京急線で突然“ノイズや悲鳴”が聞こえる区間がある!?鉄道怪談収集家が「赤い電車の呪い」に迫る

鉄怪探偵一銀の鉄道怪談報告書・京急電鉄

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イメージ画像:写真ACより

■はじめに

 東京に限らず、日本中を駆けめぐる鉄道には、様々な怪奇現象が起こる。明治初期から始まった新産業でもある日本の鉄道には、活躍の裏にそれなりの事故や死の歴史も刻まれている。

 今あなたが乗っている電車も、昔はそこで何か事故が起きた血塗りのレールかもしれない。もしくは廃線となり地下に埋められたレールの上に立っているのかもしれない。浮かばれない事故霊、自殺霊…その瞬間の霊体験や怪奇現象は日本中どこにでもある話なのである。

 そこでこの連載では鉄道怪探偵・一銀海生が、鉄道にまつわる怪奇風習なども交え、検証を進めていく。

■京急電鉄/赤い電車の怪奇と青い人魂

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 品川から横浜、金沢文庫へ向かう赤い私鉄電車をご存知だろうか。そう、京急線のことである。

 京急線品川駅では次に来る電車のアナウンスを駅員がホームで行う。妙に甲高い声で、まるでその電車が一瞬でもおかしな動きをしないか見張っているようだ。

 おもに羽田空港に運行する電車と、金沢文庫に向かうそうでない電車。慣れていなければ、わかりにくいという説もあるが、ホームに立っているだけで2分に1本くらいの感覚で電車がやってくる。

 そのせわしなさのせいなのか、駅員のアナウンスなのか、奇妙な立ち眩みがした。なぜこんなに真っ赤な車両なのだろうと、だんだん嫌気が差してくる。

 京急線の怪奇現象について、情報提供者であり鉄ファンの星野さんは語る。

「あの路線はね、ある区間(仲木戸駅から神奈川駅間)に霊園が広がるところあるんですよ。そこはね、イヤホンからノイズが入るって有名でね。聞くとね、女性の声だって言うんですよ。キャー! だかヒイイイだか、とにかく甲高い悲鳴がね、聞こえてくるんだそうです。それを聞いちゃうとね…そのあとそこで人が飛び込むって噂もあるんですよ。わかる人にはわかる話ですよ…」

■実際に乗って聞こえてきたものとは

 私、鉄道霊探偵の一銀は霊園が広がっている線路の区間に実際に行ってみた。

 イヤホンのノイズが、確かにある。電波状況が悪いということもあるかもしれないが、悲鳴ではなく、聞いていた音楽がとぎれとぎれになった。周りを見ると、びくっとしてきょろきょろとしてイヤホンを外す乗客もいた。

 おもに10代20代の男性の耳に聞こえるようだった。やはり、このノイズは聞こえる人には聞こえているのだ。

 特別な霊周波があるのかもしれない。そう思いふと見ると、目線の下に墓が見えた。  後日、京急線のその区間で飛び込み自殺があったと通勤客Ⅿさんから写真付きの情報が入った。駅員が遺体を抱える写真のほか、生生しいにもかかわらずホームの客が平然とその遺体の袋を見ている写真にも驚いた。

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画像提供:ハンターMAEDA

「ホームにいる客は日ごろから飛び込み現場に慣れているのだろう」と同時に「あのノイズに誘われて、犠牲者が出たのかもしれない…」とも思った。ノイズを聞いたあとに、偶然にも死亡事故が起きたことになる…。

 お墓の霊がこっちへおいでと誘っているのだろうか。

■ブルーライトのある駅

 前述の情報提供者、星野さんは続ける。

「駅のブルーライト、あれわかります? でね、これ、さっきの霊園の駅がある場所なんですよ。仲木戸駅とね、弘明寺駅とか暗い駅にはあるんです。柔らかい青い光が自殺を考えてる人を抑えるということで、自殺を防止するためにブルーライトを設置したのかも……、なんて言われてるんですけど、実際は違うようですよ。だって、全然防止できてませんからねえ」

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画像提供:ハンターMAEDA

 実際はどうなのか尋ねてみた。

「霊感がある人はあの光を見て、口揃えてこう言います。『幽霊がこちらの存在を認知できないようにするためだ』と」

 一銀は、夜更けにブルーライトを確認するため京急線各駅停車に乗った。ところが、屏風ヶ浦、杉田、京急富岡、などブルーライトがある駅は多い。特に周辺に店がない駅は、明かりがないため、かなり夜は暗くなる。

 この青白い光が心を休めてくれるのだろうか? むしろ怖さが先に立つ。そしてどのライトもホームの端にあるのが気になった。これはつまり、端から飛び込みやすいから設置している、ということなのだろうか。

 星野さんは言った。

「一銀さん、幽霊は怖いでしょう? 幽霊を見るのが怖いって思う理由、知ってます? 自分の『死』をリアルに感じる瞬間だからだそうです。でも、『死』を怖がらない人間もいる。そういう人が自殺しちゃうんでしょうね。幽霊=死が怖いと思ってるうちは、精神的にまともなんですよ。だけど、中には本当にブルーライトの下で待っている幽霊が、トンっと誰かの背中を押しているかもしれませんねえ。たまに、振り向きながらホームから落ちる人もいるって聞きますから。『誰かに押された?』って顔しながらね。辞めた運転手さんからの話ですよ。それがね、結構な確率で『押された? 何で?』みたいな顔で落ちて来るんだそうですよ」

 ちなみに、他のJRの路線の駅では、以前はオレンジ色の電灯だったのだが、LEDの青白い電球に変えたところ、自殺者が増したという噂もある。その駅は自殺者の多い駅として有名な場所だ。

 自殺防止なのか、誘う光なのか、今後も光の誘導性については検証が必要だ。

■壊された地蔵と自殺の踏切

 星野さんはさらに続けた。

「あとね、踏切。ここも飛び込みが多いんですよ。事故もあるようで、踏切近くに非常ボタンを設置したんですが、改善されなかったんです。噂だと、この近くで事故にあった際、建てられたお地蔵様を壊して、この踏切を作ったと言われているんですよ。その呪いで、電車を止めようとしているってね」

 情報によると、またその踏切で事故があり、電車内から撮影した写真が送られてきた。写真は第一車両から運転席、そして事故現場までを写した状態だが、中の乗客までガラス反射で写っているのか、「うらめしや~」の形をしたぶらんとした手が2つ写っていた。

 この区間は特に飛び込み自殺が多い。事故ではない。

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イメージ画像:写真ACより

 以前、赤い車だと追突事故率が高いという話があった。赤を見ると攻撃心が強くなるため、赤い車に追い抜かれると腹だたしくなり、追いかけて追突してしまうのだというのだ。

 京急電車の真っ赤な色は、もしかしたら、弱っている人々の心の中につけこむ攻撃的な霊を誘ってしまっているのかもしれない。

 

※当記事は2018年の記事を再編集して掲載しています。

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文=一銀海生(いちじょうみう)

鉄道怪異探偵。歴史研究や地域の怪談を収集している。「中央線格差」「池田理代子 麗しの世界」(宝島社)、「茨城の怖い話」「広島の怖い話」(TOブックス)などが発売中。「長野の怖い話」8月出版予定。音楽レーベル「レッドチョコ」代表。その他、漫画・記事連載など多数。ブログ「混浴露天が無ければ来なかった!MIU旅行記」ほか。

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