数十年の時を経て“突然戻ってきた行方不明者”たち、彼らに何が起こったのか
行方不明者の捜索は、家族にとって長く苦しいものとなる。日本では2023年に約9万人が行方不明となっている。多くは数日以内に発見されるが、長期間見つからないケースもある。だが、中には何十年も経過した後に突然姿を現し、家族や世間を驚かせるケースもある。今回は、長年行方不明となりながらも奇跡的に発見された3人の事例を紹介しよう。
42年ぶりに発見されたルーラ・アン・ミラー
1974年、ルーラ・アン・ギレスピー・ミラー(当時28歳)は3人目の子どもを出産した。しかし、米インディアナ州ローレルの自宅から突然姿を消すこととなる。警察の記録によると、ルーラは「母親になるには若すぎる」と感じ、子どもたちを実家に預けたまま家を出たという。
彼女の最後の連絡は1975年に送られた手紙だった。この手紙の消印から、彼女がインディアナ州内の別の町にいたことは分かっていたが、それ以降、消息は完全に途絶えた。残された子どもたちは祖父母によって育てられたが、母親の行方は不明のままだった。
しかし、2016年、娘のタミー・ミラーがルーラを捜そうと決意し、行方不明者の捜索団体「Doe Network」に依頼。インディアナ州警察のスコット・ジャービス刑事が捜査を担当し、同年3月、ルーラがテキサス州南部で暮らしていることを突き止めた。発見時、彼女は69歳になっていた。
1990年代以降、ルーラは別の名前で暮らしていた。犯罪歴はなく、身元が判明した後も匿名での生活を望んだため、警察はその意思を尊重した。ただし、娘のタミーには連絡先を伝え、再会の機会を持つこととなったという。
13年ぶりに名乗り出たジェシカ・デルガディーロ
2010年10月、当時14歳だったジェシカ・デルガディーロは、米テキサス州アマリロの自宅を出た後、忽然と姿を消した。彼女は自宅から徒歩圏内にあるパロ・デュロ高校に向かったはずだったが、学校には現れなかった。
家族は翌日、行方不明届を提出。アマリロ警察が捜査を開始したが、半年後には捜査が行き詰まり、事件は未解決のままとなった。警察によると、ジェシカが計画的に家を出た形跡はなく、家族の金や衣類も持ち出していなかった。さらに、彼女には非行歴もなく、家庭内での問題もなかったことから、「失踪の理由が見当たらない」という点が謎を深めていた。
しかし、13年後の2023年11月2日、事態は急変する。アマリロ警察の殺人捜査課に「自分はジェシカ・デルガディーロです」という女性からの電話が入った。
警察は直ちにDNA鑑定を実施。彼女のDNAと家族のDNAを照合した結果、間違いなくジェシカ本人であることが確認された。現在、27歳となった彼女はアメリカ東海岸で生活しているが、失踪中の詳細については明かさないことを希望しているという。
47年後に発見されたジョン・ヴィクター・ダイアル
ジョン・ヴィクター・ダイアルは、23歳で失踪し、約50年後に家族に再発見された。
彼は16歳でアメリカ空軍に入隊し、カリフォルニア州のハミルトン空軍基地で勤務。家族とも頻繁に連絡を取り合っていたが、1966年5月、故郷テキサス州チルドレスを訪れた後、失踪した。
最後に家族と連絡を取ったのは、1966年6月に勤務先のパナマ・ハワード空軍基地からの電話だった。彼はその際、パナマ人女性エルサと結婚したと報告していた。
以降、家族との直接の接触は途絶えたが、1985年に一度だけ甥と短時間話したことが記録されている。ただし、それ以降は音信不通となり、捜索は続いていた。
長年、家族の間では「戦争から逃れたのではないか」「隠遁生活を送っているのではないか」といった憶測が飛び交っていたが、2023年、ついに妹がジョンと再会を果たした。ジョンは当時の失踪について「自分が行方不明者として扱われていることを知らなかった」と語り、パナマでずっと生活していたことを明かした。
行方不明者たちの「再会」が意味するもの
行方不明者が何十年も経て発見される事例は、決して多くはない。しかし、彼らがどこかで生きていたという事実は、家族にとって希望の光となることもある。
今回紹介したケースでは、家族の粘り強い捜索が再会につながったものもあれば、本人が自ら連絡を取ることで解決したケースもある。しかし、いずれの場合も、失踪した当事者が何を考え、どのような経緯で戻る決意をしたのかは、多くが謎に包まれたままだ。
現在も多くの人が行方不明のままであり、家族が再会を願い続けている。未来には、また新たな「奇跡の再会」が生まれるのかもしれない。
参考:Daily Star、ほか
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2024.10.02 20:00心霊数十年の時を経て“突然戻ってきた行方不明者”たち、彼らに何が起こったのかのページです。失踪、行方不明などの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで