【世界を震撼させた航空機事故File】9.11、ゴーストフライト、“ファイナル・デスティネーション”的事故まで

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イメージ画像 Created with AI image generation (OpenAI)

 空の旅は現代社会に不可欠なものだが、その歴史には悲劇的な事故も刻まれている。機械の故障、悪天候、そして時には悪意を持ったハイジャック。様々な原因によって数多くの尊い命が失われてきた。ここでは、海外で発生し、世界を震撼させた特に悲惨で記憶に残る航空機事故のいくつかを取り上げたい。これから飛行機に乗る予定のある方は、少し胸が痛むかもしれないが、これらの出来事は決して忘れてはならない教訓でもある。

 もちろん、航空機事故に遭遇する確率は、統計的には非常に低い(約540万分の1とも言われる)。しかし、運命のいたずらか、以下に紹介する便に乗り合わせた人々は、その低い確率の悲劇に見舞われてしまったのである。

テロとハイジャック


■9/11 アメリカ同時多発テロ(2001年)

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Photo: Robert J. Fisch / Wikimedia Commons / CC BY-SA 2.0

 2001年9月11日、アメリカは未曾有のテロ攻撃に襲われた。アルカイダのテロリストに乗っ取られた旅客機が、次々と重要施設に突入したのだ。ボストン発ロサンゼルス行きユナイテッド航空175便(ボーイング767-200型機)は、乗客乗員65名を乗せたまま、ニューヨークの世界貿易センター南棟に激突。乗っていた全員と、地上にいた600人以上が犠牲となった。

 さらに、同じくボストン発ロサンゼルス行きアメリカン航空11便もハイジャックされ、世界貿易センター北棟へ突入。乗客乗員92名全員と、ビル上層階にいた1000人以上が死亡した。この11便の墜落は、4つの自爆テロの中で最も多くの犠牲者を出し、人類史上最悪のテロ行為として、そして史上最悪の航空機事故として記憶されている。

■エチオピア航空961便ハイジャック墜落(1996年)

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simon butler – https://www.flickr.com/photos/antonov22/47433687412/, CC 表示 2.0, リンクによる

 アディスアベバへ向かう予定だったエチオピア航空961便は、3人のハイジャック犯に乗っ取られた。犯人たちは爆弾を持っていると脅し(後にそれは酒瓶だったと判明)、オーストラリアへ向かうよう要求。機長は燃料不足を警告したが無視され、コックピットは混乱状態に陥った。機長は機内アナウンスで燃料切れとエンジンの停止、そして不時着水を告げ、乗客に乗客にハイジャック犯への対応を促した。最終的に飛行機はインド洋のコモロ諸島沖に墜落し、機体は衝撃で分解。乗客乗員175名のうち、ハイジャック犯3名を含む125名が死亡した。しかし、奇跡的に50名が生存。近くのビーチで日光浴をしていた人々(その多くが偶然にも学会に出席していた医療関係者だったという)が救助に駆けつけた。

「ゴーストフライト」と「ありえない着陸」


■ヘリオス航空522便墜落事故(2005年)

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画像は「Wikipedia」より

 キプロスからプラハへ向かっていたヘリオス航空522便(ボーイング737-300型機、愛称オリンピア)は、ギリシャのグラマティコ近郊の丘陵地帯に墜落し、乗客乗員121名全員が死亡した。墜落前、同機は約3万5千フィートの上空で自動操縦により旋回を続け、1時間以上にわたって管制塔との交信が途絶えていた。

 異常事態にギリシャ空軍のF16戦闘機2機が緊急発進し、状況を確認。戦闘機のパイロットが見たのは、機長席は空席で、副操縦士は意識を失いコントロールパネルに突っ伏している姿だった。客室では酸素マスクがぶら下がっていたが、乗客は全員動かない状態だったという。原因は離陸前の点検時に与圧システムのスイッチが「手動」に切り替えられたままになっていたことだった。飛行機が高度を上げるにつれて機内の気圧と酸素濃度が低下し、乗員乗客は意識を失ってしまったのだ。まさに「ゴーストフライト(幽霊飛行)」と呼ぶにふさわしい悲劇だった。最終的に燃料が尽き、機体は墜落した。

■ユナイテッド航空232便不時着事故(1989年)

