6年間失踪していた少女が『死者の世界』で暮らしていたと主張…禁断の洞窟に隠された恐怖の真実とは

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 6年間行方不明であった少女がある日突然戻ってきた――。その期間、少女は死者の世界にいたのだという。

■6年間“死者の世界”にいた少女

 ロシア連邦を構成する共和国の内の一つ、ダゲスタン共和国には10の民族が暮らしており、その中のダルギン人には生者と死者の霊が共存する冥界についての驚くべき伝説がある。

 ダルギン人は太古の昔から、複数の世界があると信じており、1つは生きている人の世界で、植物、動物、鳥、人間が存在する。もう1つは死者の世界で、霊、霊的存在、ジン(精霊)、悪魔が住んでいる。

 彼らは両方の世界が我々の現実の中に共存していると主張しているが、死者の世界に入った者はほんの一握りしかいないという。逆に死者の世界から我々の世界への移行はより簡単だといわれている。

 1980年、ダゲスタンのダルギン人が暮らすアムフ村に1人の少女がやって来た。少女のやせ衰えた容貌と青白い肌に心配したある地元民は、話すこともできないほど衰弱した彼女を屋敷に入れ、水と食べ物を与えて休ませた。少女はお腹を満たすとすぐさま眠りに就いた。

 少女が目を覚ますと、屋敷の女主人は身元を尋ねた。

 6年前(少女にとっては単に昔)、少女はこの近くにある誰もが恐れる洞窟の奥まで行けるかどうか、地元の子供3人と肝試しをしたことを明かした。この洞窟は死者の世界に繋がっているのだと地元では言い伝えられている。

 恐怖に耐えながら少女は洞窟に足を踏み入れ、奥へ向かって進んでいったのだ。

 やがて少女は暗い洞窟の中で恐ろしい幽霊を次々に見はじめ、泣き声や叫び声を聞き、肌にピリピリと痛みを引き起こすほどの不協和音に包まれたが、怖気づきながらもゆっくりと進んでいった。

 その後、静寂が訪れ、少女は自分が別の世界にいることに気づいた。そこは、ジンや悪魔が人間の感情を餌としている冷たく暗い場所であった。これらの存在は本来悪意があるわけではなく、人間の恐怖や感情、あるいは死者の魂を糧にしている。死者の世界から霊が我々の世界を訪れ、生きている人間の魂のエネルギーを求めることもあり、それこそが幽霊なのである。

「Soul:Ask」の記事より

 詳しく話を聞くと、少女は6年間もその世界に閉じ込められ、その間絶えず脱出方法を探していたことがわかった。しかし少女はどうやって戻ってきたかを具体的に思い出すことはできなかった。思い出せないのではなく、思い出したくないほど壮絶な体験であったのだ。

 女主人は村の長老たちにこの少女のことを話すと、この少女はこの村で6年前に行方不明になっていたムミナトという少女であることが突き止められたのだ。

 両親の家に連れていかれた少女だったが、母親はすぐにムミナトであることがわかった。

 懐疑論者は少女の失踪には神秘的な要素はないと確信しており、彼女の話は単なる作り話だと一蹴している。彼らは彼女が恋人と駆け落ちしたが、数年後に物事がうまくいかなくなったのではないかと推測している。

 ムミナトの事件は実はレアケースではない。コーカサス地方では、20世紀と21世紀に約10人がそのような洞窟に入ったと噂されているという。ムミナトと同様、何年も経ってから突然戻ってきた者いれば、今もまだ行方不明の者もいるということだ。

 懐疑論者は洞窟での恐怖体験は洞窟の奥深くから発せられる謎の超低周波音によるものだとし、この超低周波音は人間の脳に共鳴し、恐怖と不安の中枢を刺激するのだと説明している。

 しかしロシア科学アカデミー、コスモポイスク研究協会などによる調査にもかかわらず、この現象を説明する証拠は今も見つかっていないということだ。

 今後もこの地でムミナトのように行方不明者が突然戻ってくることがあるのだろうか。ダルギン人に伝わる興味深いストーリーにこれからも注目していきたい。

参考:「Soul:Ask」ほか

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文=仲田しんじ

場末の酒場の片隅を好む都会の孤独な思索者でフリーライター。
興味本位で考察と執筆の範囲を拡大中。
ツイッター @nakata66shinji

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