謎すぎる未解決「帰ってこないダニエル」事件! 謎のメッセージ、次々見つかる別人の死体…
ある日突然、姿を消してしまう人々がいる。周囲は「すぐに戻ってくるだろう」と当初は安心していたものの、その後まったく音沙汰がなく途方に暮れるばかりの失踪事件が2021年アメリカで起こっている。
■車で出かけたまま帰ってこないダニエル
2021年6月23日、地質学者のダニエル・ロビンソン(当時24歳)は、米アリゾナ州バックアイのホワイトタンク山地の西に位置する砂漠で地質調査にあたっていた。その日の早朝に愛車のジープを洗車しているダニエルの姿が目撃されており、その後、車に乗り込んで作業現場に向かったという。目撃者はこの時のダニエルに変わった様子はまるでなかったと話す。
午前9時15分頃にダニエルはいったん仕事を切り上げ、ジープに乗り込んで走り出したところを目撃され、これを最後にダニエルの消息はプツリと途絶えた。ちなみにダニエルは身長173センチ、体重75キロのアフリカ系アメリカ人で、右前腕が欠損していた。
一緒に調査にあたっていた同僚は、ダニエルがすぐに戻ってくるだろうと当初はまったく気にしていなかったが、時間が経つにつれて心配になり彼の携帯電話に連絡してみたが、誰も通話に出ることはなく、ダニエルの妹に電話してみるも兄からの連絡は一切ないことがわかった。
警察に連絡した後にすぐに捜索がはじまったが、有力な手掛かりは何ら得られずに虚しく数日が過ぎた。ダニエルの父親であるデビッド・ロビンソンは当局の捜査に業を煮やし、関係しているボランティア団体と一緒に捜査を行うも、ダニエルの痕跡は何も得られなかった。
ダニエルのSNSや電子メールを調べてみたところ、彼のInstagramアカウントが失踪する直前に削除されていたことが判明した。
同僚の供述によれば、ダニエルはプライベートで「うまくいかなかったことについて話していた」という。実は、彼はケイト・リンという女性に夢中になっていたというのだ。
女性の方は迷惑に感じていたようで、たびたびダニエルは呼ばれてもいないのに彼女の家を訪問したりと、まるでストーカーまがいの一面があったという。
そして失踪の日の前日、ダニエルは彼女に意味深いテキストメッセージを送っていた。
「どんなことであれ、私ができる限り、または私たちができる限りの時間を費やさなければなりません。もう一度会うか、二度と会わないかのどちらかです」
このメッセージが失踪と関係があるかどうかは不明だが、事件に不吉な色を加えるものであることは間違いない。このメッセージの後に彼女にフラれたダニエルが失意から身を隠して自殺を図った可能性も浮上したのだが、彼の周囲の者たちはそれはあり得ないことだと口を揃えて言った。しかし、このことでダニエルが精神的な安定を欠いていたことも容易に推測できる。
■衝突事故を起こしたジープが発見される
7月19日、近隣の牧場オーナーがに砂漠の峡谷で横転していたジープに偶然出くわし、これがダニエルのジープであることがすぐに判明した。ジープは明らかに衝突事故を起こし、ひどく損傷していた。
当局がジープを調べたところ、ダニエルの財布や携帯電話、鍵などの身の回りの品が車の中に残っていた。エアバッグが展開しており、衝突時に運転手がシートベルトを着用していたことを示す証拠もあった。
不気味であったのは、ダニエルの服はまるでその場で彼が脱いだかのように、車の近くの地面に折りたたまれて置かれていたことだ。
警察はジープが衝突前にスピードを上げていたこと、そしておそらく衝突後に彼が車を再始動しようと46回以上のイグニッションがあったことをイベントデータレコーダーから突き止めた。また事故後に18キロ(11マイル)ほど走行していたこともわかった。
ということは衝突事故の後、車体はまだ横転していなかったことになる。事故後にダニエルは車を離れてどこに行ったというのだろうか。
7月29日、付近の荒野で人間の頭蓋骨が発見され、ダニエルのものかもしれないとすぐに鑑定されたがダニエルではなかった。
さらに11月になって同地域で2体の遺体が続けて発見されたのだが、DNA鑑定によりこれらもダニエルではないことが判明した。
当局は車に装備されていたイベントデータレコーダーをさらに詳しく分析したのだが、エアバッグが展開する前、車が約時速50キロ(30マイル)で走行していたことが示されていた。捜査に加わった私立探偵によると、ジープが峡谷の起伏の多い地形でそのような速度に到達した可能性はきわめて低いという。
とすれば、衝突事故はどこか別の場所で起き、損傷した車両がここに運ばれて投棄された可能性も浮上してくる。しかし誰が何の目的でそんなことするのか、まったく見当もつかない。あるいはダニエル本人による何らかの偽装工作なのか。
当局の見解は失恋による自殺か、あるいは失踪であるという結論に達していたが、父親はそれに断固たる異議を唱えた。自分の息子が事前に何も明らかにせずそんなことをするはずはないというのである。
発生から3年しかたっていない事件であるが、当局の懸命な捜査にもかかわらず残念ながら迷宮入りがすぐそこまで来ている。はたしてダニエルはまだどこかで生きているのか? それとも今後ダニエルの遺体が発見されることはあるのか? そしてケイト・リンという女性にはまだ隠された秘密があるのか? 雲をつかむような行方不明事件に新たな展開が待っているのかどうか気にかけておきたい。
参考:「Wikipedia」、ほか
※当記事は2021年の記事を再編集して掲載しています。
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