“第2のディアトロフ峠事件”か?謎に包まれた「ソコンド自然保護区事件」― 目を見開いたまま凍死… 雪山に消えた4人の調査隊員

1981年のクリスマスイブ、ロシア・ザバイカル地方の極寒のタイガで、4人の若き調査隊員が消息を絶った。彼らは数日後、そして数週間後に遺体で発見されるが、その死に様はあまりにも不可解であった。
仰向けに倒れ、目を見開き、まるで何かから逃れるように手足を広げた奇妙な姿勢。極寒の雪山にもかかわらず不完全な防寒装備。そして、雪に突き刺さったスキー板と、止まった腕時計――。
公式な死因は「低体温症」とされたが、現場に残された数々の“ありえない”痕跡は、この事件が単なる遭難事故ではないことを静かに物語っている。これは、ソ連最大のミステリー「ディアトロフ峠事件」の再来なのか。
「ソコンド自然保護区事件」として知られるこの謎多き遭難事故について、現在までに分かっている事実と、メディアによって作り上げられた脚色を整理し、その真相に迫る。
冬のタイガで消えた4人
事件の舞台は、ロシア・ソホンド自然保護区。1981年12月24日、ミハイル・オルロフ(25)、セルゲイ・コンキン(24)、イーゴリ・バホルディン(28)、タチアナ・テレホワ(27)の4名からなる調査グループは、動物の足跡を追跡する冬季踏査任務のため、雪深い稜線へと向かった。
しかし、彼らは予定地点に現れず、12月28日から大規模な捜索が開始される。そして翌29日、3人の遺体が発見され、年が明けた1月、最後の1人であるオルロフの遺体も発見された。全員が、厳しい自然の中で命を落としたことは間違いなかった。だが、彼らが最期に何を経験したのか、その痕跡はあまりにも奇妙だった。

現場に残された“ありえない”痕跡
捜索隊が目の当たりにしたのは、単なる凍死体の光景ではなかった。そこには、常識では説明のつかない、数々の不可解な点が残されていたのである。
異常な遺体の姿勢:発見された3人の遺体は、いずれも仰向けで、両手両足を大きく広げていた。さらに、頭を不自然に後ろへ反らし、目を見開いたまま凍りついていたという。これは、一般的な凍死体の丸まった姿勢とは全く異なる。
不完全な装備:マイナス20度を下回る極寒の環境にもかかわらず、帽子や手袋を身につけていないなど、防寒装備が不完全な状態であった。低体温症の末期症状である「矛盾脱衣」の可能性も指摘されるが、それだけでは説明しきれない。
散乱した遺留品:スキー板は雪に突き刺され、ザックや寝袋、靴などが周囲に散乱していた。ある遺体の胸の上には、なぜかマッチが一本置かれていたという証言もある。そして、遺体の近くで発見された腕時計は時を止めていた。
公式な死因は「低体温症」と結論付けられた。厳しい気象条件下での判断ミスが悲劇を招いた、労働安全規則違反の事故――。しかし、この公式見解では拭い去れない違和感が、この事件をロシアの暗い森に眠る未解決ミステリーへと変貌させた。

メディアが作り上げた「ディアトロフ峠」という神話
ソコンド自然保護区事件が世に知られるにつれ、その謎は多くのメディアやブロガーによって増幅されていった。「被害者の一人は新婚だった」「クリスマス前夜の悲劇」といった、一次情報では確認されていないドラマチックな設定が付け加えられ、事件はよりセンセーショナルな物語として消費されていく。
そして、この事件に決定的な烙印を押したのが、「第2のディアトロフ峠事件」という呼称であった。1959年にウラル山脈で9人の登山家が不可解な死を遂げた、ソ連最大の未解決事件との類似性が強調されたのだ。
確かに、極寒の環境、奇妙な遺体の状態、装備の不備といった類似点はある。しかし、目撃者の有無や遺体の散乱状況など、両事件の詳細には異なる点も多い。この安易なレッテル貼りは、オルロフ・グループ事件独自の謎を覆い隠し、真相解明をかえって困難にしている側面は否めない。

真相への道筋
オルロフ・グループ事件の真相に近づくためには、メディアによって誇張された「物語」と、客観的な「事実」を注意深く切り分ける必要がある。当時の検視報告書や現場写真、気象データといった一次資料が完全に公開されない限り、憶測の域を出ることは難しいだろう。
4人の若者が経験した最後の数時間に、一体何が起きたのか。彼らは単に厳しい自然に敗れたのか、それとも我々の理解を超えた何かに遭遇したのか。その答えは、今もザバイカルの静かな雪の中に、深く閉ざされている。
参考:
Dyatlov Pass:https://dyatlovpass.com/sokhondo-nature-reserve
CHITA.RU:https://www.chita.ru/text/incidents/2023/06/07/72372932/
KP.ru:https://www.kp.ru/daily/27567.3/4835116/
NGS.ru:https://ngs.ru/text/incidents/2023/06/13/72388166/
Mysterium-Incognita:https://mysterium-incognita.com/2025/09/16/letrange-affaire-du-groupe-dorlov/
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2024.10.02 20:00心霊“第2のディアトロフ峠事件”か?謎に包まれた「ソコンド自然保護区事件」― 目を見開いたまま凍死… 雪山に消えた4人の調査隊員のページです。遭難、ディアトロフ峠事件、未解決事件などの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで