科学者も首をかしげる謎の円形穴「サボノスキー・クレーター」とは

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画像は「Live Science」より

 アラスカ南西部、カトマイ国立公園に存在するサボノスキー・クレーター。直径約500メートル、深さ約110メートルのほぼ完璧な円形をしたこの穴は、科学者たちを長年困惑させてきた。

 このクレーターは、まるで隕石の衝突跡のようにも見える。しかし、地質学的な証拠がほとんど見つかっていないため、その正体はいまだに解明されていない。果たして、この謎めいた地形は宇宙からの衝撃によるものなのか、地下の活動が生み出したものなのか、それとも未知の何かが作り出したものなのだろうか。

隕石衝突説:決定的証拠はなし?

 航空写真で見ると、サボノスキー・クレーターは典型的な隕石衝突跡の特徴を備えている。隕石が地球に衝突すると、通常、円形のくぼみが形成されるため、このクレーターも同じように見えるのだ。

 しかし、1960年代と1970年代に行われた詳細な調査では、隕石の破片や衝突による岩の変質がまったく見つかっていない。さらに、隕石が地表に衝突した場合、本来ならクレーターの周囲に飛び散るはずの岩片も見当たらない。このことから、隕石衝突説は完全に否定はできないものの、決定的な証拠に欠けているのが現状である。

火山活動の影響か?「マール」形成説

 もう一つの有力な説が、クレーターが「マール」と呼ばれる火山活動によって形成された可能性だ。

 マールとは、地下から上昇してきたマグマが地下水と接触し、大量の水蒸気が発生して爆発を起こすことで生じる火口のことである。例えば、アラスカにあるウキンレク・マールは、1977年のわずか10日間の噴火で深さ100メートルのクレーターを形成し、その後、地下水で満たされた。

 サボノスキー・クレーターも、このようなマールの形成過程と一致する特徴を持っている。ただし、この地域では明確な火山活動の痕跡が見つかっていないため、完全に火山由来と断定するのも難しい。

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フランスのマール 画像:Romary / CC BY 2.5 リンク

氷河による影響も?時間が消した証拠

 サボノスキー・クレーターの成り立ちを解明するうえで、もう一つ考慮すべき要素がある。それは氷河による影響だ。

 この地域は約2万3000~1万4700年前に氷河に覆われていたとされており、その際にクレーターの形成過程を示す証拠が消えた可能性がある。氷河が移動する際、地表の地形を削り取り、岩石や堆積物を運び去ってしまうため、衝突跡や火山活動の痕跡が見つからないのかもしれない。

真相は地下に眠る?

 現在、科学者たちはクレーターの内部を掘削し、地層や堆積物を分析すれば、その起源を特定できる可能性があると考えている。もし調査が進めば、隕石衝突や火山活動の決定的な証拠が見つかるかもしれない。

 また、一部のオカルト愛好家の中には、こうした謎めいた地形を見ると「宇宙人の秘密基地への入口なのでは?」「地下に未知の世界が広がっているのでは?」といった想像を膨らませる人もいるかもしれない。

 もちろん、科学的な証拠は一切ないが、サボノスキー・クレーターの起源がいまだに解明されていない以上、何か驚くべき発見が眠っている可能性もゼロとは言い切れない。

 もしかすると、未来の研究によって、このクレーターの底に思いもよらない秘密が隠されていることが明らかになるかもしれない。

参考:Live Science、ほか

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