伝説の地底都市「アガルタ」理想郷は地球の奥底に存在するのか
伝説の地底都市「アガルタ」は今も地球の奥底で栄えているのか――。アガルタが存在すると主張する人々にまつわる物語はいずれも興味深い。
■地底の理想郷「アガルタ」のストーリー
地底のユートピア、アガルタ(Agartha)の伝説は、古代の神話や魅惑的な秘教的伝統と深いつながりがある。
古代ギリシャ神話は「ハデスの冥界」に頻繁に言及し、ヒンドゥー教の文献には蛇のような恐ろしい生き物が住む地下世界「パタラ」について書かれている。キリスト教徒の中には地獄は文字通り地球の地下にあると信じている者もいる。
アガルタは19世紀に「地球空洞説」の台頭により注目を集めるようになり、我々の住むこの地球はピンポン玉のように中空であるか、あるいは別世界へ繋がっており、その場所こそがアガルタだと説明している。
地下世界としてのアガルタに関する最も古い出版物の 1つは、ルイ・ジャコリオの1873年の著書『The Sons of Gods(神の子)』(1873年)に記された太古の太陽の都市アスガルタ(Asgartha)であり、インドの伝承によれば約5000年前に破壊された古代都市とされている。
19世紀の有名なフランスの神秘主義者、アレクサンドル・サン=ティーヴ・ダルヴェードルは著書の中でアガルタは、深い精神的知識と科学的知識を持つ高度な存在が支配するユートピア社会であると記している。アガルタは調和と啓蒙の場所であり、地上世界の混沌と争いとは対照的な理想郷であり、今も存在しているという。
ポーランドの作家で冒険家のフェルディナンド・オセンドフスキーが、1922年に著した『Beasts, Men, and Gods(獣、人間、そして神々)』でアガルタと呼ばれる隠された王国について語ったラマ僧との出会いについて語っている。
僧らによると、アガルタははかり知れない知恵と権力を持つ「世界の王」によって支配された巨大な地下ネットワークであるという。第一次世界大戦後、ドイツの神秘主義団体とナチスはこのオセンドフスキーのような作家に触発されてアガルタに興味を持ち、実際にその探索に着手している。
ナチスはアガルタを自分たちの人種差別的信念を推し進めるために利用し、アガルタには高度な技術と知識を持つ古代アーリア人の“超人種”の残党が住んでいると解釈した。
ナチスはアガルタを発見できなかったが、現代文化のアガルタへの関心が完全に消えることはなく、密教やチベットのカーラチャクラの教えに由来する伝説的な仏教の精神王国「シャンバラ」との混同も見られるようになった。
西洋におけるアガルタとシャンバラの現代的関連は、主に神智学協会のロシア人共同創設者であるヘレナ・ブラヴァツキー夫人によるもので、アガルタはチベットの地下にある巨大な洞窟群であり、アスラと呼ばれる半神が住んでいると信じられている。
アガルタの伝説は、古代の神話、秘教的な教え、現代の想像力が巧みに融合し、今もなお人々を魅了している。初期の地下神話や地球空洞説に端を発するものから、19世紀のオカルティストからナチス、ニューエイジ思想まで影響を及ぼしたアガルタの物語はさらに豊かになり、精神世界と物質世界が融合した理想郷として描かれている。
伝説の理想郷を探すにせよ、我々がユートピアを築き上げるべく尽力するにせよ、次の“ステージ”に進むまでに人類に残された時間はそう長くはないのかもしれない。
参考:「Ancient Origins」ほか
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