幻の二大陸ドッキング計画「アトラントロパ計画」ヨーロッパとアフリカをくっつける構想が存在した!

かつて、アフリカ大陸とヨーロッパ大陸を1つにつなぐことで、「世界平和」が実現すると信じた男がいた。20世紀の夢追い人は、はたして天才だったのか狂人だったのか?
■大陸をつなぐ「アトラントロパ計画」とは
アフリカとヨーロッパは最も接近した場所なら、わずか14キロメートルしか離れていない。とはいえ、地中海はこの2つの大陸を永遠に分け隔てているのだ。
だが1928年、この大海を人類の英知でもって統一してしまおうという驚くべき構想――「アトラントロパ計画」が持ち上がった。
なんと、大西洋に面したジブラルタル海峡と、地中海の中ほどに浮かぶシチリア島とチュニジア間、そしてアジアとの境界のダーダネルス海峡をダムでせき止め、ヨーロッパ・アフリカ間でつながった二大陸を「Eurafrican supercontinent(ユーラフリカン超大陸)」と名付ける予定だったという。
この誇大妄想狂ともいえる計画は、ドイツ人建築家ハーマン・ゼーゲルの発案だった。彼はこの前代未聞の大陸間ドッキング計画こそ第一次世界大戦後にヨーロッパであふれた難民の解決策となり、世界平和のためには是が非でも実現すべきと確信していたのだ。
彼のもくろみはこうだ。ダムを3つ建設し、地中海を2つの巨大な海盆に分ける。海水をせき止めることにより、地中海の西側で100メートル、東側で200メートル水位が下がり、干上がった海岸線は人が住める陸地となる。また、3つの巨大ダムには水力発電所を建設するため、アフリカとヨーロッパにおける移住地の拡大とエネルギー問題とが一挙に解決するという寸法だ。
なにしろ、海底だった場所を新たに66万200平方キロメートルの陸地に変える計算なので、これはフランスの国土より広いことになる。さらに、ダムの上には大陸間鉄道の敷設をはじめ、車道や歩道も通すというのだから、なんともスケールの大きい話だ。

■次に起こる世界大戦の防止策だった!?
こんな途方もない計画をぶち上げられた日には、さぞかし民衆も度肝を抜かれたと思いきや、当時のヨーロッパでは建築家、エンジニア、ジャーナリストをはじめとして、当事国の首脳間でも白熱した議論が繰り返され、一時は国連も真剣に調査に乗り出していたというから侮れない。
ニュースサイト「The Conversation」によると、キングス・カレッジ・ロンドンで文化史の講師を務めるリカルダ・ヴィダール博士は「ゼーゲルは、第一次世界大戦を経験しています。戦争によって引き起こされた1920年代の経済的、政治的混乱、そしてナチスの台頭。それらはゼーゲルに、かなり思い切った手段を使わないと、次なる大戦を食い止めることは不可能と実感させたのだと思います」と述べている。そして、ほとんど外交的解決に失望していたゼーゲルは、テクノロジーに望みを託したのだろうと。
ゼーゲルは「アトラントロパは独立した団体に管理され、他国への脅威となるような国があれば、直ちにダムのスイッチを切り、電力の供給を絶つ権限を持つ」と定義しており、また、この大掛かりな仕掛けを造るために各国が資金を出し合えば、戦争するための資金など底をつくと踏んでいた。つまり、彼はどこまでも真摯に世界平和を提唱していたということだろう。
なお、ゼーゲルは、この壮大な計画をPRするため、ラジオ番組、映画、講演、ついには「アトラントロパ交響楽団」までこしらえてしまったというのだから、その本気度は十分伝わってくる。この稀代のマーケッターは、1952年に67歳で亡くなるまで根気よくプレゼンを続けていたそうだ。
■150年に及ぶ壮大なプロジェクト
「予想がつくことですが、当時、各国間の首脳陣は、どちらかといえばユートピア構想に酔いしれていただけなのです。水運などにデメリットがあることも認識され、結局、アトラントロパを現実的な科学技術による建設とは考えられなかったのでしょう」(リカルダ・ヴィダール博士)
完成までに150年、ジブラルタル海峡にかけるダムの建設だけでも10年かかるという世紀を超えた一大プロジェクト。だが、このジブラルタルのダムが完成したなら世界最大の発電所となり、5万メガワットの電力供給が可能になるはずだったという……。残念ながら、ゼーゲルの大いなる野望は幻となってしまった。そして、今でもアフリカとヨーロッパはつながっていない。
しかし、ゼーゲルの神をも恐れぬマスタープランは、後世に多大な影響を残しているのも事実だ。現在、ミュンヘンの「Deutsche Museum(ドイツ博物館)」では、ユーラフリカン超大陸計画に関する都市構想図面やサポーターからの激励の手紙などを閲覧することができる。
まるで、「バベルの塔」建設と「モーゼの奇跡」を地で行くような話だが、情熱的で夢想家の男のロマンに、しばし思いを馳せてみるのも悪くないだろう。
参考:「Daily Mail」、「The Conversation」ほか
※当記事は2016年の記事を再編集して掲載しています。
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