夢が悪夢に変わる瞬間…かつてディズニーランドで起きた衝撃のスタッフ死亡事故

画像は「YouTube」より

“夢の国”でかつて起きた痛ましい死亡事故に再び注目が集まっている。音楽ショーのアトラクションで司会のスタッフが舞台装置の動く壁に挟まれて死亡したのだ――。

■“夢の国”初のスタッフ死亡事故

 米カリフォルニア州アナハイムに1955年にオープンした“夢の国”ことディズニーランドはさまざまなアトラクションで来場客を魅了してきているが、1974年から1988年までは「アメリカ・シングス(America Sings)」と銘打たれた人形や着ぐるみが演出する24分間の音楽ショーが催されていた。

 このアトラクションのために設置された円型の特設シアターでは複数の舞台が観客席の周囲を回るように設計されており、その場合は壁も一緒に動く構造になっていた。

 1974年6月29日の皮切りから好評を博していた「アメリカ・シングス」であったが、ショーの前後に入場客を案内するスタッフであったデボラ・ゲイル・ストーンさん(当時18歳)は高校卒業後にこの仕事に就いたばかりであった。

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 公演開始から2週間あまりが過ぎた1974年7月8日、仕事にも慣れてきた彼女だったが、ショーが終わり観客に挨拶をし終えた午後11時頃、悲惨な事件が起こってしまう。動く劇場の壁と動かない舞台の壁の間のエリアに立っていたストーンさんが壁の間に巻き込まれ圧死してしまう悲劇的な死亡事故が起きたのだ。

 壁に巻き込まれた時にストーンさんは悲鳴をあげていたのだが、暗い劇場内で観客たちはストーンさんの悲鳴はショーの演出なのではないかと思っていたという。

 家族と共に休日をディズニーランドで楽しんでいた空軍兵士、ダニエル・ロビソン氏(当時33歳)は、劇場の最前列に家族一緒に座っていたのだが、右を見ると壁の間に引きずり込まれていると思われる人物が見え、叫び声が聞こえたと後に語っている。

 壁の移動が停止した後、彼がこの異常を場内スタッフに通報したことで事故が明らかになった。

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 地元紙「ロサンゼルスタイムズ」は「彼女は当日午後11時に、観客が劇場を出て舞台が開始位置に移動していた45秒間に死亡した」と報じた。

 同紙はまたストーンさんが「ディズニーランドの19年の歴史の中で事故で死亡した最初の従業員」であると報じた。しかし当時同紙はディズニーランド内の事故で4人の来場者が死亡したことも報じている。

 ディズニーランドでストーンさんが死亡した直後、「アメリカ・シングス」は2日間中止された。そして、場内には入場者に警告を促す安全灯が設置され、同様の事故が起きないように、頑丈な壁は壊れやすい壁に取り替えられた。そして事故から3日後には何事もなかったかのようにアトラクションが再開されたのである。

 1988年まで続いた「アメリカ・シングス」であったが、ディズニーはこの事故について公式には何も言及しなかったといわれている。ストーンさんの家族は会社を訴える構えを見せたが、最終的には和解金を伴う示談に終わったという。

“夢の国”で起きた痛ましい同社初のスタッフの死亡事故であったが、本人と家族にとってはまさに夢の中の出来事であってほしかったはずだ。

参考:「Misterios do Mundo」ほか

文=仲田しんじ

場末の酒場の片隅を好む都会の孤独な思索者でフリーライター。
興味本位で考察と執筆の範囲を拡大中。
ツイッター @nakata66shinji

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