日本が「八百万神の国」になった本当の理由とは!?心霊・超常現象とも密接リンクする“地底の秘密”

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イメージ画像 Created with DALL·E

 日本ではたびたび「幽霊を見た」といった体験談が話題になるが、日本が心霊現象や超常現象が多い国であることと、火山噴火が多発する国であることには“知られざるつながり”がある。キーワードは「環太平洋造山帯」だ。

■地下で起きる磁気異常が精神に働きかけ…!?

 世界には二大造山帯と呼ばれる地帯がある。造山帯とは、過去に造山運動の起こった地帯または現在も起こっている地帯のことで、環太平洋造山帯(火山帯)とアルプス・ヒマラヤ造山帯が二大造山帯とされる。環太平洋造山帯は英語で「Ring of Fire」と呼ばれるが、これは円状に火山が分布することに由来する。

 かつてユネスコ本部から「世界の著名な超心理学者10人」に選ばれたこともある世界的科学者、故・本山博氏は造山帯の地下で起きる磁気異常が何らかの形で人間の精神に働きかけるという説を唱えており、そのために日本のような環太平洋造山帯に属する地域では超常現象が数多く発現すると指摘していた。また、本山氏の説によると超常現象の発現には「熱」も重要な要因であり、気温が高い地域ほど不思議現象が多発するのも、そのことで説明できるという。

 筆者は1990年代、のべ1年半ほどインドネシア・ジャワ島でSEとして働いていたが、その頃に感じたのは、かの国では超常現象など不思議な出来事が多発することだった。そのような不思議体験は、自分の身にも頻繁に起きていた。たとえばある日、仕事に集中していると何者かに耳たぶを触られることがあった。周囲を見ても誰もいない。しかしその後、亡くなった父の命日であることを思い出し「これは『お知らせ』だろう」と、仏壇はないものの下宿先に供物とローソクなどを供えて父を供養した。

 日本は熱帯の国々ほど暑くはないが、この国で特に夏になると幽霊話が多くなることは、本山説を考慮すれば、決して偶然ではないはずだ。つまり、幽霊を見たなどの超常現象が起きるには、やはり「熱」が欠かせないということだ。

■聖地の“場所”に秘密が!

 また、海外と比べて日本には「八百万の神」というほど多くの神々が存在し、神社仏閣などの「聖地」が多いが、森羅万象に“霊性”を見出すというこの日本人の感覚も、やはり環太平洋造山帯の存在とそれがもたらす地理的特性と無縁ではないだろう。

 筆者の研究では、日本の有名な聖地は、特に主要な「中央構造線」と「糸魚川―静岡断層帯」などの断層帯に沿って存在する。そして、この2本の構造帯の交点に諏訪湖と諏訪大社が存在するのも、決して偶然ではないと考えている。

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九州地方~関東地方の地質構造図」(GNUフリーライセンス)聖地は筆者が記入。

 日本では太古の昔から(「八百万の神」を生むことにつながった)シャーマニズムとアニミズムが盛んだが、そのことはかつて筆者が滞在していたインドネシアにも当てはまる。そして、下図のようにインドネシアも日本と同様に環太平洋造山帯上にあるのだ。

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ピンク色部分が環太平洋造山帯(パブリックドメイン)

 さらに興味深いのは、「世界の巡礼地マップ」というサイトのマップを見ると、二大造山帯である環太平洋造山帯とアルプス・ヒマラヤ造山帯の周辺に聖地が集中していることがわかる。そして、世界三大宗教と呼ばれる仏教・キリスト教・イスラム教が「アルプス・ヒマラヤ造山帯」上にあることも偶然ではないように思えてくる。

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World Places of Pilgrimage Map」より

■人間は聖地を求めて移動する!?

 かつて筆者は、日本人の祖先は、なぜこのような大地震や火山噴火が多発する場所をわざわざ選んで移動してきたのだろうかと疑問に思っていた。人の移動の歴史を詳しく見てみると、その疑問に対する答えがあるようだ。

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ヒトの移動ルート」(CCライセンス 4.0)

 このルートを見れば一目瞭然だが、日本人の祖先だけに限らず、古代の人々は(超常現象が発言しやすい)「聖なる土地」を求めて造山帯へと移って行った要素が強いのではないか。そしてこれは、前述の“聖地と活断層”の関係にもリンクするものだ。


■温泉という恩恵

 一方、環太平洋造山帯の上に住むことは災害という観点では大きなデメリットになり得る。しかし、メリットも無いわけではない。それは温泉が非常に多いということだ。下記のマップは世界の温泉分布を示すが、日本を見ると温泉の位置を表す赤丸で真っ赤に染まっていて、世界有数の温泉過密地帯であることがわかる。

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世界の温泉分布 (「温泉地学研究所」より引用)

 このマップを見てもわかる通り、世界の温泉地の多くは二大造山帯上に存在する。日本人の祖先たちは、温泉が多いからという理由で日本に渡ってきたわけではないだろうが、結果的に温泉の恩恵を大いに被ったということはいえるだろう。

 日本人のルーツに関する最新の研究では、「二重構造モデル」などのように、「大和民族」といっても実は単一の起源ではなかったとする説が市民権を得るようになってきたが、この小さな島国に世界の様々な土地から人々が移住してきたとすれば、(天災は多くても)精神面をはじめ、それだけの魅力があったというのことだろう。今後のDNA解析などによって、そのあたりの面でも新たな発見がなされることに期待したい。

参考:「大鹿村中央構造線博物館」、「温泉地学研究所」、ほか

 

※当記事は2022年の記事を再編集して掲載しています。

文=百瀬直也

超常現象研究家、地震前兆研究家、ライター。25年のソフトウエア開発歴を生かしIT技術やデータ重視の調査研究が得意。
Webサイト:百幸.com
ブログ:『探求三昧』
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Twitter: @noya_momose

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