々の関心を引き付けている。事実と噂が入り混じる中で、真相の解明は今も続いている。

※参考:Espacio Misterio

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文=青山蒼

1987年生まれ。都市伝説マニア。

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