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画像は「Wikipedia」より

 シカゴへ向かっていたユナイテッド航空232便は、飛行中に第2エンジンのファンディスクが破損し、油圧系統がすべて破壊され、飛行制御が完全に不能となる絶望的な状況に陥った。しかし、機長をはじめとするクルーたちは驚異的な操縦技術と連携(クルー・リソース・マネジメント、CRM)を発揮。飛行機の進行方向をエンジンの推力調整のみで制御し、アイオワ州のスー・ゲートウェイ空港への不時着を試みた。機体は大破・炎上したものの、乗客乗員296名のうち184名が生還した(死者112名)。事故後のシミュレーションでは、経験豊富なテストパイロットでさえ生還可能な着陸を再現できなかったことから、この事例は「ありえない着陸(The Impossible Landing)」として航空史に残っている。事故原因はエンジン製造時の微細な欠陥が見逃されていたことだった。

人為的ミスと整備不良:避けられたはずの惨事


■アメリカン航空191便墜落事故(1979年)

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画像は「Wikipedia」より

 シカゴ・オヘア国際空港を離陸した直後、アメリカン航空191便(マクドネル・ダグラスDC-10型機)の左翼エンジンが脱落し、機体は制御不能に陥り墜落。乗客乗員271名全員と地上にいた2名が死亡した。調査の結果、アメリカン航空が行っていた不適切な整備手順がエンジン脱落の原因と断定された。

 この事故には奇妙な逸話もある。デビッド・ブースという男性が、事故の数日前から10夜連続でジェット機が爆発炎上する悪夢を見続け、連邦航空局(FAA)に通報していたという。また、搭乗予定だった乗客リンゼイ・ワグナーは、直前にひどく嫌な予感がして搭乗を取りやめ、命拾いした。この出来事は、死の運命を予知する若者たちを描いたホラー映画『ファイナル・デスティネーション』を彷彿とさせるとして話題になった。

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画像は「Amazon」より

■ナショナル・エアラインズ102便墜落事故(2013年)

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画像は「Wikipedia」より

 アフガニスタンのバグラム飛行場を離陸した貨物機ナショナル・エアラインズ102便(ボーイング747型機)は、高度1200フィート(約370m)付近で急激に機首が上がり失速、墜落・爆発炎上し、乗員7名全員が死亡した。原因は搭載されていた5台の大型装甲車両の固定が不適切だったこと。離陸時の加速で貨物が後方へ移動し、後部の圧力隔壁を破壊、飛行制御システムを損傷させたため、回復不能な機首上げ状態に陥った。

■アエロフロート1492便炎上事故(2019年)

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画像は「Wikipedia」より

 モスクワ・シェレメーチエヴォ国際空港で、アエロフロート1492便が緊急着陸時に炎上し、乗客乗員78名のうち41名が死亡した。事故機は離陸直後に落雷に見舞われ、電気系統に異常が発生。着陸を試みた際、機体は滑走路で激しくバウンドし、着陸装置が破損、翼から漏れた燃料に引火した。調査の結果、機長の操縦ミスが事故につながったとされ、機長は有罪判決を受けた。

■チャイナエアライン642便着陸失敗事故(1999年)

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Aero Icarus from Zürich, Switzerland – https://www.flickr.com/photos/aero_icarus/8398833015/, CC 表示-継承 2.0, リンクによる

 台風が接近する中、香港国際空港に着陸しようとしたチャイナエアライン642便は、ハードランディングの末に機体がひっくり返り、滑走路から外れて炎上。乗客乗員315名のうち3名が死亡した。事故報告書ではパイロットエラーが原因とされたが、航空会社側は着陸直前に局地的な下降気流(マイクロバースト)に遭遇したことが原因だと主張した。これは1998年に開港した新香港国際空港で初めて発生した死亡事故だった。

 これらの事故は、空の安全がいかに多くの要因の上に成り立っているかを物語っている。技術の進歩や安全対策の強化により、航空事故は着実に減少しているが、過去の悲劇から学び続けることが、未来の安全を守る上で最も重要なのである。

 空の旅は日常になったが、その裏には数えきれない教訓が眠っている。忘れてはならないのは、「まさか」が現実になる瞬間があるということだ。

参考:Daily Star、ほか

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