「12月31日が存在しなかった年」太平洋の島国“キリバス”の奇妙な歴史

クリスマスからお正月の間の時期は、多くの人にとってカレンダーの感覚が曖昧になる不思議な時間だ。古い年は終わったように感じるが、新しい年はまだ始まっていない。しかし、そんな感覚どころの話ではない国がある。太平洋の島国キリバスでは、1994年、なんと「12月31日」そのものが存在しなかったのだ。
日付変更線に引き裂かれた国
キリバスは、中央太平洋に点在する数十の環礁や島々からなる島国だ。人口約13万4500人のこの国は、1995年以前まで、地理的な問題により非常にユニークかつ深刻な悩みを抱えていた。それは、国が日付変更線によって分断されていたことだ。
日付変更線は太平洋を縦断する境界線であり、これを越えると日付が一日進んだり戻ったりする。キリバスはこの線の真上に位置していたため、同じ国内でありながら西側のギルバート諸島と東側のフェニックス諸島・ライン諸島とでは、最大23時間もの時差が生じていた。つまり、国内のある地域では金曜日なのに、別の地域では土曜日という状況が常態化していたのである。

地図を変えた大胆な決断
「人口の20%が住む9つの島が、日付変更線の向こう側にあったのです」と、キリバスの名誉領事は語る。この状況は行政やビジネスにおいて悪夢のような混乱を招いていた。そこでキリバス政府は、1995年を迎えるタイミングで、国全体の日付を統一するという大胆な決断を下した。
地図を見ると、中央太平洋で日付変更線が大きく東に突き出している奇妙なジグザグが見えるはずだ。これはキリバスを一つの日付の中に収めるために修正された結果である。しかし、この変更を実現するためには、ある代償が必要だった。
時間的なズレを解消するため、一部の島々では1994年の12月31日を完全にスキップしなければならなかったのだ。12月30日の翌日が、いきなり1月1日になったのである。つまり、その年は大晦日のパーティーもお預けだったということだ。
繰り返される時間の修正
このような日付変更線にまつわる調整は、キリバスだけではない。2011年12月には、サモアとトケラウも貿易相手国との時間を合わせるために日付変更線の位置を変更し、12月31日をカレンダーから消滅させている。
人間が決めた便宜上のラインが、時として現実の時間さえも書き換えてしまう。キリバスの「消えた大晦日」は、私たちが当たり前だと思っている時間の概念が、実はいかに曖昧なものであるかを教えてくれる興味深いエピソードである。
参考:IFLScience、ほか
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2024.10.02 20:00心霊「12月31日が存在しなかった年」太平洋の島国“キリバス”の奇妙な歴史のページです。大晦日、太平洋などの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで